河野美砂子の「モーツァルト練習日記」+短歌+京都の日々の暮らし

3/20(水祝)15時 東京藝大奏楽堂 河野文昭退任記念演奏会 シューマンピアノトリオ第2番他

批評の基本

2007-08-31 23:14:42 | ショパン
9月12日の講演会「ショパンが知りたい」、
定員50名余りのところ
今週初めに64名で締めきり、
まだキャンセル待ちが10人ほどとか(!)。

やっぱりショパンって
人気あるんですねぇ。

2時間くらいのお話のなか
電子ピアノでミニ演奏も、という
従来の講演会とは違ったスタイルが
ひょっとしたら良いのかしら?

なるべく啓蒙的なお話(その生涯など)は半分くらいにして
ピアニストとして
楽器を使いながら
現場のお話(ここが面白い、とか、ここのこの音が天才だ、とか)
をたくさんしたいと思ってます。

とは言っても
たとえば少年の頃のエピソード
(夏休みの滞在先で新聞を発行、意外にもユーモアたっぷり等)や
社会的な背景(ポーランドの革命)、
ジョルジュ・サンドとの恋愛など、
押さえておかなければならないこと多々あり。

で、
遠山一行著「ショパン」(講談社学術文庫)を再読。

久しぶりに読みましたが
思わず線を引く箇所続出。

こんなに良い本だったとは。

昔に読んだときは
ちょっと難しかったのかも。

遠山さんの文章が
ある意味信頼できるのは、

批評文として、つまり文学としてこれを書く
という立場を貫きながら
いつも基本に在るのは
「耳」という点です。

楽譜や、社会的背景や
ショパンという人物像などのことではなく、

ショパンの音楽を「耳で聴いた」
その印象を必ず基本として
(作品に魅せられる、ということが基本)、

なぜそういう曲が生まれたのか
さまざまなことを調べ
書きながら思考していく
という態度が貫かれているからです。

まず
その対象物への「愛」がベースにある、
ということが
批評の基本だということ
あらためて感じました。