保健福祉の現場から

感じるままに

地域医療構想区域ごとの協議の場

2014年02月25日 | Weblog
今国会で提出(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/186.html)された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」で注目されたのが、要綱(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/186-07.pdf)の「第三医療法の一部改正 3 地域医療構想を実現するために必要な措置」で「都道府県は、構想区域等ごとに、診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者、医療保険者等の関係者との協議の場を設け、地域医療構想の達成の推進に必要な事項について、協議を行うものとすること。(第三十条の十四第一項関係)」である。医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36では「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、地域医療構想(ビジョン)に関する区域ごとの協議についても、保健所が重要な役割を担うのは間違いない。協議の場には「医療保険者」が入ることも注目され、医療計画と医療費適正化計画の一体的推進にもつながるであろう。厚生労働省資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=148716&name=0000014431.pdf)p3では、圏域連携会議「実績なし(秋田県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、三重県、京都府、奈良県、岡山県、徳島県、香川県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県)」とあるのが少々気になるが、取り組まれている県の方が多いことは事実である。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医学部新設の行方

2014年02月25日 | Weblog
M3「特区の新設医学部「理解できない」、医学部長病院長会議「政府の腰がひけている」との指摘も」(http://www.m3.com/iryoIshin/article/191953/)。<以下引用>
<2月に国家戦略特区における医学部新設について「東北の新設とは別」とする政府の答弁書が出たことについて、全国医学部長病院長会議の役員からは2月20日の会見で、「理解できない」「(特区に医学部ができるとは)考えていない」などとする声が出た。東北の新設に対する医療界などからの反発で「政府の腰がひけている」との指摘もあった。国家戦略特区における医学部新設について、同会議会長の別所正美氏は、東北の新設と違って検討方針がないことを踏まえて「考えていない」とした。同会議顧問の森山寛氏は、「英語による教育」や「海外で働く医師の育成」などのアイデアが出ている点について、「現実と夢が混ざっている。そもそも論が理解できない」とした上で「あってはいけない」と釘を刺した。同会議顧問の小川彰氏は、東北における新設方針が、医療界だけでなく、岩手県を除く東北5県の首長らからも反対意見が出ている点を指摘し、「政府は腰が引けている。『特区でも作る』と言ったら、もっと(反発が出て)炎上することは自明で、(政府も)簡単にできないのでは」と見通した。>

衆議院「東北地方における医学部新設に関する質問主意書」(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a186019.htm)、答弁(http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b186019.htm)が出ている。文科省「東北地方における医学部設置認可に関する基本方針について」(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/11/1341992.htm)について、全国医学部長病院長会議(http://www.ajmc.jp/pdf/seimeibun25.12.02.pdf)、日本医師会(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20130925_12.pdf)が医学部新設に反対を表明しており、行方が注目である。引き抜きにあう各地の病院も気になるところである。東日本大震災の際には、全国各地の病院から医師が応援にきたが、医学部新設は一時的な応援ではない。医学部新設よりも柔軟な対応がしやすい医学部定員増が図られてもよいのではないか、と感じる。1月27日、文部科学省「平成26年度医学部入学定員の各大学の増員計画について(1月時点)」(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/01/1343622.htm)が出ており、資料(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/01/__icsFiles/afieldfile/2014/01/27/1343622_01.pdf)によると、地域枠で6大学24人(弘前大5人、秋田大2人、筑波大9人、埼玉医科大4人、東京医科大2人、東海大2人)の定員増加である。各大学の取組の概要(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/__icsFiles/afieldfile/2013/12/16/1342504_1.pdf)(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/01/__icsFiles/afieldfile/2014/01/27/1343622_01.pdf)をみれば、地域枠では、へき地や外科系医師養成に戦略的に取り組まれることがわかる。平成26年度予算案では、「地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律」を改組した法案で新たな基金「医療提供体制の改革のための基金」を設置し、904億円が計上され、①医療従事者等の確保・養成、②在宅医療の推進、③医療提供体制の改革に向けた基盤整備について、都道府県が整備計画を策定し実施することになっている(保健衛生ニュース平成26年1月6日号)。地域医療再生基金(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saiseikikin/)と同様に、財政的には地域枠に取り組みやすいといえるかもしれない。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

子宮頸がん予防ワクチンの行方

2014年02月24日 | Weblog
朝日新聞「子宮頸がんワクチン接種者調査、回答の4割「体調変化」」(http://apital.asahi.com/article/news/2014022400001.html)。<以下引用>
<子宮頸(けい)がんワクチン接種後に長期的な痛みなどを訴える人が相次ぎ、国が接種の推奨を中止した問題で、6自治体が独自に接種者の追跡調査をしたところ、いずれも4割前後の人が何らかの体調変化があったと回答していたことがわかった。接種推奨の再開を視野に入れる26日の国の検討会を前に、患者や専門家からは原因究明を求める声が上がっている。■「全員の追跡調査を」 神奈川県茅ケ崎市は、2011年3月~13年10月に接種した小学6年から大学生までの計5275人にアンケートを送り、2382人から回答を得た。接種後に体調の変化があったと答えたのは921人(38・7%)。「注射部の痛みなど」70・9%、「体のだるさなど」11・1%、「手足の痛み」3・7%、「失神」0・6%などの症状があり、調査時点で症状が続いていた人は15人だった。こうした体調変化は広義の副作用に当たる。それまで同市が把握していた副作用が出た人数は5人。担当者は「やっと全体像がつかめた」と話す。>

