My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

おむつの話 (15.013 Industrial Economics)

2009-11-06 15:07:02 | MBA: MBA授業

MBAでもたまに日本のケースが取り上げられることがある。

2週間くらいか前の「産業経済学」の授業で、花王のケースが取り上げられたことがあった。
(また「産業経済学」。最近こればっかやね。)
1970年代後半、P&Gが紙おむつ「パンパース」で日本に攻勢をかけてきたが、花王はどう出るか?というケース。

おむつ事業のNPVやオプションバリューを求め・・・みたいなMBAファイナンス的なのもやるが、
おむつの性質を考えたり、国ごとのマーケティング戦略の違いを見るのが面白かった。

おむつみたいな製品を「Experienced Goods」というそうだ。
経験商品とでも訳すんだろうか?
理系の私は、経済学なんてMBA来て初めてやったので、日本語で何ていうかはよく知らず。

で、その意味は何かと言うと、消費者が自分が経験して良いと思ったものに引きずられ、それがベストだと思って囲い込まれてしまう性質の商品のこと、だそうだ。

例えば、化粧品がそうだ。
女子の皆さんは良く分かると思うが、「このブランドが私の肌に一番合う」と信じているブランドがあり、そればっかり買い求める傾向があるんじゃないか。
他のブランド全てを試したわけじゃないし、成分的には実はそこまでバリエーションが無い製品であるのに、「他のは合わない」と思い込んでしまってる、みたいな。
私なんかも、基礎化粧品だけは日本からカネボウを調達してる。
やっぱり、他のは肌に合わない、と信じてるのだ。

おむつはこの手の製品の典型。
「このおむつを使ったら子供が泣き出した」とか「このおむつだと安心して寝ている」といった、
どこまで科学的に違いが実証できるかわからない「経験」によって、消費者はおむつを選んでいる。
そして、一度「これだ!」と思ったら、絶対に変えない。

私と同じ会社のポルトガルオフィス出身のBernardoが、クラスでしてくれた話がまさに消費者行動の典型で面白かった。

最近、初めての子供が生まれた彼は、ブラジルに妻と乳児を連れて遊びに行ったそうだ。
彼の赤ちゃんのおむつは「パンパース」のみ。
他のでは泣いてしまうと信じている。

ところが、ブラジルには、「パンパース」という名では売られておらず、見つからない。
そこで、彼の奥さんは、P&Gのブラジル支社の電話番号を調べて電話し、「パンパース」のブラジル版を発見して、遠くの店まで買いに行ったのだそうだ。
近くのドラッグストアには、別のブランドのおむつは売っているのに、である。

消費者が一度「これだ!」と思ったら中々ひっくり返らない、Experienced Goodsの典型である。

じゃあ、こういう商品はどうやって売るべきか?
「試供品」が一番の解となる。
タダで配って試してもらって、「これいいわ」と思ってもらったら、しめたものである。
消費者はここでほぼ固定化される。

一方で、こういう商品には「テレビなどマスメディアでの広告」はほとんど効かないという。
テレビCMは金がかかる割に、個人の経験には余り影響を及ぼさないからだ。
実際、アメリカでは、おむつのCMが流れたりすることはほとんど無い。

ところが、日本ではおむつといえばテレビCMがほとんどだ。
だから、P&Gも花王もものすごい勢いでテレビCMに金を費やすわけだが、これは、アメリカ人には非常に意外な話だったらしい。

Pindyck先生が、日本で放映されているパンパースのCMを3本ほど見せてくれた。
どれも、可愛いぞうさんが、赤ちゃんと一緒におむつをはく練習をしたり、赤ちゃんがぞうさんの世話をする、という可愛らしいもの。
学生はみんなかなり真剣に見ていた。

何故、Experienced Goodsであるおむつを、日本ではCMで宣伝するのか?
それは、日本では長いこと「布のおむつ」が使われていて、それをひっくり返すのには、皆を啓蒙する必要があったから。
「布おむつ」は母親と子供の絆を結ぶものと当時は信じられていたそうで、これをひっくり返す必要があった。
また、「紙おむつ」を使って、母親が楽をすることが、母親失格ではないということだ、と友人など周囲の人を啓蒙する必要があったのだ、とPindyck先生は語っていた。

