風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

マラソン界の異端児

2011-12-06 00:12:34 | スポーツ・芸能好き
 福岡国際マラソンと言えば、過去に世界最高記録を二度輩出したことがあり、出場する選手の面子を見ても、国内のマラソン・レースとして最高峰と見なされて来たと言っても良い大会です。フランク・ショーターの四連覇(1971~74年)や瀬古利彦の三連覇(1978~80年)は、子供心にも胸躍らせてTVに魅入ったものでした。そして昨日も伝統の大会に相応しいドラマを見せてくれました。一時は9位まで後退した「日本のエリート育成システムからの落ちこぼれ」と自称する埼玉県庁の公務員ランナー・川内優輝が、日本人トップとなる三位に食い込みました。
 中でも、順大時代に箱根駅伝の山上りの5区で活躍し、2005年~07年、3年連続同一区間記録更新という5区史上前人未到の記録を打ち立て、3年連続で金栗杯を受賞した元祖「山の神」今井正人を相手に、何度も揺さぶりをかけ、デッドヒートの末に振り切ったのは圧巻でした。実は川内自身も、学習院大時代に関東学連選抜で山下りの6区を2度走り、4年生の時に3位に入ったそうですが、箱根の実績としては圧倒的に見劣りがします。
 しかも驚くことに、川内は、2月の東京マラソンで状態がピークになるように調整中の今大会だったといいます。
 先週の報道ステーションで、川内の特集をやっているのをたまたま見ました。コーチがいるわけでもなく、公務員として勤務する傍ら、不足する走り込みを補うために、彼独自の練習法として、年間二十回ものレースをこなすことが紹介されていました。そのレースのたびに、最初から最後まで引きつった笑いを浮かべたような歪んだ顔で走り抜き、ゴールとともにへたれ込むほど体力の限りを尽くすのは、尋常ではありません。私も、高校時代に競技者の端くれとして走っていたので、それがどれほど破天荒なことか分かります。昨日の解説者の瀬古さんも、変わったランナーだと、頻りに感心していました。
 いよいよ今年の世界陸上に続いて、来年のオリンピック出場も視野に入って来ました。かつては隆盛を誇った日本の男子マラソン界で人材が枯渇する時代に生まれ合わせた幸運はありますが、彼の壮絶な走りっぷりからはちょっと目が離せません。
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