読売新聞「子宮頸がんワクチン、被害者家族が支部設立」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=93399)。<以下引用>
<子宮頸がんワクチンの副作用とみられる健康被害が相次いでいる問題で、道内の被害者家族が21日、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会の北海道支部を設立すると発表し、道庁で記者会見した。ワクチン接種後に発作などが続いている長女(16)の症状を理解してもらえずに苦しんできた美唄市の佐藤美也子さん(41)が道支部の代表に就任。「被害者家族が孤立しないよう、支援の輪を広げたい」と抱負を語った。副代表には恵庭市の金沢千世さん(39)が就いた。金沢さんの長女(17)は、高校に通っていたが、ワクチン接種後、全身のけいれんに悩まされ、休学を余儀なくされている。金沢さんは「娘に普通の高校生らしい生活をさせてあげたい」と訴えた。全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会によると、都道府県支部の発足は神奈川、群馬、鹿児島に続いて4か所目となる。子宮頸がんワクチンを巡っては、被害の報告を受け、厚生労働省が昨年6月、積極的に勧めることを一時的に差し控えると発表した。その後、同省の有識者検討会のメンバーが副作用はワクチンの薬液が神経の異常などを引き起こしていると説明するのは難しいとする見解で一致したことで、再び接種が積極的に勧められる可能性がある。この点について支部発足に尽力した柿木克弘道議は「まずは被害者の救済を優先させるべきで、国は慎重に議論してほしい」と語った。問い合わせは道支部(0126・64・2686)へ。>

日本産婦人科医会プレスセミナー「子宮頸がん予防ワクチンの効果とリスク」(http://www.jaog.or.jp/news/HPV/HPVreport2014.1.31.pdf)、「子宮頸がん予防HPVワクチン接種の接種勧奨差控え延長について」(http://www.jaog.or.jp/news/PDF/HPV2013.12.26.pdf)が出ているのであるが、どうなるであろうか。子宮頸がんワクチン被害(http://vpoint.jp/category/feature/cervical_cancer)も無視できないように感じる。1月の健康局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-03-04p.pdf)p48では、子宮頸がん予防(HPV)ワクチンについて、「平成25年9月末までに報告されたHPVワクチン接種後に広範な疼痛又は運動障害を来した症例は130例(報告頻度:10万回接種あたり約1.5件)+保護者報告、被害者連絡会報告、文科省調査として111例があり、積極的な接種勧奨の再開は継続審議」とある。昨年12月25日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000033881.html)のサーバリックス資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000033849.pdf)では、昨年8月~9月の2ヵ月間におけるサーバリックス接種による医療機関からの副反応報告(重篤例)は15例で、ガーダシル資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000033850.pdf)では同様に12例である。それぞれ症例一覧も出ているが、これをみると、HPVワクチン接種を控えたくなる気持ちはわからないわけではない。1月20日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会・薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000035220.html)での子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの副反応に関する論点整理(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000035213.pdf)も理解したい。2月26日の「予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi127715)が注目される。しかし、子宮頸がんの予防は、ワクチンだけではない。この際、子宮頸がん検診を徹底したいところかもしれない。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

精神保健福祉法改正

2014年02月24日 | Weblog
2月14日の日本精神科病院協会改正精神保健福祉法説明会資料(http://www.nisseikyo.or.jp/news/gyousei/2852.html)には目を通しておきたい。2月12日の中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000037024.html)で診療報酬改定が答申されている。個別改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)のp100~「精神病床の機能分化」、p104~「精神疾患患者の地域移行と地域定着の推進」、p110~「身体疾患を合併する患者への適切な医療の推進」、p113~「適切な向精神薬使用の推進」、p116「児童・思春期の精神科医療の推進」、p117~「認知症対策の推進」もみておきたい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイナンバーの行方

2014年02月24日 | Weblog
社会保障・税番号制度(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html)について、「平成28年1月に個人番号付番、29年1月から国の機関間での情報連携、29年7月から地方公共団体との情報連携」「社会保障関係8システムの改修は27年12月頃までに完了させる必要」とある(保健衛生ニュース2月24日号)。内閣官房資料(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/gaiyou_siryou.pdf)をみておきたい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