当時のことは知らないから、Pindyck先生の推論がどれだけ正しいか知らないけど、
私は、先生の話をまさに実証するような経験談があったので、クラスで話してみた。

実は私は小さい頃は布オムツであったらしい。
母がマメな人だったので、一日10枚も取り替えて、毎日のように洗濯していたそうだ。
「○○ちゃん(私の名前)はいつも、自分でまだおむつしてるのに、おむつ干すの手伝ってくれたのよ」
と母は良く嬉しそうに語っていた。
つまり、布おむつを娘と一緒に干すという行為で、母は娘との絆を確認していたわけで、まさにPindyck先生の言うとおりだったわけだ。
ゴミ箱に捨ててしまう紙おむつでは、この「絆」はありえないのだった。

ところが、次に生まれた弟は、紙おむつだった。
これも、面白いことに、その頃くらいから盛んになっていた紙おむつのテレビCMを見た、母の母親や義母が、
「布おむつは大変だから、こっちを使いなさいよ。最近はこういう便利なのもあるのよ」
と、紙おむつを大量に買ってきたのだという。
母は、紙おむつを使うのは、母親業をサボることのように罪悪感を感じていたのだが、義母が買ってきたので、使い始めたのだという。

「母親業」について文句を言うのは、通常その母や義母だろう。
まさにテレビCMは、ウチの場合、その義母たちを説得するのに有効だったわけで、周囲の啓蒙に役立っていたわけだ。
啓蒙するだけでなく、ウチの母の代わりに消費行動にまで移っていたという。

この話を聞いたPindyck先生は、「じゃあ君と君の弟はどっちが幸せだったのかな?」と冗談を言っていて、面白かったが、クラスからも大きく反響があった。

クラスメートの何人かと授業が終わった後に話して、「あの話は具体的でとても面白かった」とか「おむつを自分で干していたなんて可愛い」とか、まあいろんな反響があった。

MBAが終わって、皆各自の職業に戻り、授業で習った大方のことを忘れてしまうかもしれない。
が、いつまでも覚えているのは、こういうクラスメートが語ったインパクトのある経験談や、それにまつわる理論だけだったりする。
誰かが「学校を出て多くのことを忘れたあとに、残っているのが教育である」と言っていたが、まさにそうなのだろう。

MBAでは、各自学生が積極的に発言して、授業に貢献することが大切だ、と言われるのだが、こういうことなのだなあ、とちょっと思った。

話がずれまくったが、おむつの話でした。

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10 Comments

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初期投資 (Willy)
2009-11-06 16:18:17
おむつっていろんな大きさがあって値段が違います。3歳までで5~6種類のサイズを使います。

新生児用は「使う期間が短い」→「生産量が少ない &1パッケージの分量が少ない」→「単価が高い」となっています。その次のサイズが最も安く、あとは大きくなるにつれ徐々に値段が上がっていきます。もし最初に使ったものを使い続ける人が多いならば、メーカー側は赤字でも新生児用だけを安くて高品質にした方が良さそうですね。
Unknown (Lilac)
2009-11-06 22:42:50
>Willyさま

>おむつっていろんな大きさがあって値段が違います。3歳までで5~6種類のサイズを使います。

そう、これも授業で出ました。
本当に「5,6種類もサイズが必要なのか」という話。

これは、最初にキンバリー&クラークが「成長期によって種類を変える」というのをやり初めて、他社がすぐに迎合したそうです。
なぜか。
古典的ですが、小売店での棚面積を取れるから、という。
一時期は、男・女の2種類×5,6種類で出てたそうですが、小売店の猛反発にあってやめたそうです。
小売店としても、おむつのように利幅が薄くて場所をとるものに、そんなに棚を割くことが出来ないと。

実際には3種類くらいでも十分だそうで、「5,6種類必要だ」というのはまさにおむつ会社が作り上げたマーケティング幻想なんですよね。

>新生児用だけを安くて高品質に

うん、でも試供品を配れば買ってくれるので、新生児用を安くする必要が無い、というロジックもあります。

それに大きさが変わるようになって、「最近よく泣くな、合わないのかな?」と、サイズ変更を理由にスイッチングすることはあるでしょうからね。
Experience goodsといっても、そうやって事情が変わってくるものは永久固定ではないと言う。
まあ、それもスイッチングを狙ったマーケティング幻想なんですけどね・・・

