走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

アクセスの不平等さ

2021年09月12日 | 仕事
毎回書きますが、教科書のような白黒はっきりする診断と治療計画がたつ時は簡単なんです。そうでない時が一番難しいわけで、その時にどれだけ安全策が立てられているかが最も重要になるわけです。

だからしつこいぐらい患者に
抗生物質を始めて3日経っても症状が軽快に向かわなければ必ず再診してください。息苦しさが悪化すれば救急室へ行ってください、などなど、「いつ」「どこへ」をしっかり説明します。

ここまでしておいて再診に来ないし救急からの連絡がなければ症状は回復した、と治療者は思うのですが、私の患者の中には理解力が非常に低い方もいらっしゃるので、「良くなったに違いない」と推測だけでは危険な時があります。そういう時は自らフォローアップの電話などを入れる事もあります。

で、症状の回復がみられていない、しかし明日は週末、、、そんな時には救急へ行く事を勧めます。しかし患者の殆どが

救急は嫌い。絶対行かない。

と言います。それほど私の患者層にとって病院や救急は居心地の悪い場所。ホームレスと呼ばれ、臭い、と言われ、薬物してるからこんな事になるのよ、と捨て台詞を吐かれたり、言葉にしなくても態度でわかる、と言います。

自分には美加がいるから大丈夫、と嬉しい事を言ってくれます。でも私は救急のように医療機器やスタッフがあるわけではないから、救急と同じ事はできないのよ。それにね救急に行く理由は命が危ないから。居心地なんて贅沢な事言っている場合じゃないでしょ〜と言いそうになる。

患者には治療を選ぶ権利がある。それがマイナスな結果になろうとも。でも居心地の悪さが無ければ、その理由で避ける人が減るんだから、こう言うところにもアクセスの不平等さって出るんですよ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。