難病患者支援ネットワークと在宅医療・地域包括ケアシステム

2014年02月24日 | Weblog
診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)のp53~の在宅療養後方支援病院の新設に注目である。[算定要件]①当該病院を緊急時に入院を希望する病院としてあらかじめ当該病院に届け出ている患者に対して算定する。②500床以上の病院については15歳未満の人工呼吸を実施している患者若しくは15歳未満から引き続き人工呼吸を実施しており体重が20kg未満の患者又は神経難病の患者に限り算定することができる。[施設基準]①200床以上の病院であること、②入院希望患者について緊急時にいつでも対応し、必要があれば入院を受け入れること、③入院希望患者に対して在宅医療を提供している医療機関と連携し、3月に1回以上、診療情報の交換をしていること、とある。これからの急性期病院は、退院前からの調整(医療介護連携)や在宅医療のバックアップ等の観点から、在宅医療・地域包括ケアシステムの中にあることを認識したい。その中で、500床以上の病院については、神経難病患者等に限定されていることについて、難病患者支援ネットワークが在宅医療・地域包括ケアシステムを先導するモデルになるともいえるかもしれない。以前、東京都豊島区の在宅難病患者訪問診療支援事業をベースにしたICTによる多職種連携システムを推進している事例を聞いたが、難病患者支援ネットワークからの在宅医療・地域包括ケアシステムの推進は、市型保健所にとっても比較的取り組みやすいテーマといえるであろう。また、災害時の要援護者支援も難病がモデルになっている地域が少なくないであろう。さて、12日には難病の患者に対する医療等に関する法律案(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000036237.pdf)と児童福祉法改正案(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000036370.pdf)が閣議決定された。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000036245.pdf)p9、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000036372.pdf)p7にあるように、新たな医療費助成制度は来年1月施行であり、今後、慌しくなる。特に気になる点は、以下の点である。①今年の既受給者の更新はどうなるか。例年更新手続きと来年1月対応分手続きの2回になるのは避けたいところである。②既受給の56疾患の中で指定から外れる疾患の対応がどうなるか。厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会「難病対策の改革に向けた取組について(報告書)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000032632.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000032669.pdf)p6では「医療費助成の対象とする疾患は年齢によらず、患者数が人口の0.1%程度以下、原因不明、効果的な治療方法が未確立、生活面への長期にわたる支障の4要素を満たしており、かつ、客観的な指標に基づく一定の診断基準が確立している疾患とする」とあり、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000036245.pdf)p11の疾患別の受給者証所持者数をみれば、「患者数が人口の0.1%程度以下」が微妙な疾患がある。「効果的な治療方法が未確立」も気になる疾患がある。1月30日の厚生科学審議会疾病対策部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000036113.html)では、「現行56疾患について、要件を満たさない疾患は既認定者の実態を踏まえ、必要な予算措置など医療費助成とは別の対応を個別に検討する、と述べるにとどめた」と報道されている(保健衛生ニュース2月10日号)。報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000032669.pdf)p9では「新たな制度を施行する時点で特定疾患治療研究事業の医療費助成の対象であった者については、負担増を緩和するため、3年間の経過措置を講じる。」とあるが、外れる疾患はいつ明らかになるのであろうか。新制度施行時(平成27年1月)に間に合うのであろうか。③難病指定医による難病患者データのデータベースへの登録が円滑にいくかどうか。登録には、相当の報酬等がなければうまくいかないように感じるが、政府予算(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000036240.pdf)には勘案されているのであろうか。④訪問看護の取扱いはどうなるか。報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000032669.pdf)p9では「都道府県が当該患者に対し、介護保険における医療系サービスについて必要と認める場合には医療費助成の対象とすることを可能とする。なお、具体的な取扱いについては、国においてガイドライン等の検討を行う。」とある。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地域包括診療料と地域包括診療加算

2014年02月21日 | Weblog
読売新聞「地域包括診療料…高齢化社会で高まる主治医の役割」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=93199)。<以下引用>
<厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は12日、2014年度からの診療報酬改定について答申しました。目玉のひとつが、主治医機能を評価したという「地域包括診療料」です。高血圧、糖尿病、脂質異常、認知症の4つの病気のうち2つ以上ある患者が対象。「主治医」になれるのは診療所または200床未満の病院の医師で、患者の健康管理を行うのはもちろん、患者がかかっている全ての医療機関や服薬内容を把握することや、介護保険に対応できること、在宅医療に対応できることなどの条件を満たすことが必要です。通常の再診料72点(1割負担なら70円、3割負担なら220円)に代わり、月1回1500点(同1500円、同4500円)を請求することができます。患者にとってみれば、月の負担は4200円~1500円ほど増えることになりますが、頼れる主治医を持つことで安心を得ることができるということになります。条件には、対象患者に対しては院内処方を行うことも定められています。国は従来、医師は処方箋を出し、薬は調剤薬局が出すという医薬分業の推進を図ってきました。医薬分業には、かつての薬価差益を背景とした薬漬け医療の是正に狙いがあったとされ、患者の服薬状況の全体的な管理は薬剤師が担います。今回、院内処方が条件とされたことは、主治医に服薬管理も任せる分、薬局における調剤料、管理料などの削減につながるものとなっています。「地域包括」とついた新設の診療料には、もうひとつ「地域包括ケア病棟入院料」があります。急性期の治療を終えて在宅復帰を目指す患者の受け皿となる入院病床という位置づけです。診療報酬での「包括」と言えば従来、様々な医療行為をひとまとめにして算定するものという意味合いでした。今回の「地域包括」は、単に丸めた意味での包括ではなく、患者を地域全体で支えるという意味であることが大きな違いです。>