化粧品でも、「年を取ると肌の質が変わるから違う化粧品が必要になる」といわれてブランドを乗り越えることがよくあります。
Experienced Goods (freedom)
2009-11-07 04:34:40
>日本では長いこと「布のおむつ」が使われていて、・・・  ・・・「紙おむつ」を使って、母親が楽をすることが、母親失格ではないということだ、と友人など周囲の人を啓蒙する必要があったのだ、とPindyck先生は語っていた。
これはアンケートなどで「なぜ紙おむつを使わないのですか」と訊ねられた時に答えられた建前回答によるものなのでしょうね。実態はかなり違ったものだったと思いますよ。

私は小学生でしたが妹のおむつ替えをしていました。やらされれていたというより世話をする楽しみでやっていたと思います(母親のうまい戦略にはまっていたかも)。布おむつと紙おむつの両方を時と場合により使いわけていて半々位だったと思いますよ。多くの方が両方使っていたのではないでしょうかね。
そもそも当初の紙おむつは今の紙おむつとは似て非なるものであったということを考えないといけません。おむつとしての性能はむしろ布おむつの方にあったと思います。当時の紙おむつはギャザーなんてものはないし横漏れなんて当然でしたし、もちろん高分子ポリマーなんて存在せず布の吸水力の方が高かったかも。長方形の少し軟らかめの紙を重ねたものを真中のところがジャバラ折りにしてあっただけですからね(当時は先発のP&Gが100%近いシェアなのでパンパースだったでしょう)。
1回ずつ捨てるということであれば紙だと布と比べれば若干価格が安く、布は洗えば再利用できるので1回あたりのコストは紙と比べればかなり安い。全てを紙おむつにするとコストがかかりすぎる。紙は再利用できないから布よりも心理的に捨てやすく(使い捨ての文化が流入)、布は再利用が前提だったため捨てがたく(歴史的経緯と日本人のもったいない精神)、洗う手間がかかる。比較的長時間仕様に耐えるよう調整ができる。できない。フィット感の違い。家か外か等それぞれのメリット、デメリットで使い分けされていたことと思います。

「母親が楽をすることが、母親失格では」なんて論調も一部にはあったでしょうがそれも男性や姑など母親とは関係のない所からの横槍でしかなく、その影響で一部にそういう風に思わされていた人はあったとしても実際のおむつ替えを行っていたのは母親であり、大きな影響はなかったでしょう(結果をみれば明らか)。日本では多くの場合、家庭内では(封建時代でさえ現在に至るまで)母親が実権を握っているからね。現実にはみかけのレディーファーストで男性が支配的なアメリカ人には理解できない部分であり、誤解するところでしょう(アメリカ人に日本では昔も今も女性が家計を握っているのが多数派だということを話せば驚かれますよね)。
現実は遅れた考えを啓蒙するなんてことではなくて、最終的にはやはり、おむつとしての性能とコストパフォーマンスの問題だったと思いますね。実際にユニチャームの参入で性能が上がり、コストが下がると一気に紙おむつが席巻し布おむつを使う人はほとんどいなくなりましたよね。(近年、布おむつの性能の良さを見直され、またエコの観点から布おむつを使う人もいるようです(TVでやっていたがほんの一握りでしょうが))

日本市場では、P&Gが花王をライバル視して争っているうちに現在では後発のユニチャームが高性能(ムーニー)と低価格(マミーポコ)の製品を出して市場の50%近くを押さえP&Gと花王がそれぞれ20%程度で争っていますね。
P&Gは現在でもExperienced Goodsとしてのマーケティング戦略では成功し最初の使用である病院の90%を押さえているにもかかわらずこの結果です(MBAでは間違ったことを教えているのか?)。近年まで他社よりも高価格設定だったこととあまりにも性能差がありすぎて消費者が他社に移っていったのにもかかわらず、日本市場の特殊性のせいだと言い訳しているうちにアジア市場もユニチャームのものになった(少し前のテレ東の番組で確かシェア70%だと言っていたと思う)今になってからやっと問題に気がついても遅いですよ。これこそExperience goodsとしてはばをきかすのですよ。(でも最後はおむつそのものを使わない習慣の中国市場を獲った方が勝ったことになるでしょうからこれからが本当の勝負というところか)
消費財のグローバル化は大変 (Lilac)
2009-11-07 06:12:43
>freedomさま

