ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

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夏季研修会2日目の報告です!!

2014-08-22 10:18:29 | 対話型鑑賞
夏季研修会2日目の報告です!!


みるみる夏季研修会 2日目 「みる・考える・話す・聴く」ことについて考えよう
平成26年8月20日 9:00~12:00 江津市立青陵中学校 多目的室にて
講師 京都造形芸術大学 講師 北野 諒氏
参加者 16名(一般参加者7名、みるみる会員9名)
主催:Art Communication in Shimane みるみるの会
共催:江津市教育研究会

 みるみるの金谷です。みるみるの会夏期研修の二日目は、「『みる・考える・話す・聴く』ことについて考えよう」というテーマで、県内の小中学校の先生方に参加を呼びかけて開催しました。講師の北野先生による、ブラインド・トークと対話型鑑賞のワークショップの様子を中心にお伝えします。

1、 はじめに
コミュニケーションを使った教育:アート作品だけでなく、古地図、理科の資料、国語の詩などでも行われている。
背景:学校において「言語活動の充実」「鑑賞指導の充実」「コミュニケーション教育」がうたわれている。

コミュニケーションを使った教育とは、どういうことが行われて、どういうことが起きていくのか?
そもそも、コミュニケーションに必要な力とは何か?
美術教育ではコミュニケ―ションはどう行われているか?
美術教育ではもう少し具体的に「みる・考える・話す・聴く」と柱を立てて、鑑賞教育をやっている。
実際に体験してみましょう!


2、ブラインド・トーク ワークショップ
ブラインド・トーク:目隠しをした人に対して、見えている人が見ているものについて話して伝える。

○実演:北野・金谷 スクリーンに映し出された作品をみて、金谷がアイマスクをした北野氏に話して伝える。
(レポートをお読みのみなさんも、どんな絵かちょっと想像してみてくださいね。)
金谷:縦長の絵。背景は青空で、絵の中心におじさんが立っている。おじさんは黒い服を着て、手にはパレットと筆を持っている。
北野:どっちの手に?何を?
金谷:向かって左、いやいや、おじさんの右手に筆。左手にパレット。肘曲げてて、おなかの前でパレット持ってる。
北野:(筆やパレットを持つしぐさ)こんな感じ?
金谷:そうそう。それでそのおじさんは、帽子をかぶってる。ナポレオンみたいな帽子。
北野:ナポレオンみたいな帽子?こんな感じ?(頭の上で形作る)幼稚園児がかぶるような?
金谷:そうそう、そんな形だけど、幼稚園児がかぶるのかはわからない。ナポレオン帽子。おじさんの顔は、日本人ぽくない。西洋の人。ほっぺが赤くて、酔っ払っているみたい。
北野:!?。ちょっと、変な感じの人ですね。じゃあ、まわりの風景も、西洋的な?
金谷:そうそう・・・
と、顔の特徴や背景について、お互い聞きあうところで実演終了。

ブラインド・トークの流れを確認し、「では、二人一組でやってみましょう!」と、ワークショップがスタートしました。ペアで2作品を見たのですが、どんな作品だったのか、シェアリングの様子から、想像してみてくださいね。

○ブラインド・トーク ワークショップの流れ
・1枚の作品を見てブラインド・トーク
・ブラインド・トークで何が起こっていたのか、ペアでふり返る
・ペアでのふり返りを全体でシェアリング

○ふりかえりのポイント
・想像通りだったところ/違ったところは?
・うまくいった/いかなかった理由は?
・ブラインド・トークのコツは?    

○1作品目の全体でのシェアリングから
・イメージ通りに伝わった。描かれている物の関係など、くわしく伝えたところはよくわかった。自分が気になったところは伝えたが、そうでないところは伝えて無かったことが分かった。
北野:細かく言葉を使って描写していくことが大事。同時に、見落としもあることも意識していく。どういう順番で伝えるか、また見比べをすることも大事。

・全体の印象を言わなかったので、イメージが違った。全体の印象をどこまで伝えるか。光のことは伝えてよかった。
北野:順番が大切、全体の枠組み→個々のことへ

・自分が知っているもの、べっこうやチークブラシなど想像しやすく分かりやすく言ってもらえて、わかりやすかった。
北野:印象を話す。客観と主観を織り交ぜて説明することで、いきいきとしたイメージを伝えることができる。
 