診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)のp42~「主治医機能の評価」は正確に理解しておきたい。「(新) 地域包括診療料 1,500点(月1回)」について、p43~では「診療所においては、当該患者について原則として院内処方を行うが、カの場合に限り院外処方は可能とする。カ) 診療所において院外処方を行う場合は、下記の通りとする。a. 24時間対応をしている薬局と連携していること。b. 原則として院外処方を行う場合は当該薬局を対象とするが、患者の同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。この場合、夜間・休日等の時間外に対応できる薬局のリストを患者に説明し、文書で渡すこと。c. 当該薬局に患者がかかっている医療機関のリストを渡すこと。d. 患者は受診時に薬局発行のお薬手帳又は当該医療機関発行のお薬手帳を持参すること。その際、医師はお薬手帳のコピーをカルテに貼付する等を行うこと。」とあり、条件を満たせば、院外処方も認められる。p44では「診療所の場合は、ア) 時間外対応加算1を算定していること、イ) 常勤医師が3人以上在籍していること、ウ) 在宅療養支援診療所であることをすべてを満たすこと」とあり、ハードルは高い感じがする。診療所については、p45の「(新) 地域包括診療加算 20点(1回につき)」が一般的かもしれないが、p47では「ア) 時間外対応加算1又は2を算定していること、イ) 常勤医師が3人以上在籍していること、ウ) 在宅療養支援診療所であること、のうちいずれか一つを満たすこと。」とあり、あてはまらない診療所が少なくない。なお、p47で「健康診断・検診の受診勧奨を行いその結果等をカルテに記載するとともに、患者に渡し、評価結果をもとに患者の健康状態を管理すること。」とあることに注目したい。通院患者に対して、健診・がん検診の代わりに、病名をつけて保険診療で検査をするようなことはあってはならない。p46では「当該医師は関係団体主催の研修を修了していること。(当該取り扱いについては、平成27年4月1日から施行する。)」とあり、当面は研修の行方が注目される。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