・・・おむつ、詳しいですね!
というか、たかがおむつですが、消費財というのは非常に奥が深いなといつも考えさせられますね。

>アンケートなどで「なぜ紙おむつを使わないのですか」と訊ねられた時に答えられた建前回答

そう、建前回答がどれだけ建前なのか、というのを見抜くのが本当のマーケティングの醍醐味で、
コンサルタントなどのバリューはここにあるんですが、流石にMBAではそこまではやりませんね。
(Kelloggみたいなマーケティングの学校では、やってるかも)

>最終的にはやはり、おむつとしての性能とコストパフォーマンスの問題

おっしゃるとおりだと思います。
ユニチャームの参入でコストが下がり、花王がそれに追従することで実際のシェアが広がった、ことについては、授業でもやりました。
(書くことが多すぎて書きませんでしたけど)
その辺はMBAも大丈夫ですよ。

>P&Gは現在でもExperienced Goodsとしてのマーケティング戦略では成功し最初の使用である病院の90%を押さえているにもかかわらずこの結果です(MBAでは間違ったことを教えているのか?)

アメリカではP&Gのシェアが既に6割以上に達し、2位のキンバリークラークが3割と、市場を二部してます。
南米なども同様。
このP&Gの病院戦略はかなり多くの国でうまく行ってるんです。

むしろうまく行かなかった日本が例外で、それが何故なのかを考えるところに面白さがあるんですよね。
Pindyck先生もこの授業で日本を取り上げたのはそこでして、そのひとつがテレビCMだった、というわけなんです。
CMのインパクトが大きすぎて、多分みんなはそこしか覚えてないかもしれないけど・・・

もうひとつ、消費財で面白いのは洗剤なんですよね。
これは私が前から書いてる「Dominant Design」に関連するところも大きく、そしてP&Gがアメリカ以外の国で大失敗している例の一つです。
日本もそうですが、ヨーロッパでも失敗している。
日本は粉洗剤がメイン・清潔さの感覚が違う、というマーケティング問題もありますが、ヨーロッパの場合は確か使っていい酵素や化学物質の基準がアメリカよりゆるくて、研究開発が間に合わなかったという問題もあるらしいです。

これもMBAにいるうちに、ちゃんと勉強しておきたいです。
日本独自の発展の形もあります (MK)
2009-11-07 07:32:18
最近盛り上がっているので、静観している古参コメンターのMKです。
一応オムツユーザーのパパとして、若干コメントします。
アメリカにきて驚いたのが、パンツタイプのオムツがないことです(日本では、パンツタイプとテープ型が市場を二分しています)。日本では歩く頃の年代(1歳半あたり)からは、パンツタイプが主流になります。しかし、アメリカではほとんどそういったものを見ません。正確にはパンツタイプはあるのだけど、これはトレーニングパンツ・もしくはナイト用という位置づけで価格も高いので、事実上テープ以外の選択肢はありません。思うに、これも日本での紙おむつの急速な要因だと思います。日本お得意の、米国製品のカスタマイズパタンです。価値観の変化や製品の急速な進化、特に日本独自の発展を経て、ドミナントデザインが決まって行ったのだと思います。
ちなみに、MBAの日本の事例はいつでもデフォルメされているので(価値観とかそういったものが日本の市場参入を難しくしているという記述やトヨタ式に対する異常なリスペクト等)、まあそれは半分エンターテイメントとして受け取る必要がありますよね。
価値観の違いが失敗の理由、と教えるのも一理ある (Lilac)
2009-11-07 12:28:23
>MKさん

ブログではお久しぶりです。

>正確にはパンツタイプはあるのだけど、これはトレーニングパンツ・もしくはナイト用という位置づけで価格も高い

へええ、それは知らなかった。
ただ、「それが急速な普及の原因」というのは言い過ぎではないかと思いますけど。
(日本でこのパンツタイプが生まれたのは、米国より後ですよね。それをトレーニングタイプ以外まで拡張したところがすごいのであって)

