My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

わたしの欲しい夢の電子書籍アプリ

2010-05-25 09:11:50 | 2. イノベーション・技術経営

私はマンガ「のだめカンタービレ」の昔からのファン。
本日は、それが連載されてる講談社のマンガ雑誌KISSの発売日(毎月10日・25日)だったので、ネタバレサイトを探して早速読んだ。
単行本派じゃなくて、本誌派の私は、留学中はいつもこうしてキャッチアップしているのだった。

そんな私は、マンガ雑誌や週刊誌が早く普通のスタンダードな電子書籍になって、
世界のどこからでも読めればいいのに!といつも切に願っている。

電子書籍の話をすると、日本の携帯電話コミックの電子書籍の市場規模600億円とかを出してきて、
誇らしげに「日本は電子書籍先進国だ!」とか言っちゃう人が必ずいるが、携帯コミックは世界から読めないんだよ!
これではどんなに先進国でも、またガラパゴスの道を突き進んでしまう。
(→ My Life in MIT Sloan ガラパゴス問題の論点まとめ

でも、私は日本発で、ガラパゴスにならずに、世界の電子書籍市場を攻める方法はある、と思っている。

昨日の記事で、フォーマットとアプリを押さえて世界の皆が求める圧倒的な機能のものを出していけば、
電子書籍市場で、日本の出版社やメーカーが世界にシェアを伸ばしていくのは夢ではないかもしれない、と書いた。
(→ My Life in MIT Sloan -電子書籍はフォーマットとアプリを制したものが勝つ

でも、「圧倒的な機能のもの」っていうけど、それって何よ?と思うかもしれない。

基本機能として、全文検索機能、ハイライト・付箋機能、書棚に並べてるように表紙を閲覧できる機能、
そしてiBookのように、普通の紙をめくる感覚でページを送れるユーザビリティはマスト。
こういうユーザビリティ系は、近いうちに電子書籍のデバイス・アプリではスタンダードになると思っている。

私がほしいのはそれ以上のもの。

例えば、小説を読んでいて、思っていることとかが、他の人と共有できるようにしたい。
一人で夢中になりたいときは、共有機能をオフに出来るんだけど、
読んでて感動して、この感動を他の人に共有したい!と思ったときは、共有機能をオンにして、
どのくらいの人がそこ読んで感動したかが分かったり、
皆がどんなコメントを書いたかとかが、Twitterみたいな感じで流れてきたりするの。

「はてなブックマーク」ってサービスあるけど、それにも似てるような気がする。
あれは、一つの記事に関してコメントが書けるだけだけど、
こっちのサービスは、線を引いた箇所とか、章ごとなどにコメントが書ける。

さらに、他の本とか、写真へのリンクを張ることも出来て、その本と光景が似ていることとか、
その光景とかを見ることも出来る。
「日はまた昇る」を読んで、スペインの闘牛の場面の写真を誰かがリンク張っておいてくれて、ちゃんと出てきたりする。
この本の表現は、この本からの借用なんだよ、っていうのはちゃんと分かるようになってたり。

昔の人たちが、その本を読んでどう思ったか、なんてのも参照することも出来る。
(もっともWikipediaみたいに誰かがボランティアでリンクしてくれないといけないけど)

ビジネス書だったら、他の人がどんなところに線を引いて読んでるのかとか見てみたい。
まるで図書館で借りた本みたいに、いやそれ以上に。
世界の経営者が同じ本を読んで、どんなところでひっかかって、どんな風に書き込みしてるのかとか、
共有してくれたら面白いと思う。

当然、全てのコメントは全ての言語に一瞬で翻訳可能。
だから、英語でコメントしてもよし、日本語でコメントしてもよし。
世界の人たちが、同じ本-とその各国の翻訳本を読んで、どんなことを考えてるか分かる。
実際、Booking.comみたいな、グローバルなホテルレーティングサービスは、
Googleの翻訳機能使ってそういうサービスはじめてるわけで、やろうと思えばすぐに出来るはず。

電子書籍って、私はGoogle Mapみたいになっていく、と思うんだよね。
今は、一つ一つの電子書籍は、地図としては高機能かもしれないけど、
まるで昔のゼンリンの電子地図ソフトみたいな感じ。
高い値段で地域ごとに購入したりして、でもそこにはゼンリンが組み込んでくれた情報が載ってるだけ。

でも地図って、本来は、いろんな人が情報を自主的に載せてくれることで、
どんどん情報が豊富になってくるメディアだった。
いろんな人が、写真を載せたり、観光地の情報を載せたり、レストランのレイティングをしたり。
さらにそれをFacebookとかにつなげて、どの人がどこに行った事がある、なんて情報を載せたり。

書籍も、地図に似てると私は思う。
オリジナルはタダでは読めないけど、書籍に関するメタ情報を元に、地図を書いていく。
オリジナルはタダでは読めないけど、それを読んだ人のコメントや写真はタダで読めるから、
へえどんな本だろう、と思って買ったりして、パズルのピースを埋めていける。