・自分が気になったことを、説明してしまう。置いてあるものの向きまでは言ってなかった。「じゅうたんがランダムに敷いてある」見ている方は当たり前だが、見えてない方には伝わっていなかった。
北野:見えている方にとって当たり前なこと、これは絵画なのか写真なのかなど、抜けてしまう。共通認識の刷り合わせも大切。

・マグリットの作品のよう→伝わってきた。クッションみたいなもの→四角いものをイメージ。
北野:イメージが伝わったらうれしい。相手を見ながら言葉を選ぶ。
クッション→単語だけで伝えると、四角いものを想像。どこがどうなっているから〇〇だというプロセスも伝える。

・全体の印象について伝えていなかったことが分かった。鏡に映ったカーテンのことを細かく説明していた。
北野:伝えている側も伝わっているか不安。聞く側も分からないところを質問しあう。お互いに、補完しながら。

○伝え方のコツを意識しながら、聴き手と話し手を交代して、2作品目のブラインド・トークへ(作品が映し出されると、見えている方の「はぁ????」といった空気で会場がいっぱいになりました)

○ふりかえりのポイント
・コツを意識して、1回目と変わった?
・変わった/変わらなかった理由は?
・ブラインド・トークのコツは?
(ポイントの確認後、2つ目の作品が映し出されると、アイマスクをしていた方々から、「えーっ!」という声があがりました)

○2作品目の全体でのシェアリングから
・抽象画に見えた。ろうそくだけ見えた。話しながら、描いてある物を発見して説明していった。
北野:言葉にすると、後から発見する。ある程度、整理ができてからは説明しやすい。

・人に見えなかった。最初、画面全体が鳥に見えた。クジャクの羽が広がっているように見えた。右下に「死んだ」の文字で、鳥が死んだ絵だと思った。
北野:言葉を与えられると、発見する。言葉によって見え方がごろっと変わる。

・最初抽象だと思った。余白の無い絵だと思った。女の人がベッドで横たわっていることや、色の配置から、死のイメージをもった。
北野:客観的な事実を伝えることで、イメージを伝えることもできる。今回はペアだが複数人で伝えると、見方も広がるのでは?

・先ほどの絵と比べて、リアルでない、きれいでない等の比較の言葉があった。幸せな感じの絵ではない。着ているもの、赤だが血のような色。
死骸をむさぼるような鳥、野外、荒れたタッチから、戦争に関係しているような絵と思った。
北野:背景のストーリーも伝えるのも大事

・全体のイメージとプロセスを伝えようと思った。白髪一雄のような絵。足で描いたような絵。激しいタッチの中によく見ると顔があると伝えたが、相手がイメージしたものは違っていた。
北野:共通した作家などで伝えることもできる。伝えあう中で、どうしてもずれが起こる。ずれを、どうポジティブに捉えるか。ずれを、解釈の可能性を広げるものと捉えることもできるのでは。

・色を伝えたいけど、どのようにいったらよいかな?言葉にするのが難しい。
北野:顔みたいな…。「~みたいな」って何?と、聞く側も、断言できないというところを想像する。

○「みる・考える・話す・聴く」ことについて
みる:細部までじっくり。全体から部分へ比較観察、要素を見比べる。
考える:観察にもとづき根拠をふまえ、想像や推測をする。複数の可能性を考慮。
話す:思考を的確に言語化。聴き手のことを考慮しつつ、客観的に表現。
聴く:他の人の意見や考えをじっくり聴き、協働して新しい意味や価値を生み出す。

話し手と聴き手の共同作業が重要
話し手と聴き手は入れ替わることができる
教える/教えられる関係ではなく、お互いが対等に「聴きあう」関係の方が、コミュニケーションも学びも深まる。


3、ヴィジュアル・シンキング・タイム(対話型鑑賞のワークショップ)
ヴィジュアル・シンキング・タイム:見えているものについてグループで話し合いながら、見えているものが何なのかについてグループ・ディスカッションを行う。

○実際に対話型鑑賞(京都造形芸術大学では「ACOP」)を体験。
(北野氏(ナビゲイター)と参加者(鑑賞者)による対話の大まかな流れを記しています。)

北野(○):最初時間を取るので、すみずみまでじっくりとご覧ください。
(しばらくして)第一印象や直感などどうぞ。

参加者(・)小さな子どもかな、と思ったが妖怪みたい、人じゃない
・見透かされそう、こわい、嫌な感じ
○どんなところから、こわい?見透かされそう?
・黒目の中にみどりがある
・顔全体がおめんみたい
○どんなところからお面?
・白い。こわい