在宅医療・介護連携と保健所

2014年02月21日 | Weblog
先日、「保健所が在宅医療・介護連携の推進にかかわることはどこに書いてあるのか」という信じられない話を聞いた。地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1344472453581/files/zenbun.pdf)では、p2、p5、p12で医療連携、医療介護連携に関する保健所の役割が示され、特に「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1344472453581/files/zenbun.pdf)p5では、2 保健所の運営 (1)健康なまちづくりの推進で、「域の健康課題を把握し、医療機関間の連携に係る調整、都道府県による医療サービスと市町村による保健サービス及び福祉サービスとの連携に係る調整を行うことにより、地域において保健、医療、福祉に関するサービスが包括的に提供されるよう市町村や関係機関等と重層的な連携体制を構築すること。」とあり、地域包括ケアの推進は、健康なまちづくりの一環であるとともに、重層的な連携が要請されていることは認識したい。また、医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36では「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とある。昨年12月27日の社会保障審議会医療部会の「医療法等改正に関する意見」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000033983.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000033981.pdf)p9では、医療と介護の連携の推進で、「都道府県は広域的に対応する必要がある調整等について保健所を通じて市町村の支援を行うことも重要である。」とされている。昨年10月発行された厚労省「平成24年度 在宅医療連携拠点事業 総括報告書」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/seika/dl/h24soukatsu.pdf)p60で、「保健所は、これまでに医療計画を通じた在宅医療の推進に留まらず、難病対策、地域リハビリテーション対策、がん緩和ケア対策、認知症対策、介護予防対策等の実績があり、地域の関係機関・団体に働きかけやすく、これらの技術的なノウハウがある等の強みがある。これまで取り組みの経験がない市町村に対して市町村どうしの情報交換を促し、市町村を越えた広域での調整を行うなど、積極的な支援が期待される。」と記述されている。「保健所が在宅医療・介護連携の推進にかかわることはどこに書いてあるのか」といわれる方は、法に基づく指針、通知、審議会報告書等のほかに、これ以上、何が必要なのであろうか。確かに、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030649.pdf)p9~10に出ているように、在宅医療・介護の連携推進は、市町村主体の恒久的な制度として、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけられ、地域包括支援センターと医師会が連携して、①地域の医療・福祉資源の把握及び活用(地域の医療機関等の分布を把握し、地図又はリスト化し、関係者に配布)、②在宅医療・介護連携に関する会議への参加又は関係者の出席の仲介(関係者が集まる会議を開催し、地域の在宅医療・介護の課題を抽出し、解決策を検討)、③在宅医療・介護連携に関する研修の実施(グループワーク等の多職種参加型の研修の実施)、④24時間365日の在宅医療・介護提供体制の構築(主治医・副主治医制等のコーディネート)、⑤地域包括支援センター・介護支援専門員・介護サービス事業者等への支援(介護支援専門員からの在宅医療・介護に係る総合的な問い合わせへの対応等)がイメージされている。国立長寿医療研究センターから、「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/handbook/handbook2013.pdf)も出ている。しかし、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の地域包括ケアに関する保険者の評価項目では、「地域連携パスの作成」「地域の急性期病院との連携のための会議」「地域連携パスを協議する場」「地域の回復期病院、維持期リハ関連施設との連携のための会議」などの実施率がかなり低いように、市町村では、医療関連、広域調整は容易ではない実態がある。例えば、大きな市では市内完結の医療介護連携ができるであろうが、その市内の中核医療機関には、がん、脳卒中、心筋梗塞などでは周辺市町村からも多く入院しているであろう。退院前調整による医療介護連携、在宅医療の後方支援を考慮すれば、市町村主体だけでは(限界がある。また、経営母体の異なる中核的病院同士の調整や薬事等との連携では、医師・薬剤師がいない一般の市町村には少々キツイ感じがする。地域保健法第8条(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)、介護保険法第38条(http://www.ron.gr.jp/law/law/kaigo_ho.htm)、精神保健福祉法第49条第3項(http://www.ron.gr.jp/law/law/seisin_h.htm)、健康増進法第18条第2項(http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm)、母子保健法第8条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO141.html)など、各種法律で保健所による市町村支援が規定されていることも踏まえ、市町村と保健所の連携・協働が強調されるべきである。そして、地域包括ケアシステムに際しては、がん診療連携拠点病院を中心とした「がん緩和ケアに係る医療連携・医療介護連携」、広域リハビリテーション支援センターを中心とした「脳卒中の急性期~生活期リハビリに係る医療連携・医療介護連携」、認知症疾患医療センターを中心とした「認知症の医療連携・医療介護連携」も重要であるが、がん診療連携拠点病院、広域リハビリテーション支援センター、認知症疾患医療センターは市町村単位ではなく、二次医療圏単位で整備されている施設である。圏域単位でこれらの施設と保健所の協働が期待される。さて、全国厚生労働関係部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/tp0120-1.html)の老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-12d.pdf)p172、p176「高齢者リハビリテーションの機能強化モデル事業」の一つに「都道府県医療介護連携調整実証事業」があり「国(アドバイザー組織)の支援を受けた都道府県(保健所等)の調整のもと、病院から介護支援専門員への着実な引き継ぎを実現する退院調整ルールを作り、それを実証的に運用し、具体的なノウハウを蓄積する。<退院調整ルール作成・運用するための具体的な流れ>1.病院のネットワーク化、2.介護(介護支援専門員)のネットワーク化、3.病院と介護(介護支援専門員)合同の連携協議会の形成、4.当該圏域統一の退院調整ルール作成・運用、5.統一退院調整ルールのレビュー」が示されている。この事業に期待したい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メディカルケアステーション

2014年02月20日 | Weblog
「完全非公開型 医療介護専用SNS メディカルケアステーション」(https://www.medical-care.net/html/index.html?gclid=CLaTlZvT2rwCFUxwvAodFFEArg)が出ている。基本仕様は無料での医療介護ICT連携である。厚生労働省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/)の「地域における在宅医療・介護連携を進めるために~市町村主体で、医師会と連携して在宅医療介護連携ICTシステムを整備するための考え方と進め方~」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h25_0509-01.pdf)に出ているように、ICTシステムの機能には様々なものがある。地域医療再生基金(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saiseikikin/)では、莫大な予算をかけて医療機関間の電子カルテ共有化などに取り組まれているが、在宅ICT連携では、どうであろうか。総務省の報告書(http://www.soumu.go.jp/main_content/000225158.pdf)では、大手IT企業が在宅ICT連携システムに参画・開発しているようであるが、いくら予算があるからといって、在宅ICT連携では、医療機関連携の電子カルテシステムのような莫大なコストをかける時代ではないように感じる。無論、「コスト(導入、維持管理)」「扱いやすさ」「セキュリテイ」「稼働状況」「将来性」等での検証が必要である。とにかく、「莫大な予算でインフラ整備すれば医療連携・医療介護連携が進む」という単純発想から転換されなければならない。ICTはあくまで連携ツールでしかない。やはり、ベースは、多職種による「信頼関係に基づく顔の見えるヒューマンネットワーク」である。「地域における在宅医療・介護連携を進めるために~市町村主体で、医師会と連携して在宅医療介護連携ICTシステムを整備するための考え方と進め方~」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h25_0509-01.pdf)では、職能団体が参加する協議会や住民への普及啓発が重視されているが、同感である。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