電子書籍化を、よく音楽が電子フォーマット化されていった経緯に例える人がいると思うけど、
私は電子書籍のほうが、ずっと奥が深いと思う。

こんな感じで、「集合知」を作っていくようなアプリケーションこそ、
電子書籍にしか出来ないことであり、電子書籍にやってほしい、とわたしは思う。

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15 Comments

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おもしろいです! (freeter4649)
2010-05-25 11:21:08
初めまして。
Twitterから来ました。
そういうアプリあったら楽しそうですね~。

ニコ動は凄くレベルの高いサービスだと思ってるんですが、今回のLilacさんのアイデアはニコ動に近い感じで凄くおもしろそうです。

動画にしろ書籍にしろ直線的な時間の流れがあるメディアにコメントを載せると、バーチャルな一体感が生まれるんで、単なるコメントシステムより確実に盛り上がると思います。

キャプテン翼のシュートシーンを読んでて「なんでサッカーボールに当たっただけで人が飛ぶねん」という冷静なツッコミが横にあったらと思うと、興奮を禁じえませんよ。

例が下らなくてすいません・・。
もちろん、ビジネス書とか真面目な用途でも強力だと思いまし、僕も世界の経営者と書き込みを共有してみたいです。
でも、世の大半の読者は僕みたいにライトな話題が好きだと思うんで・・。

というか、近いうちにどこぞのスタートアップが作るんじゃないでしょうか?
もし僕にスキルがあれば、困ってる出版社かメーカーあたりに500万くらいのお値打ちプライスで売って美味いもんでも食いたいですもん。

では、前々回とか今回みたいな記事期待してま~す!
もとネタ (yumemakura)
2010-05-25 11:58:07
電子書籍だと書き手は慎重にならないともとネタがすぐばれるよ。
なるほどニコ動 (Lilac)
2010-05-25 13:12:36
@freeter4649さん
ニコ動はとても面白いサービスですよね。
早く海外展開しないのかな、といつも不思議に思ってるのですが。(あ、もしかしてしてる?)

MITのメディアラボにはAugmented Realityといって、現実の映像に文字などの情報を組み合わせて表示する技術を研究している方々がいて、
(セカイカメラに近い話です)そういうのを使うと、動画とか、書籍とかの枠を超えて、リアルでも常に、過去の皆とリアルタイムで感動を共感することが出来ますよね。

それってスゴイメディアだなあ、と思います。

こういうスタートアップを自分で作るって手もありますよね、たしかに。

@yumemakuraさん
そうですねー。
ただ最近の書き手は、もうそんな元ネタとか気にして無いんじゃないかな、という気もします。
むしろネタを色々使ってその組み合わせでオリジナリティを出すほうが・・。
旋律を作る作曲家のオリジナリティより、DJのオリジナリティが評価される時代、というべきでしょうか。
dynamicbooks (rudi)
2010-05-25 13:47:36
教科書限定ですが、こういうのがあるみたいです。
http://www.dynamicbooks.com/
私はこれを使ったことはありませんが、
これも電子書籍のメリット!! 講義に合わせて教科書をマッシュアップ
http://journal.mycom.co.jp/column/svalley/355/index.html
で紹介されている内容を読むと、学生同士でのメモの共有などができるようです。
お望みのアプリそのものではありませんが、結構近いのではないでしょうか。
ニコ動よりLayered Readingかな? (freeter4649)
2010-05-25 13:59:39
おー、丁寧な返事ありがとうございます。

ニコ動とか書いちゃいましたけど、最近話題のLayered Readingに近いかもしれませんね。
ARですか~。去年くらいから日本でも凄く話題になってますけど、普及するんでしょうかね?

ARといえば、ニコ動の人たちが去年あたりにニコニコ現実っていう試みをしてましたよ。誹謗中傷が問題になったりしてました。

いずれアホな奴が殺人事件ARとか作りそうで怖いです。
ある通りに入ってARメガネをかざすと、そこで起こった忌まわしい事件が再生されるみたいな。で、イカれた奴がそれにコメントしてるとかね。
技術自体に罪はないですけど、そういう怖いSF的な時代はすぐそこなのかもしれませんね。
Unknown (トゥグリル)
2010-05-25 15:26:51
初めまして

のだめのような場合はリンクされている演奏を漫画家自身が聴いてこれは私が思っていたのと違うと思うこともありそうですね

自分は浪人生なのですがこうゆう世の中で活躍している人のブログを見ていると将来への希望が膨らんできます

更新楽しみにしています
Unknown (elephant)
2010-05-25 18:49:36
いつも楽しく読ませていただいております。

わたしも電子書籍に対して全く同じような機能が欲しいなと思ったことがあり、いろいろと調べていたときに、同様のコンセプトで作られている電子書籍リーダーサービスを見つけました。

おそらくご存知だと思いますが、COPIAというサービスです。
http://www.thecopia.com/about.html
当初の4月オープンの予定が遅れて夏ごろになるようですが、手短にいうと「読む」ということのコンテクスト を構成する要素(見つける、知る、聞く、共有する…)をSNSとして提供するサービスのようです。


Copiaの問題は、iPadでもkindleでもfacebookでもない、独自端末、独自マーケットプレイス、独自コミュニティを用意しているので、ユーザー確保が難しそうなところです。
ただ発想は良いので、人気デバイス上で軽快に動くアプリを作って、人間関係はfacebookコネクトなどから取得すれば、おそらく、より良いものができるだろうなと思いました。

と情報共有は半分で、lilacさんに二つほどお尋ねしたいことがあります。


質問1.電子書籍リーダーのグローバルアプリ市場において、日本の企業にそもそも優位性があるのでしょうか?