○印象や感じられたことを、どんどん言っていきましょう。
・口にくわえている、ピオーネ?噛み砕きそう。汁がでそう。
〇あやうい、かわってしまいそう
・くわえているもの。ビー玉?あめだま?幼い子?でも目がきびしい
〇厳しさはどのへんから?
・目がきれあがっている
〇子どもにしては似つかわしくない。裏を返せば、子どもってこうでない
・見透かされそうだけど、こっち見ていない。鼻の孔はこっちむいている。耳もない。人として、拒絶してる。
○拒絶しているのはどこから?
・やや上方に視線ずらす。かまったら許さんぞ!
〇強烈な拒否
・拒否されてるけど、みられている

・子どものプロポーション。花柳界の人のよう。大人の女の人のプロポーションにはまったら、パーツ的にはいい。
〇子供に見えるけど大人にもみえる

○では、首から上、顔を中心にみていきましょう
・大人の自分から見ると、見上げている
・ぎょっとする。子どものイメージ、かわいい。大人のような眼をして見返している
〇自分の中の子供像を見透かされている
・口は口紅?口、歯も見えない、ふしぎ
〇口 落としそう?
・見て!という感じ
〇見てほしいという訴えかけ?
・みてほしい感じ。まずいもの食べさせられた。まずいぞ!行動と目つきで不満表す
〇不満はどこから?
・眼のふち赤い。ふくれてる。
〇鼻息、感情が荒巻いてる。何を食べさせられた?
・自分の期待を裏切られたもの

・無表情なだけに、自分の気持ちを反映しているよう
〇こちらに問い返されているよう
・初めに話したことと矛盾。ないはずのまゆをイメージ。話を聞いていると妄想。ダヴィンチのモナリザのよう。

・食べ物 命をつなぐ 青→苦さが何かをたとえているよう。赤い髪 寒色と暖色の対比の激しさ。拒食症。
・拒絶しているものが激しくて、赤い髪
〇内面では感情が燃えている。妖怪から拒食症まで出てきました。体の方にも範囲を広げてみてみましょう。
・手が内側に巻いているよう、内気な感じ
〇服は?
・肩で重心を取るようなワンピース。白、ベージュ。
〇あまりにもなで肩?
・妖怪っぽい
〇デフォルメされている、生き物?人間?
・骨格がイメージできない。顔は筋肉もイメージできる。腹話術の人形のよう。質量さえないようだ。力の無さ。
〇不安定で、存在感希薄
・服に飾りがない。病室のパジャマ。
〇病んでいる
・顔をかくして体だけ見ると、人形のよう。生命感、感じない。
〇人形、無機質、愛でるもの。
では、顔と体の印象結びつけて、背景も踏まえて考えていこうかと。背景はどう見られていますか?
・肩のラインなどから、つりさげられているよう。鞄にぶらさがっている。
〇人形のストラップ
・真っ暗の中に浮かび上がっている。額にライトが当たっている。いつからいたの。すごくさみしい。
・顔拒絶している。みつけてもらった。みてほしいけど、素直に。いつからそうしているの?かなしい
〇みてほしいのか、かかわってほしいのか、そうでないのか。こちらに問い返されるよう
・髪の毛自体、思い切った省略。顔だけが強烈な強い存在感。
〇髪の毛、背景に溶け込んでいってしまっている?

〇こちらを見返しているような、拒絶しているような。強さと希薄。相反した感じ

・ビー玉、吐き出したら。危ないことをして、声をかけてほしい。見ている人を試しているような感じ
・危ないことするけどいいの?挑戦的。話を聞いていると、自分の中で整理できなくなっている。
・生徒に似ている。見上げた時の顔に似ている。遠くから見ると、顔の部分が迫ってくる感じがする。 
〇自分を試されている。現実の人との関係性。この目で問い返されているよう。

○対話を始めて40分。いいストーリーができたと思います。(ワークショップ終了)


4、感想や質疑(・参加者、○北野氏)

