風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ビジネスから眺める政治

2016-04-15 00:48:53 | 時事放談
 前回の続きで、民進党に捧げたい「孫子・謀攻編」のもう一つの言葉は、巷間「戦わずして勝つ」と言われるもので、前置きをかなり端折って正確に引用するとこうなる。「・・・百戰百勝、非善之善者也、不戰而屈人之兵、善之善者也」(・・・百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり)。
 前回は、「知彼知己、百戰不殆、・・・」(彼(敵)を知り己を知れば百戦殆うからず(危うからず)、・・・)というフレーズの中で、「己を知ること」にフォーカスしたが、このときの民進党の「彼」=「敵」は果たして与党・自民党でよいのか?という問題がある。勿論、国会論戦や選挙といった局地戦では正面衝突する戦術は分からないではないが、もし本当にもう一度政権を担える過半数を目指すのであれば、戦略的に取り組むべきは、自民党支持層を切り崩すことではなく、選挙民の過半を占める“無”支持層、つまり自民党には飽き足らないけれども野党も頼りなくて支持する政党がなくシラケている無党派層をどう取り込むかに注力することではないかと思うのだが、どうだろう。ビジネスの世界では、競合のない市場を見つけること、あるいは新たな市場を創り出すこと、そこにこそ宝の山がある、と言われる。つまり「彼」は必ずしも「敵」ではなく、取組み課題としての「無党派層」と見做すべきではないかと思う。それこそが「(敵としての自民党と)戦わずして勝つ」の意味するところだと思う。
 以下は私の勝手な憶測なのだが・・・自民党支持層は、必ずしも熱狂的な自民党支持者ばかりではなく、勿論、一定の根っからの保守はいるだろうが、むしろ余りに頼りない野党を見限った消極的でやむを得ない自民党支持者も多いことだろうと思う。民進党がそんな人たちを振り向かせるのは、どうしようもなく停滞し閉塞感に見舞われた民主党政権時代の「悪夢」から冷めやらぬ中で、容易なことではない。日本的な意味でのリベラルが退潮する中、しかし既存の保守にまつわる古臭さには飽き足りない層はかなり存在するはずで、実際、かつて橋下ブームを巻き起こしたのは改革保守だったはずだ。新しいメディアはつい政局を面白おかしく書きたてるが、国民が真に望むのは、政治家同士の足の引っ張り合いではなく、日本の経済を良くしてくれることや、安全で住みやすい国造りを進めてくれることのはずだ。
 まあ、この程度の想定通りにコトが運ぶなら、とっくの昔にやってるよ・・・ということかも知れない。しかし、いつまで経っても支持率が一桁%で低空飛行しているようでは、ビジネスの世界では赤字垂れ流しでとっとと潰れているだろう。私の会社でも仏の顔も三度まで、三期連続赤字なら構造改革を迫られる。まあ、政治とビジネスを単純比較すべきではないと言われれば、それはその通りであり、少数意見を尊重するのが政治であって、だからこそ少数野党であってもお取り潰しにならずに生き延びる価値があると言うなら、有り余るほどの定数そのものを削減、つまり0増6減ではなく100くらい一気に減らしても全く困らないのではないかと思うが、サラリーマンの浅知恵だろうか。
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