日本企業にもチャンスはあるかもしれませんが、日本が主導でやれる可能性は、国内電子書籍市場の立ち上がりの遅さや、言語の壁からいっても難しい気がしております。

特に電子書籍リーダーに共有機能をつけるというアイデアは、COPIAがやろうとしているように、すでに多くの人が思いつき、実践しているものだと思います。

先行している海外でこれらのサービスが流行って、その成功モデルを日本という限定された(言葉や商習慣で守られた)市場に移植するという、いつものモデルはありえる気がするのですが・・・。

日本の出版社やメーカーが、電子書籍リーダーアプリのレイヤーで世界に対して勝負できる夢のシナリオについて、もしお考えがあれば、少し詳しく教えいただきたいです。


質問2.電子書籍リーダーのアプリ開発プレイヤーは、プラットフォーム提供側の一存で息の根を止められるリスクにどう対処すれば良いのか?

Appleが良い例ですが、急なガイドラインや仕様の変更により、アプリレイヤーのプレイヤーはいつでも抹殺されるリスクがあります。

仮にアプリ削除までの厳しい制裁でないとしても、Appleがソーシャルゲームのマッチング機能を提供することを決定したように、プラットフォーム提供側がこの戦場における主要機能(キラーアプリ)と思ったものは、自社でデバイスとバンドルさせてサービス提供を行なう可能性も高いかと。

もちろん、Apple,Amazon,Sony,Googleと複数のデバイス・プラットフォームが乱立することで、一企業独占による、こうしたリスクは減らせるかもしれませんが・・・

ただ結局のところ、デバイス・プラットフォームを握っている大地主が一番強くて、アプリ開発などの小作農が長期的に勝ち続ける優位性を構築するのは難しいのではないでしょうか。

夢に水をさすようなコメントで申し訳ないですが、上記2点について、ご意見などお聞かせいただけるとうれしいです。
欲しいものを書いているが、実は・・ (裏目の鶏 @uranometree)
2010-05-25 21:41:26
私はこういうものが欲しい・・・という「願望」を書かれていますが、すでにこのエントリ自体が電子書籍ビジネスの「提案」になっている・・・恐るべし。

>書籍も、地図に似てると私は思う。
なるほど、そのとおりですよね。

これから数年で読書が一気に別次元に行く。今まで沢山本を読んできた僕にとって、エキサイティングなんですよね。インタフェイスさえ整えば、読書って言うのは最もソーシャルに向いているんですよね。同じ本のことを多数の人と語り合える日が待ち遠しいです。

修士論文を書き上げてから、なんか文章雰囲気が柔らかくなっているように感じます。気のせいかな(笑)。
Unknown (Lilac)
2010-05-26 01:18:10
@トゥグリルさん
まああれはマンガなので、想像力を膨らませて読みたいですよね。
音楽へのリンクを張ると、その曲も電子書籍上で売れたりして、いいかもしれないですね。
iTuneから市場を奪うチャンスですよ!

@Elephantさん
そうCOPIA。
でも、私はさらに上を行って、「本を世界の中心にした地図」を作りたいと思ってます。
イメージはGoogle Mapです。

質問にお答えすると
1. そりゃ大変ですが、それが生き残る唯一の道ですから、やらないとダメなんじゃないですか?
「日本企業には出来ない」なんて言ってたらいつまでも出来ません。
やるのです

2.iPhone appsの流行で、アプリの「民主主義」を訴える人がアメリカでも増えてきました。恐らくデバイス側の勝手な都合で、一部のアプリを削除したり、というのはやりにくくなってきていると思いますヨ。

それから、是非前の記事を読んでいただければ、と思うのですが、
My Life in MIT Sloan -電子書籍はフォーマットとアプリを制したものが勝つ

アプリだけを提供するプレーヤーは大きくなれません。
アプリだけでは余りお金が取れないからです。
必ず、マーケットプレイスかコンテンツ、デバイスと垂直統合して推し進める必要がある、というのが私の主張です。
例えば価値のあるマーケットプレイスを持っていれば、、Bargaining powerを強く、全てのデバイスがその存在を無視することは絶対に出来ませんよね。

もっとも、小さいサービスのままでもいい!っていうならアプリレイヤーだけでやってもいいですが。
Unknown (Lilac)
2010-05-26 01:22:44
@Rudiさん
ご紹介有難うございます。
教科書市場は、アメリカではかなりバカに出来ないですよ。
教科書高いし、セカンドハンドが多いし。
前にもこのブログで議論しましたが。

@ミシガン民さん
恐らくミシガン民さんが特定されてしまうのでは、と思いコメント削除しましたが、
これからもよろしくお願いします

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