・(対話型鑑賞で)種明かしみたいなのはありますか?
〇(この作品の題名は)「キャンディ ブルー ナイト」

・この絵を選んだ理由は?
〇先生方に身近な生徒を想像してもらえる。自分に引き付けてみてもらえる。
小中学生 物語みたいなのが想像しやすい作品を。この絵は、小中学生には難しいかも。
題名を出して、連想ゲームをすることもある。「キャンディ」から、自分のもっている子どものイメージを問い返されることにつながる。

・題名を聞いて、病弱→元気な女の子をイメージした
〇情報を出すタイミングや、(情報を出したことで)乗ってくるかどうか。情報の出し方考える。
 例、「『ゴッホ』の椅子をみてみよう」→ゴッホ=耳切→赤はみんな血、ととらえられたことも
 情報を出す→もろ刃の剣であることも意識して

・作者の背景、どんな思いで描いたの?エピソードなどどう扱う?
〇正解として与えるのではなく、1つの材料として投げ込むことはある。
 この作者、中年のおじさんだけど、おじさんがこの絵を描いてるってどう思う?とか投げ込んでもおもしろいかも。


5、じろじろセットについての説明と配布(島根県立石見美術館 廣田学芸員)
・じろじろセット:ワークシートとアートカード(64枚)のセット
・アートカード(島根県立美術館と石見美術館の収蔵品)を使って、美術鑑賞を
・ワークシートは、発達段階に併せて作成
・島根県下、全小中学校に配布中。
・使い方については、出張授業も行うので、石見美術館にぜひ問い合わせを!

参加者の感想から
〇ブラインドトークは初めて体験しました。研修を重ねるたびに新たな発見や気づきがあります。今回も勉強になりました。(30代 男性)

〇ブラインドトークが面白かったです。イメージを共有する難しさを実感しました。客観的事実と自分の個人的な実感を共に伝える、その割合や出す順など工夫が必要だなあと感じました。(30代 女性)

〇参加のお誘いありがとうございました。子ども美術館に足を運びます。学芸員の方の出前授業の情報も頂いたので一人でがんばらずに、皆さんと一緒に鑑賞教育できるといいなと感じました。(40代 女性)

〇作品を言葉にする面白さと難しさを楽しみました。教える教わるの関係ではなく・・・という示唆に富んだ展開も勉強になりました。(30代 女性)

〇ブラインドトークは初めて体験しましたが、自分で説明するときには、やはり自分の主観にもろづいたの説明なので、しっかり相手に伝えるのって難しいなあと思いました。特に自分の解釈が人と違うということに気付けてよかったです。(40代 女性)

〇自分とは違う見方だったり考え方だったりを聞くことができて有意義な時間になりました。伝えることの難しさと伝わることの楽しさを味わうことができました。

〇ブラインドトークで、目で見たことを言語だけで伝えるのはとても大変です。コミュニケーション力をつけるには効果的かと思います。評価をどうしようと思いました。授業で使うにはワークシートを工夫する必要があるなあと思いました。(青春時代 女性)


 みるみるの夏季研修会2日目も、あっという間の3時間でした。今回の研修での学び&体験を、自分の経験に落とし込んでいけるように、日々精進!していきたいです。私たちがすでに持っている、「みる・考える・話す・聴く」力を、昨日よりちょっと発揮しながら、コミュニケーションをとっていきたいですね。
 以前、内観の先生から教えていただいた言葉に、「集中内観は、電柱を立てること。日常内観は、電線をはっていくこと。いくら電柱が立っていても、電線がなければ電気は通らない」と。もし、研修会などに参加することを「電柱を立てる」こととしたら、その学びをもとに日々実践していくことが、「電線をはっていく」ことと、言えるかもしれません。子どもたちによりよいものを届けられるように、電柱を立て、少しずつでも電線を伸ばしていきたいです。
この研修会に参加してくださったみなさん、ありがとうございました。これからもともに、学び続けましょう。そして、この研修会のために島根までお越しくださった、北野諒先生、2日間たいへんありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

レポートを読んでくださった皆さん、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

金谷さん2日間にわたってのレポートありがとうございました!!
ちなみに今回の研修で扱った作品は以下のものでした。
2日目のブラインドトークの作品は1作目がマグリット「個人的な価値」、2作目が熊谷守一の「陽の死んだ日」でした。
ヴィジュアルシンキングの作品は奈良美智の「キャンディ・ブルー・ナイト」でした。

次回は、浜田世界こども美術館で開催された「日本の中のはまだの美術」最終回の正田会員のレポートです。
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