警戒したい鳥インフルエンザ

2014年02月20日 | Weblog
2月18日の新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議資料(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai51/dai51.html)には目を通しておきたい。農水省「韓国におけるH5N8亜型高病原性鳥インフルエンザの発生について」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai51/sankou3.pdf)では、殺処分(2月16日現在、404万2千羽(188農場))とある。以前、我が国においても養鶏場での鳥インフルエンザ発生で膨大な数の殺処分・埋却処分(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/hpai_jokyo_tate_0415.pdf)が実施された。平成23年10月1日、農林水産省(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)が、「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/hpai_guide.pdf)を改定しており、p30~示されているように、患畜又は疑似患畜は、病性の判定後「24時間以内に」と殺完了、「72時間以内に」焼却又は埋却が規定されたが、各自治体では、焼却・埋却場所や処分従事者が確保され、規定時間内に対応できるであろうか。農林水産省の指針(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/hpai_guide.pdf)p31で、防疫措置従事者に関する事項として、「必要に応じて防疫措置前後に防疫作業者の健康状態を確認するなど、公衆衛生部局と連携して、防疫作業者の感染防止に努めること」が明記されており、厚労省からは「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/01-13_061227.html)、「野鳥等における鳥インフルエンザ(H5N1)の発生への対応について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/01-21.html)、「鳥インフルエンザ(H5N1)に係る積極的疫学調査の実施等について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/01-14_061122.html)の通知が既に出ている。各自治体では独自の対応マニュアルが整備されているであろうが、これまでの事例を踏まえて、公衆衛生的な対応(感染防御、作業管理)の標準化を図る必要性を強く感じる。環境省からは我が国での野鳥サーベイランスでは未検出(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai51/sankou4.pdf)とされるが、警戒したい。ところで、「 鳥インフルエンザA(H7N9)のヒトへの感染の対応について」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai51/siryou2.pdf)では「ワクチン:ウイルス株の入手・分析を実施 非臨床(動物)での試験を実施中」とある。「持続的なヒトーヒト感染は認められていない。」とあるが、開発を急ぐ必要があるかもしれない。現在、医療機関の特定接種登録(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/tokutei-sesshu.html)が進んでいるが、ワクチンがなければ始まらない。なお、MERS(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/dai51/sankou2.pdf)は感染症法に基づく医師の届出(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html)として位置づけられるべきである。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薬剤師を在宅医療チームに

2014年02月20日 | Weblog
キャリアブレイン「薬剤師、患者宅でも調剤量の変更可能に- 厚労省がパブコメ募集」(http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=42089)。<以下引用>
<厚生労働省は、在宅療養中の患者宅で薬剤師ができる業務を拡大させる省令改正案を公表し、パブリックコメントを募集している。具体的には、処方医の同意の下、医薬品の量を減らして調剤できるようにするもの。現在は、患者宅で薬剤の飲み残しを見つけて調剤量を減らす場合には、原則として薬局に一旦戻って変更しなければならず、制度の見直しを求める声が現場から上がっていた。同省は4月からの適用を目指している。災害で薬剤師が薬局で調剤できない場合などを除き、薬剤師が患者宅でできる調剤の業務は現在、処方医への疑義照会などに限定されている。しかし、在宅医療を充実させていく上で、調剤量の変更も認めるべきだと、日本薬剤師会などが要望していた。改正案によると、処方医の同意を得れば、薬剤師が患者宅で処方せんに記載された医薬品の数量を減らして調剤できるようにする。ただし、患者宅で調剤することで、薬剤が変質したり、異物が混ざったりする恐れがある場合には認められない。さらに、在宅療養中の患者の容体が夜間などに悪化し、命にかかわると処方医と薬剤師が判断した場合には、薬剤師が患者宅で調剤することを認める。同案へのパブリックコメントは、郵送やファクスなどで、3月14日まで受け付ける。>

