走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ケアの基本

2015年03月23日 | 仕事
私の仕事は限定した患者層にプライマリーケアを提供すること。プライマリーケアについて書いたブログはこちら

限定した患者層は、メンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層。なぜかと言うと医療離れしてしまう人が多く、そのため疾病の進行が平均人口より早く、疾病比率も高く、病院の滞在日数も多い、そう言う一般的に難しいと言われる患者層をターゲットにプライマリーケアを提供する。医療離れしてしまう原因は予約が守れない、忘れっぽい、診療所などで市民に服装や匂い、態度について白い目で見られるから行きたくない、医師に誤解されやすい、医師とうまく話ができない、電話がない、家がない、メンタルヘルスや薬物依存があるがためにファミリードクターから断られるなどなど理由は様々。そう言う患者層を相手にいかに医療離れを防ぎ、健康に興味を持ってもらうかが腕の見せ所と言うのがわたしの仕事。

この仕事をしていると「大変ねー」「よくそんな人たち相手にするわねー」とか頻回に言われる。確かにチャレンジングな患者層だ。しかし始めてみて思ったのが、患者さんは患者さん。みんな同じ人間!これに関して以前書いたブログはこちら。

ホスピス緩和ケアを始めた時もそうだった。病気を治すと言う固定概念からすると緩和ケアは医療の敗北の証?そう言う歴史のもと緩和ケアは長い間ないがしろにされていた。そんな既存の医療や社会の中で傷つく人は大勢いた。美加は私と向き合ってくれる、話を聴いてくれる、痛みを解ってくれる。人間らしさが戻ってくる。緩和をしていた時によく言われた言葉だ。

今の仕事をしていて同じことを言われ、医療と社会の中で疎外させられてきた人々の痛みを感じる。精神病を罹患しているから、薬物依存だから、ホームレスだからと言って人間の価値がなくなるわけはない。みんな同じ人間。

緩和を離れるのは辛かった。しかし緩和で培ったケアの基本が今の仕事にも生かされている。



春スキーももうすぐ終わり。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。