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『パリの街の<門>のお話』1

2017-06-25 | Weblog



パリには5つの<門>があります。

①凱旋門
②カルーゼルの凱旋門
③サンドニ門
④サンマルタン門
⑤新凱旋門
これらをご紹介します。


まずは世界的にも有名なシャンゼリゼ通りの根元にある広場にそびえている①の凱旋門からご紹介します。
もう皆さんご存知でしょうし行ったことがおありになるか方も少なくないでしょう。
また競馬の世界ではパリ郊外シャンティイ競馬場で行われるの凱旋門賞(G1)(The Qatar Prix de l' Arc de Triomphe)が有名です。2017年には5頭の日本からの出馬があるようです。
1着賞金 2,857,000ユーロ(約3億5千万円)ですが、登録料が90万とあってはおいそれと出場できませんね。

また「凱旋門」と聞くと往年の大スターイングリッドバーグマンとシャルルボワイエ主演で
第二次大戦前のパリ、リヴィエラを背景としたメロドラマの映画が記憶にあります。バーグマンが魅力的でした。

7月14日は毎年パリ祭が開かれ凱旋門をパレードする大統領や軍隊や警察官などテレビでも見ることが出来ますね。
このように凱旋門はフランスにとっても特別な建造物なのだと思います。


★凱旋門(L' Arc de triomphe de l'Etoile )

メトロ1、2、6号線 RERA線 Charles de Gaulle - Etoile(シャルルドゴールエトワール)

凱旋門の周りはロンポワン(ロータリー)と言ってぐるりと道路です。凱旋門に行くには地下道を通らなければんりません。
車では凱旋門を眺めるだけですが側を行こうとすると12本の道路からのべつまくなし車がロンポワンの中に入って来ます。右側優先ですが、乱暴な運転をするパリジャン・パリジェンヌに気押されて、行きたい道に入れず凱旋門の周りを10周もしてしまったという友人がいました。

凱旋門のある広場は、凱旋門を中心に、シャンゼリゼ通りを始め12本の通りが放射状に延びていてその形が地図上で
光り輝く星のように見えるので「星の広場ラ・プラス・ドゥ・レトワール la place de l'Etoile」と呼ばれていました。なので「エトワール広場の凱旋門」と言うのが正式名称ですが、現在広場はシャルル・ド・ゴール広場 と名称が変更になっています。


シャルル・ド・ゴールは人名です。フランスは道や場所に人名を付けるのが大好きです。
フランス18代大統領で、陸軍軍人だったド・ゴールは、シャルル・アンドレ・ジョゼフ・ピエール=マリ・ド・ゴール(Charles André Joseph Pierre-Marie de Gaulle)という長い長い名前をお持ちで、「ド・ゴール 」の「ド」は「公」とか「卿」の意味です。

昔はこの「ド」を名前に付けることが対外的に有益だったので、「ドde」をお金で買った人たちがいたとか。
人間は昔も今も肩書に弱いもののようです。

ド・ゴールさんは下級貴族の出です。曽祖父はルイ16世の法律顧問、祖父ジュリアンは歴史学者、父アンリも医学・理学・文学の博士、という頭脳派の家系でした。

ド・ゴールさん自身は子供のころから軍人を目指していたようで中学卒業後陸軍士官学校に入ります。
第二次世界大戦の時はレジスタンスと共に働きその後大統領になり、いったん政権を退いてからもアルジェリア内線の時に活躍したフランスの英雄です。

第一次世界大戦の時は死んだと思われて戸板に乗せられ捨てられそうになったとか、捕虜になって5回脱走をしたけれど2メートル近い身長があったために5回とも失敗して拷問を受けたとか、たくさんの逸話があります。
ちなみにド・ゴールの名前の付いた施設などはフランス語圏にいくつもあるようです。






話がそれましたが、凱旋門は「戦勝のアーチ」という名の通り、オーステルリッツの戦いに勝利した記念に1806年、ナポレオン・ボナパルトの命によって建設が始まり、ルイ・フィリップの王政復古時代の1836年に完成しました。

幅 : 45 m奥行き : 22 m、古代ローマの凱旋門に範を取ったもので、新古典主義の代表作の一つ。
屋上からパリの街を一望できますが、登りは250段の階段です。ヒーヒーものです、下りはエレベーターが使えます。

ナポレオンは凱旋門の完成を見ることは無く、1840年にパリに戻った時は、棺のまま凱旋門をくぐりました。
凱旋と言うには悲しい行進でした。
またエトワール凱旋門の下には、第一次世界大戦の無名戦士の墓がありますので、常にろうそくと花束が飾られています。