厚労省「薬剤師法施行規則の一部改正(案)に関するご意見の募集について」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495130270&Mode=0)はみておきたい。「現在の在宅での薬剤師の業務の実情を踏まえ、患者に処方された薬剤に飲み残しがある場合等に、処方医に疑義照会した上で、患者の居宅等において薬剤師が調剤量を変更できる」ようになる。診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)のp78~「在宅薬剤管理指導業務の一層の推進」、p84~「在宅患者訪問薬剤管理指導の要件統一」、p66~「在宅における薬剤や衛生材料等の供給体制について」などをみれば、診療報酬上も在宅医療チームへの薬剤師参画が後押しされている。今回の規則改正は、「患者宅での薬剤飲み残し」に対応したものであるが、認知症老人や高齢者世帯・一人暮らし老人の増加に伴い、まずます重要となるのは間違いない。薬剤師による訪問薬剤管理指導によって残薬減少・服薬コンプライアンス向上が期待できるとともに、医療材料の供給拠点としても役立ち、訪問看護ステーションの負担軽減にもつながることを認識したい。それだけではない。国立長寿医療研究センター資料(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/jinzaiikusei/2012/20121013_14/1013_hirahara.pdf)p6によると、訪問診療の基礎疾患として、がんがダントツに多い。管内T訪問看護ステーションの実績でも、がん患者が最多になり、在宅で麻薬を使用するケースが多くなっている。「がんの統計2012」(http://ganjoho.jp/data/professional/statistics/backnumber/2012/cancer_statistics_2012.pdf)p23、p70~73に年齢階級別のがん罹患率が出ているが、今後、団塊世代の高齢化に伴って、がん患者が急増することが予想される。緩和ケア推進検討会第二次中間とりまとめ(報告書)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000021930.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000022195.pdf)p6では「地域のホスピス緩和ケア病棟や在宅療養支援診療所等の医師や訪問看護師、保険薬局薬剤師等と、がん患者の地域連携に関して協議する場を定期的に持ち、地域全体での緩和ケアの提供に関する一定のルールを定めることなどにより強固な連携体制を構築する。」とあるように、在宅緩和ケアには薬剤師の参画が不可欠と感じる。厚労省報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002jy6a-att/2r9852000002jy7r.pdf)p220~に出ているように、オピオイドレスキュー(http://www.yakuzaisi.net/study/report/015.pdf)等での薬剤師の緊急訪問も期待され、在宅麻薬管理には薬剤師の積極的な関与が重要と感じる。厚労省「平成23年度チーム医療実証事業報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002jy6a-att/2r9852000002jy7r.pdf)p216で、在宅中心静脈栄養法と麻薬注射持続皮下注について、保険薬局での無菌調剤に対する評価が高いことが示されているが、現状の政策が全く追いついていない。昨年の部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-05-04d.pdf)p30で「がん患者等の在宅医療を推進するため、高い無菌性が求められる注射剤や輸液などを身近な薬局で調整できるよう、地域拠点薬局の無菌室の共同利用体制をモデル的に構築するために、在宅医療提供拠点薬局整備事業費により、全国で17ヶ所を整備した。引き続き平成25年度も整備予定である。」とされていたが、在宅緩和ケアを普遍化しようという中で、こんな状況ではいけない。在宅医療でのPCAポンプ(http://www.kameda.com/patients/health/cure/palliativecare/palliativecare_08.html)(http://www.gsic.jp/palliative/pc_21/index.html)の普及も図られるべきである。ところで、「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/handbook/handbook2013.pdf)が出ているが、医師や薬剤師がいない一般の市町村では荷が重い感じがする。ここは医事薬事を所管する保健所と市町村との連携・協働で対応したいところである。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医療の営利産業化

2014年02月19日 | Weblog
日本経済新聞「医師以外も医療法人理事長に 規制改革会議作業部会が意見案」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1803P_Y4A210C1PP8000/)。<以下引用>
<政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は18日に開いた健康・医療分野の作業部会で、医療機関の改革に向けた意見案をまとめた。医師の資格を持たない企業経営者が医療法人の理事長になれるようにすることが柱だ。民間の手法を取り入れて医療機関の経営の効率を上げたり、サービスの質を高めたりする狙いがある。年央にまとめる規制改革の答申に盛り込む。現在の医療法は医療法人の理事長を原則として医師と歯科医師に限っている。都道府県知事の認可があればそれ以外の人も理事長になれるが、都道府県への申請が門前払いになることも多いという。理事長の人事を認可制から届け出制に変えることで、幅広い人材に医療機関の経営をまかせられるようにする。厚労省は制度の改正に慎重な姿勢を示しており、規制改革会議は調整を急ぐ。>

規制改革会議の「医療機関のガバナンス及び業務」に関する論点(案)(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/kenko/140218/item1.pdf)では「一定要件を満たす医療法人については、医師・歯科医師以外の者が理事長になる際の認可を不要とし、届出制とすべきではないか。また、届出制となる要件については、過度に狭いものとならないようにすべきではないか。」とある。医療法(http://www.ron.gr.jp/law/law/iryouhou.htm)第四十六条の三では「医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、定款又は寄附行為の定めるところにより、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。」とあり、既に医師・歯科医師以外が知事の許可を受けて医療法人の理事長になることは可能であるが、さらに緩和するらしい。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000032086.pdf)p3に出ているように、医療法第7条第5項において営利を目的とした病院等の開設は許可をしないことや、第54条における剰余金の配当の禁止が規定されているが、改正されるのであろうか。そういえば、医事新報11月30日号のp26~で「TPPと医療・医薬品産業」が特集されており、「新薬の特許権強化が最大の焦点」、「医療に与える影響は小さくない」、「TPP参加を利用した規制改革により医療の営利化が加速する恐れがある」とあった。全国保険医団体連合会「TPPと医療の特集ページ」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/index.html)での「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)にも出ているように、もっと、知的財産権(http://thinktppip.jp/)等の非関税措置にも焦点があてられるべきである。果たして、『シッコ SiCKO』(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3)の世界は、日本国民が望む医療の姿であろうか。OECD資料(http://www.oecd.org/els/health-systems/Briefing-Note-JAPAN-2013.pdf)p1をみれば、米国ではいかに私的医療支出が多いかがわかる。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPP=農業問題では決してない

