ちょっと観光系の記事が続いたので、閑話休題ってことで。
MBAに来ると、授業の準備のために大量に英語のケースだの本を読まないとならないが、
これに相当の時間を取られてる人が多いようなので、私の方法が役に立てばと思って書いてみることに。
MBA開始直後から、100Kビジネスコンテスト運営など課外活動が多かった私は、授業のケース準備なんて短時間しかかけられなかった。
もともと日本語を読むのは速いので、その方法を生かしつつ、その間に身につけた方法だ。
一応私ドメドメ(MBA前に留学経験などは一切無し)だから、英語力がないと使えない方法、では無いと思う。
ここではビジネスケースの速読法を書いてみます。
(英語論文(文系)も基本的には同じ。新聞の場合は「何が書いてあるか」で論点、みたいな面倒なことは考えなくてよい)
例えばハーバードで出してるビジネスケース。
A4サイズで文章部分が7-15ページあるもの。
人によっては2時間かけて読むと聞いたが、私は30分以上かけたことは恐らく無い。
ケースを読むのが速ければ、ケースの分析に時間を使えるわけで、授業中もより積極的に貢献出来ると思う。
読み方のコツは以下。
0.アウトプット思考で読み、絶対に全文読まないこと(心がけ)
ケースは小説ではないので、全文読むことに全く意味は無い。
常に自分が出すアウトプットを意識して読むこと。
ケースの場合は、
「そのケースで論じてる論点を3,4行くらいで論じる」
「その論点を具体的な情報で補強する」
の2点がアウトプットで、それに関係ないことを読むのは時間の無駄になる。
「アウトプットに関係ないことは読まない」と常に意識するだけで、読むのが遅いなあ、と思ってる人は、かなり早くなると思います。
具体的にはこんな感じ。
1.仮説思考で論点をクリアに(5分)
そのケースから何の情報が得られれば良いのか、何が論点で、答えは何か、ということをまず考える。
まずはタイトルを読み、最初の概要を読む。
それからケースをぱらぱらとめくり、パラグラフのタイトルを読み、問題が書いてありそうなところを探す。
業界の転機になるところや、主人公や会社の悩みなどが書いてあるところが、読むべきところだ。
で、そこだけを読む。
そうすれば、何が論点になるのか、何が問題なのか、ということが分かるはずだ。
論点と言うのは例えば、
・シリアル業界では長年ケロッグなどインカンバントが独占で高い利益を得ていた。何故それが可能だったか?
・最近新規参入が増えてシェアを取られるようになってきた。何故か?(シリアルのケース)
・Googleは2005年にAOLを買収した。何故買収する必要があったのか?
・買収はベストの戦略だったか?(Googleのケース)
と言ったレベルで出す。
ひとつのケースに対して、論点は3-4個あると思う。
ひとつでも論点が出るまで、絶対に「最初から読む」ということをやらないのがコツ。
この作業は最初は時間がかかるが、これをやると読むのが非常に早くなる。
「必要な情報が何か」が分かるからだ。
慣れると、2,3分もかからないで出来るようになる。
論点は、ノートなどに自分の仮説とともに書き出しておくのが良い。
2.論点に対して情報になるところを探す。キーワードまたは各パラグラフの最初の一行だけ読む(10分)
次に、その論点について情報になると思うところだけを探して読む。
情報にならないところは、全く読まないのがコツである。
じゃあ、どうやってその情報を探すか、ということだが、
理想的には流し読み-「キーワード」を探して、チェックしておく-というのが出来るといいが、そんなのいきなりは出来ないと思うので私のオススメはこれ。
各パラグラフの最初の一文だけ読む。
ケースのように、文章構成がしっかりした英文は、パラグラフの最初の文にそのパラグラフの結論や重要な情報が書いてある。
よってパラグラフの最初の一文だけ読むだけで、内容が頭に入るはずだ。
だまされたと思ってやってみてください。
まずは、一文目だけ読み、二文目からは無視するやり方で、全体に目を通し、
役に立ちそうなところだけ後で読むべくチェックを入れておく。
最初の一文だけで、そのパラグラフが論点に役に立つのか、立たないのかは判定できるはず。
また、この時点で、自分が1で立てた論点が正しいかどうかの判定が出来るはず。
間違っていたら修正をしておく。
図表を先に読む
情報収集をする際、英文を読むより、図表を読んだ方が速い場合がある。
その場合は、付録についてる図表に先に行って、読む方が良い。
追加の論点がここに隠れている場合もある。
3.めぼしをつけたところを読んで、情報を収集する(10-15分)
最後に、チェックしておいたキーワード周辺や、パラグラフ、図表だけをしっかり読んで分析し、論点に対して情報を補強する。
ノートに、どの論点への答えなのか、サポートする情報なのか、を書き出していく。
おまけ
・辞書はなるべく使わない。出来るだけ単語の意味は予測する(辞書を使うと時間取られる)
・とにかくこの方法で大量に読み、慣れる
・自分で時間制限を課して読む(じゃないと本気にならない)
これは、英語の論文や新聞を読む場合でも全く原則は同じで、
・仮説思考で「何が書いてあるか」めぼしをつけながら読む
・アウトプット思考で、論点だけを拾い出し、それ以外の情報は読まない
という癖をつけていくと、読むのが圧倒的に速くなると思います。
まあ、速く読めたからなんだ、って話もありますが、
どうしても時間が2時間しかないときに、ケース3本読まないといけないときなどに役に立つし。
第一授業の論点なんて、ケースの論点以上のところで行われるわけで、ケースなんかは30分以内で効率的に読みきっちゃったほうが、どんな場合だって良いはず。
そして、ケース以外の、ネットや本での情報収集や、自分自身がAdd-Valueできる分析に時間をかけたほうがいいわけです。
別に人生を行き急ぐわけじゃないですが、
人生には、どうしても何かをしないとならない瞬間と言うのがあるわけで、
そういうときに速読法というのは何かの役に立つと思うわけです。
はじめまして。
Photo Readingを私はやったことがないので、想像でしかかけませんが、恐らく最終的には活用できると思います。
ただ、英語でそれをやるほど英語を「見」なれておらず、目に入ってくる情報が真新しいものばかりだから最初はかなり困難なのだと思います。
数学の教科書や数式が展開されている論文をPhoto Readingできないのと同じだと思います。
そういう意味では、ゼロからPhoto readingを習い始めるに近い、と言う意味では役に立たないのかもしれないですが、方法論は一緒だと思います。
はじめまして
博士課程を中退して東京の化学メーカーで
研究員をしながら学位論文を執筆中の
じゅんと申します。
英語文献の読み方、とても勉強になりました。
私も似たような読み方をしていたの
ですが、システィマティックに明快に書かれてらっしゃったので、読んで非常に頭がすっきりしました。ありがとうございます。
Lilacさんの読み方はPhotoReadingと
合い通じるものがあると思います。
takさんの仰るようにMBAのケーススタディーではPhotoReading活用できないのかな?