>ちなみに、MBAの日本の事例はいつでもデフォルメされているので、(価値観とかそういったものが日本の市場参入を難しくしているという記述や

それに乗っかって「経験談」を話して先生の話を補強してみた私(笑)。
まあでも、「価値観」の議論は、結構本質突いていることが多いと私は思いますよ。

私は外資系企業の日本進出を手伝ったことが(インターンを含め)何度もありますが、
上記のFreedomsさんのコメントにあるように、コスト理由など論理的な理由であれば、納得できるが、
それ以外の理由の場合、「価値観や文化の違い」としか説明できないことが多々あります。
日本人が見ると「これは売れないだろう」と一瞬で分かるものが、こっちの人にはわからないのですから。

ドミナントデザインで決まる部分もたくさんありますが、例えば洗剤でP&Gが失敗したように、単に日本人の洗濯における「白さの追求」「香りは石鹸系のみ」を理解していなかったために、失敗した、という事例があります。

もちろん、これもこれだけが失敗の理由じゃないだろう、と言うつっこみがまず出るわけですが、
重要な理由をいくつかに絞らなくては、問題の解決も出来ないので、米国企業はこう考えます。

さらに、何故白さを追求するのかに、特に論理的な理由は無いわけで、価値観や文化の違い、としか説明できない。
だから彼らはそう理解するわけです。

だから、MBAでやっている話は、デフォルメではなく、本当に米国企業がそうとしか理解していないから、そう書かれている、と言うことが多々あると思います。

トヨタの例もそう。
米国の企業たちは、実際にそのように理解しているんです。
そういう意味でエンターテイメント以上に、深い意味があると思いませんか?
マーケティング (freedom)
2009-11-08 05:53:22
おむつに詳しいというよりも数ヶ月前にユニチャームのことを経済ニュースや経済情報番組で何度もでていたので頭に残っていたということです。ユニチャームが戦略で意図的にやっていたのかマスコミ関係とかアナリストの誰かが注目してやっていたのかはわかりませんがP&Gと花王の記事にユニチャームのことを書き込んでいる私もその意図にはまっていたということでしょう。

>例えば洗剤でP&Gが失敗したように
P&Gのマーケティング力には素晴らしいものがあって、日本市場でもマーケティングで新たな市場を作っていって成功してきましたよね。この部分でもMBAでは失敗例として教えている?のであれば何か違うような。失敗した部分はアメリカ巨大企業的な傲慢さで日本市場向けのマーケティングをないがしろにし、他社を甘く見て後発に製品開発で遅れをとり、先発投入でせっかくとったシェアを徐々に失っていったというところでしょう(強引な流通戦略で通産官僚を敵にまわしてしまったのもある意味では失敗だったともいえるかも)。それを日本市場の特殊性のせいにしてしまいマーケティング力の評判を落とさないようにしたというのが真相では。MBAではP&Gの失敗の部分よりも日本市場開拓の成功の部分を取り上げてもいいのでは。「全温度チアー」で洗濯用洗剤の市場を作り(一時期は安売り攻勢で圧倒的なシェアをもっていた。失敗した部分は営業からの情報をフィードバックして製品開発に生かすことができなかったことで徐々にシェアを落とし最後にアメリカ企業らしくエコ(無りん化)に遅れて全く売れなくなった。それと噂(他社が仕掛けたのか?)だけだったのか事実だったのかわかりませんが(子供だったから)青染することがあるという問題があってイメージダウンして安くても売れなくなったことがあった思います)、日本での製造協力企業の玄武石鹸が作っていた「モノゲンユニ」で合成洗剤でセーターを洗うという市場を作り(モノゲンユニの洗い上がりの香り良かったですね。今でも思い出します)、最近でも「ファブリーズ」でファブリーズするなんていう動詞化されるほどの新たな形の消臭剤市場を作ったり、常に新たな製品を市場に投入し先行企業として成功してきましたよね。市場開拓だけでなくCMでも売上低迷していた台所用洗剤の「ジョイ」を復活させたり成功例も多いですね。
そういえば日本では洗剤に用途別の規制があるようで体にも食品にも衣類にも台所用品にも何にでも使えるとうたって洗剤を販売することはできないようですね。自然に流しても自然もきれいになるというエコなバイオ洗剤(池等の水質改善もできるみたい)を作っている東大阪の社長さんがなげいておられました。
洗剤は地域によって水も違うし(硬質、軟質でかなり影響があるでしょう)、習慣の違いで汚れの元も違ったりするのできめ細かなマーケティングが必要でかなり大変でしょうね。

