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チアパスの先住民の村を訪ねる:チャムーラとシナカンタン-メキシコ旅行(17)

2009-04-14 07:49:45 | ●メキシコ・中南米

チアパスの先住民を訪ねるツアーは、どこのツアー会社に頼んでも、
結局チャムーラとシナカンタンという二つの村をバスで訪ねるものになる。

チアパス州はメキシコで最も貧しい州のひとつと言われる。
先住民の村を訪ねるツアーは、この州の大きな観光資源のひとつなのだ。

春休み前のこの時期、わざわざ内陸のサンクリストバル・ラスカサスまでやってくるお客は少ないようで、ツアーに参加していたのは10名ほどだった。
メキシコの大学に研究で来ているというアメリカ人の女性3名と、あとは英語の通じないフランス人カップル、
メキシコ人カップル、そしてアメリカ人の子供連れの家族。

■チャムーラ村

サンクリストバル・ラスカサスから車で30分以上走ったところに、ようやく現れるチャムーラ村は、
キリスト教と土着の宗教がミックスした、とても独特の文化を持っている。
このトーテムポールが、まさにそれを物語っている。

村に着くと、ツアーガイドの青年が、なにやら怪しい店に全員を連れて行く。
そこには、いろんな種類の「Posh(ポッシュ)」というお酒が売っている。
薬草をテキーラに漬け込んで作るらしく、変わったにおいがする。
そのお酒は、体を清めるためのお酒で、教会に行く前に、皆が飲むものだそうだ。

ものすごいアルコール度数の高い酒で、すぐに酔っ払う。
なるほど、この酩酊した状態で、儀式を執り行うのか。
別に観光客は飲まなくてもいいのだが、世界中の酒を飲むのが好きな私は当然飲む。しかも2杯。

これが広場にある教会。
この村では、人々が「ものに魂が宿る」と信じており、更に「写真を撮ると魂が取られる」と真面目に信じているので、
余りむやみにカメラを向けてはいけない。
写真を撮るときは、撮っていいか、といちいち尋ねるのがコツである。

教会の中は、異世界だった。
たくさんのろうそくがちりばめられており、とても暑い。
床には藁がしいてあり、服を頭までかぶった女性がたくさん床に座って、なにやら怪しげな祈祷を行っている。
そして、色んな薬草などを燃やしているのか、独特のにおいがする。
それぞれの女性の前に、信者がひざまずいて座っている。
みんな、さっきの強いお酒を飲んでいるので、この暑くて独特のにおいの中では、トランス状態だ。
これは、本当に怪しい。
写真厳禁なので、写真はないのだが、ずっといると、自分もおかしくなりそうなので、外に出てきた。

外に出ると、ツアーガイドの青年がいて、彼と立ち話をする。
この村出身の青年なのだが、実はスゴイ人だった。
チャムーラ村の学校を一番優等で卒業したので、州の奨学金が出ることになり、それでアメリカに留学したのだそうだ。
アメリカに留学した彼は、初めて、メキシコという国がどのような財政状況に置かれ、
その中で、チアパス、そしてチャムーラという村がどのような立場に置かれているかをまざまざと知る。
何故、自分の村はこんなに貧しいのか、1994年に大変だったのはメキシコ危機の影響だったこと。
結局チャムーラの村が、国の援助を受けずに自立するには、観光の促進しかないと考えた彼は、地元に戻って、ツアーガイドの会社をやっているのだ。

広場の真ん中では、民族衣装を着た女性がたくさん並んでいる。

これは何?とガイドさんに聞くと、実は国の政策で、チャムーラ村における女性の立場向上のため、女性にだけ、政府の補助金でお金が配られるという話だった。
要は、国のお金で、女性にへそくりを提供するということらしい。
そんなことをしても、結局家計に吸収されてしまって、女性の立場向上とは何の関係もないのだけど、とツアーガイドは履き捨てるように言った。

暇なので、市場の方に行ってみた。
市場はかなりの人でにぎわっている。

トマト、ホワイト玉ねぎ、アボガド(グワカモレ)、唐辛子・・・。
貧しい街だけれど、食生活は豊かなのだな、と思わせる。

こんな内陸の地だから、鮮魚はないのだが、あらゆる種類の干し魚がある。
そんなものが、日本以外の国にあるなんて知らなかったから、これは驚いた。

しばらく市場を楽しんだ後、自由散策の時間が終わり、バスに戻る。
次のシナカンタン村へ出発だ。

途中、川で洗濯する女たちがいる、こんな光景が。
本当に貧しいんだな、と思った。

■シナカンタン村

シナカンタン村は、交易中心で特産品も何もないチャムーラと違い、色んな工芸品を作っていることで有名なところだ。
観光客向けに、伝統工芸品を作っているところを見せる、小さな一角があり、そこを訪ねた。

色とりどりの美しい織物。
全て手織りで、ここで買うと、500ドルみたいな法外な価格を取られる。
(それでも買っていく金持ちアメリカ人がたまーにおり、そういう人たちが彼等の生活を支えてるわけだ)

実際に織っているところを見学。昔ながらの機織をつかう。
向こうにいるのは、織物に、さらに刺繍を施す人たち。
ひとつの織物を織るのに、1ヶ月近くかかるそうだ。

本当に、こういうのを見ると、資本を投下して織機でも買えば、もっと大量に生産できるのに・・
などと思うが、こういうのは大量生産したら、価値を失ってしまうのだろう。
ここで手織りで織っているから、500ドルの価値があるのだ。

別の家の中では、ここの特産の緑色のとうもろこしを使った、トルティーヤをいただいた。

とうもろこしの粉を少量の水で練った生地を、丸く広げる。
広げるときは、なにやらビニールのようなものを使っている。
これが便利らしい。

そして、それを釜の上で焼く。
ちょっと不衛生な感じはするが、焼いているので大丈夫と言うことだろう。

近くに見えるのが、その緑や赤紫のとうもろこし。

ガイドさんが、そのトルティーヤに、地元のトマトや玉ねぎを使ったサルサソース、アボガド、
ヒヨコマメ、そして、ヤギの乳から作ったカッテージチーズなどをはさんで、我々に振舞ってくれる。

おなかが空いていたせいもあって、とても美味しかったから、つい二つも頂いてしまった。
そして、ここにもポッシュが・・・。
いろんな種類の果物をテキーラに漬け込んで作っているようで、いろんな種類がある。
2,3種類試す。

正直テキーラを何杯もショットで飲んでいるようなものなので、2,3杯も飲むと酔っ払う。

先住民のツアーは不思議なツアーだった。
この現代に、こんな風に伝統の宗教や、生活を守って暮らしている人たちがいるのか、というのを
実際に見るのは驚きで、まるでタイムスリップしたような気分になる。

(メキシコ旅行の記事はとりあえずここで終わりです。読んでくれて有難う!)

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