将来的にMBAを取得したい私にはとっても気になります。
コメント有難うございます。
全文読む時間があるなら、全文読んでも良いのかもしれません。
私は、本当に時間が無かったので、あえてこうしてたのですが・・・
日本で速読を習っていたというのは凄いですね。
というわけであれからアパートに帰り、早速月曜日の3ケースをお勧めの方法で読んでみました。
今まで全文読みをしてたのでまだ慣れませんが、発言も出来たので良しとしています。
ちなみに日本で速読を習っていたので、日本語を読むのはまあまあ速いのですが英語になると全くダメです。
で、フォトリーディングのような速読でケースを読んでも役に立たなさそうなのでガッカリしています…
It's a long historyって感じです。
日本にいるときの私の英語勉強法なんて、ホントに失敗作ばかりで・・苦労しました。
というか、いまアメリカに来て、「あのやり方はバカだった」「あんなのマイナスだった」と思えるものがたくさん出てきました。
語学留学でもいいから、もっと早くにこっちに来ていれば大分違ったかもしれない・・と思いましたね。
リクエストどおり、私の失敗勉強法と、今だったら何をオススメするか、というのはそのうち書こうと思います。
英語に関するエントリーだったので、特に興味深く読ませてもらいました。
Lilacさんの英語に関するエントリーは、TOEFLやGMATの攻略方法や今回の内容のように、テクニカルなものが多い印象なのですが、そもそも日本にいるときに普段英語をどんな風に勉強されていたのか、どこかで書いていただけると参考になります。音読やシャドーイングは毎日やってたとか・・・。
初めてのコメントでお願いになってしまって非常に恐縮なのですが^^; 。
これからも楽しみにしています。
こんにちは。
そうですね、理系論文の場合は、何が起こってるかを把握するという以外は、図表の読みにせよ、数式を追うにせよ、速読とは違う読み方になるでしょうね。
一方私が今いる経営学のような分野は割と速読できます-というか、速読重要ですね。量が半端じゃないので。
ただ自分が理系にいたときに、効率的な情報収集の方法をもう少し知っていればよかったのに、と思うことは今でもありますね。
理系でも他分野で何が行われてるか広く浅く知っておくのは役に立ちますからね。
#一瞬、この記事で取り上げた事例はビジネスケースに特化してることが伝わらなかったのかな、と思いましたが、そこは大丈夫ですよね?
面白い内容だったので立ち止まり読ませてもらいました.
理系に特化したものの図表やtableの把握はそんな短時間ではできません.そして,ご存知のようにjournalの大切な部分は(主にboy, result, discussion)それぞれの部分がlinkしています.それぞれのessenseが,自分のthesisのsupportに不可欠だと思っております.
速く読むことは大事なことですが,一度付箋を貼ったものはなかなか読む機会に巡り合えるほど余裕がないものです.私と近い分野の方は,lab noteを用意して書きとどめることなど,自分の経験からお勧めしたいです.
どんな形であれ,自分にあったpresentation styleがあると思うので,お互いに参考にしたいものです.
ご主人がSloanの卒業生と言うことでしたら是非どこかでお会いしたいですね!
日本に帰ったらそういう機会も増えるかもしれないし、これからもよろしくお願いします。
そう、語学力がないからこそ、こういう読み方をしてるのかも知れませんね。
同じ30分でも彼らは全部をさらっと読み、私たちは重点だけを読む、と。
それでも、同じ30分のインプットから出てくるアウトプットが高ければ、それでいいのかな、と思ったりしてます。
本当は、小説とかをゆっくりじっくり読めるのが理想ですね
>だいすけさま
お久しぶりです。そう、どううまく発言するかは別の課題ですよね。
>Ericさま
はじめまして。よろしくお願いします。
Sloanは川向いの学校と違い(スローン生はハーバードのことをこう呼びます(笑))、授業で発言することがそこまで求められないので、ケース全く読まないで来るひとは多いですよ。
ケースより、教科書を読んでくるほうが重要だったりしますし。
私は、発言したいんで、ケース読んでいくんですが。
本当は語学力があれば、読み物のように楽しんで読みたいんですけどね。
中には読み物のようなものもあるし。
「今度時間があるときじっくり読もう」とか思って付箋を貼ってつん読してるケースがたくさんあります・・・
読むのは早くなったけど結局言いたいことは英語の問題でなかなか言えなかったけど。。
時間がある時にじっくり読むのって楽しいんですけどね。語学が好きな人とかはそういう読み方が好きなんじゃないかと思います。究極的にはその方が語学力はつくでしょうし。