ところで私は花王の「アタック」を魔法の洗剤と呼んでいます。なぜ魔法の洗剤なのか。洗濯用洗剤としてももちろん優れた洗剤ですが、私は洗濯用以外の用途で使用しその洗浄力に驚いているのです。たいてい他のその用途向けの洗剤よりも「アタック」が有効なことが多いのです(洗濯用洗剤が競争が激しくていつの間にかすごい能力をもってしまっているのでは。今や万能洗剤です)。それに気がついてからは私はまず「アタック」を試してみます。(最大手PBの韓国製の洗剤も使ってみましたが全くだめですね。洗浄力は10年は遅れていますね。PBも安ければよいというものでもないでしょうに。消費者を甘く見てこんな商品売っていたらかつてのダイエーのようになる日も近い)おもしろいところでは、ホワイトボードに誤って普通のマジックを使った場合、ウエスに軽く水を含ませ「アタック」を少しつけて拭いてみましょう(ボードが傷つくのが気になる場合は洗剤を溶かしてからウエスに含ませましょう(粉のままの方が早く汚れが落ちます))。きれいにとれますよ(もちろん洗剤が残らないように二度拭きしてくださいよ)。私は以前は99%のエタノールを使用していましたがエチルアルコールよりも「アタック」の方が早くてきれいに落ちます。オフィスなんかによくあるポリエステルの絨毯っぽい床にコーヒーなんかをこぼした時も床用の専用の洗剤では染みが残るのですが「アタック」ではすぐに汚れが落ちました。古くなったリノリウムの床独特の黒っぽい汚れも思いのほかきれいになりますよ(リノリウムは中性洗剤でないと化学変化を起こすので新しい床では使用しない方がよいです(アタックは弱アルカリ性)。張り替える状況の時に試しに使ってみれば延命できるかもということです)。黒ずんでいるスチールの棚やロッカーもピカピカです。台所周りや強力油汚れのファンやコンロなんかもかなり有効ですよ。
P&G (Lilac)
2009-11-09 09:07:23
>Freedomさま

>P&Gのマーケティング力には素晴らしいものがあって、日本市場でもマーケティングで新たな市場を作っていって成功してきましたよね。

ええ、ファブリーズとか成功例ですよね。
P&Gの日本進出の全てが失敗例だなんて私も全く思ってないし、そう教えている人も絶対にいないと思いますよ。
安心してください。

>この部分でもMBAでは失敗例として教えている?のであれば何か違うような

洗剤(洗濯洗剤のことです)の失敗例の話は私がP&Gの洗濯洗剤の世界進出に関する論文を読んだだけです。
これをMBAでどう教えるかは、MBAや教える先生によって違うのでは?

P&Gはアメリカでは超成功企業と認識されていますし、MBAの学生の人気就職先でもあります。
そんなP&Gでも失敗することがある、という事例は、MBAの学生に教えるには私は教訓として非常に良い教材じゃないか、と個人的には思っています。
Unknown (Unknown)
2009-11-24 01:23:09
勉強になりました。

中国でも同じようなことがあって、前に粉ミルク騒動が起きて以来、日本の粉ミルクが大人気です。
明治とか森永も中国で売っているのですが、人気があるのは日本で売られている粉ミルクでした。わざわざ日本から知人ずてで運んでもらうのです。

多分日本ブランドはまだまだあるんだと思います。
なんか「経験」ということからこの事を思い出しました。
粉ミルク (Lilac)
2009-11-24 12:22:38
>Unknownさま

確かに。
中国では野菜とか食べ物も、中国産のものは避ける、とSloanの中国人の友人が言ってましたね。
日本産がBest Qualityだそうです。
自分の国で作ってるものが最も信用できないって、どんな国だ・・って思いますよね。

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