ーーーオーシャンゼリゼ 






「凱旋門にて」



加代子はテレビ画面に映る凱旋門を見ながら昔のことを思い出していた。

初めて加代子がパリに行ったのは、もう30年も前、彼が仕事でフランスに赴任をし遠距離恋愛が2年にもなろうとしていた時だった。初めのうちは頻繁だった彼の手紙が段々と間遠くなり加代子は二人の関係に不安な気持ちが芽生えていた。自分の中でもはっきりさせようと思い、休みを取って逢いに行くことにしたのだった。

彼は仕事が忙しく空港には迎えに来られないというし、彼のアパートの住所では加代子が探しだすことは無理だろうと、パリで有名な凱旋門で待ち合わせをすることにしたのだった。

空港からタクシーに乗り、フランス語がわからないので地図の「凱旋門」を指さした。「D'accord!〈がってん承知!〉」と景気のい声で運転手さんは車を走らせた。
加代子は英語もあまり地自信がなく、何か聞かれてもあいまいな微笑で「わかんない」風を見せたが、運転手さんはお構いなしにしゃべっていた。

凱旋門に着いた。
「ここなら待ち合わせにぴったりだよ」と・・・・言ってくれた気がした。
ところが待てど暮らせど彼はやってこないのだ。
彼の自宅に電話をかけても居る訳が無いし、会社の電話番号は知らなかった。便利な携帯など無い時代だったのだ。
ただ、待つしかない。
知らない外国で、荷物を横に置き、ポツンと立っていることが不安だった。

一時間もしたころ、加代子の横に車が止まった。先ほどのタクシーの運ちゃんが窓から顔を出して。
「まだ来ないの?変だね。この凱旋門じゃ無いんじゃない?」と言う。
「え?凱旋門ってここでしょう?」
「凱旋門は他にもあるよ。今新しい門が造られているから、最近の待ち合わせはそこじゃないかな」と・・・言っている気がする。

不安に駆られていた加代子はもしかしたらほかの場所なのかもしれないと思い始めていたのだ。
もし凱旋門の裏手に彼がいたら・・・いやそんなことは無いだろう、探してくれるはずだ。
そうは思うのに、時間にうるさい彼がこんなに遅いわけがない。加代子はまた車に乗り込んで「運転手さん、その別の凱旋門に行ってください」と頼んだ。

運転手さんは車をゆっくり走らせてくれたが、新しい凱旋門はまだ工事中の部分も多く彼のような人は見つからなかった。
運ちゃんは相変わらず一人で何かしゃべっているが、フランス語なのでよくわからない」
そのうち別の方向に走り出した。
_え?この運転手さんどこに行く気かしら_加代子は、恐ろしくなってきた。
「ちょっと、おろしてよ、どこに行く気?」思わず日本語で叫んだ。

運ちゃんが目の前を指さした。
ルーブル美術館の通りに綺麗な凱旋門が加代子の目に飛び込んできた。

「ああ、凱旋門だぁ」
だが、見渡しても彼はいなかった。加代子が泣きそうになっていると、

運ちゃんが、「乗って」と手招きする。

運ちゃんは相変わらず一人でべらべらしゃべっている。

20分もしたら別の凱旋門が目に入った。「サンマルタン門」指をさして運ちゃんが言う。
そのすぐ先にも綺麗な彫刻が施された門が見えた。「サンドニ門だよ、パリで一番古い門なんだ」

「ええ、いったいいくつ凱旋門があるの?」加代子は彼がきちんと説明してくれなかったことに腹が立った。

だが、そのどちらにも彼らしい人はいなかったのだ。
「運転手さん、もういいです。ホテルに行ってください」と加代子はホテルの場所を書いた紙を見せた。

運ちゃんは悲しそうな加代子の顔を覗き込んで、「大丈夫だよ」と笑顔を見せた・・・気がした。

運ちゃんはもう一度凱旋門を見て行こうと戻ってくれた。

最初の場所にまた立ってみたが、やはり彼はいなかった。もう約束の時間から2時間半経っている。
パリが夕暮れに差し掛かっていた。

もうだめだ、私たちはもう縁がないのだ、加代子がつぶやいた時だった。
彼がシャンゼリゼ通りを走ってくるのが見えた。

「ごめん!仕事が長引いたんだ。どうしようかと思って、気が気じゃなかった。本当にごめん」と
加代子をしっかり抱きしめた。
加代子は人前で抱きつかれて、運ちゃんが見ているのにと、恥ずかしさと彼に逢えた安堵でとうとう泣き出してしまった。

運ちゃんはニコニコしてなにか彼に話している。
「一人で不安そうだったから乗せただけだよ。結局ここに居れば君たちは逢えたんだから」そう言ってお金は受け取ってくれない。そうはいかないよと彼。「メーター壊れているんだ」と運ちゃん。
「じゃ、これはチップだから」と札を一枚にして渡すと、「ならもらうよ」と言って加代子にウインクした。


加代子は運ちゃんの親切が嬉しかったし、思えばパリの凱旋門をみんな見ることが出来てかえって良かった、と
彼に笑顔を見せたのだった。




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