2014年02月19日 | Weblog
東京新聞「TPP、ルールの先行合意を断念 難航分野への影響懸念」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014021901002329.html)。<以下引用>
<日本や米国など環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加12カ国が、対立点が少なく歩み寄りが容易とみられた貿易・投資を促すルールの部分に関し、先行しての合意を断念したことが19日、分かった。複数の交渉関係者が明らかにした。参加12カ国は、17日に始まった一連のシンガポール会合の交渉でルールの合意に達し、交渉の成果を挙げる方向で調整してきた。しかし、例えばルールのある項目で譲歩した国は、関税協議で国内事情に配慮して強硬な姿勢を示さざるを得なくなることが想定される。12カ国の間で、こうした事態が難航分野に悪い影響を与えるとの懸念が強まった。>

国別の一覧表(http://big.assets.huffingtonpost.com/1296_001.pdf)も出ていたが、現在はどうなっているのであろうか。International Business Times「Leaked TPP Chapter: 5 Scary Provisions In WikiLeaks' Trans-Pacific Partnership Release」(http://www.ibtimes.com/leaked-tpp-chapter-5-scary-provisions-wikileaks-trans-pacific-partnership-release-1468856)が出たように、TPP=農業問題では決してない。DOCTORS WITHOUT BORDERS / MEDECINS SANS FRONTIERES;国境なき医師団(http://www.msf.ca/)がTPPに関して、「MEDICINES SHOULDN’T BE A Luxury」(http://www.msf.ca/tpp/)を出している。医事新報平成25年11月30日号のp26~で「TPPと医療・医薬品産業」が特集されており、「新薬の特許権強化が最大の焦点」、「医療に与える影響は小さくない」、「TPP参加を利用した規制改革により医療の営利化が加速する恐れがある」、医事新報平成25年10月26日号p129で、「TPP参加の「今そこにある危機」は医薬品・医療機器価格規制の撤廃・緩和による医薬品・医療機器価格の上昇であり、それは患者負担の増加と医療保険財政の悪化をもたらし、保険給付範囲の縮小と診療報酬の抑制につながる」とあった。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロタウイルスワクチンの行方

2014年02月19日 | Weblog
先週、厚労省が「感染性胃腸炎(特にロタウイルス)について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/index.html)を出している。1月31日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000036326.html)の「今後の予防接種施策に関する課題等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000036323.pdf)では、「おたふくかぜ、B型肝炎、ロタウイルスワクチンの技術的課題」が挙がっている。今年10月から水痘ワクチン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000034764_2.pdf)と成人用肺炎球菌ワクチン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000034765_2.pdf)の定期接種化が示された(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000034762_2.pdf)がロタウイルス(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000032785.pdf)についてはどうなるであろうか。そういえば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030jzo-att/2r98520000030k56.pdf)で、「平成23年7月にロタリックスが、平成24年1月にロタテックが承認され、既に任意接種として接種が行われているほか、一部自治体において助成事業が実施されている。」とあった。任意接種に係る公費負担の状況(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000034770_2.pdf)では、平成24年度に独自に公費助成を行っている市町村は、ロタウイルスワクチン2.8%とある。25年度は増えているかもしれない。予防接種の公費助成は、子育て応援券(http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/wg/kihon/k_2/pdf/ref5-10.pdf)(http://www.suginami-kosodate.jp/ouenken/list.html)(http://www.city.hakui.lg.jp/sypher/www/info/detail.jsp?id=3302)(http://www.town.tateyama.toyama.jp/pub/event-topics/svTopiDtl.aspx?servno=2412)(http://www.city.nanto.toyama.jp/webapps/www/service/detail.jsp?id=6244)(http://www.city.takatsuki.osaka.jp/db/tubuyaki/heya-kodomo113.html)でも行われている自治体が少なくないがロタウイルスワクチンも対応されてもよいのではないか。今年2月6日の母子健康手帳の任意記載事項様式の改正通知で予防接種の記録欄にロタウイルスが追加されている(保健衛生ニュース2月17日号)ことは知っておきたい。昨年の予防接種法改正での附帯決議(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20130402_2.pdf)には、「ロタウィルス・ワクチンについては現在実施中の専門家による評価・検討の結果を踏まえ、予防接種法上の定期接種の対象とすること等について早期に結論を得るよう検討すること。」とあった。昨年10月から、基幹定点の届出対象疾病に「ロタウイルス胃腸炎」が追加されたが、ロタウイルスワクチン(http://www.know-vpd.jp/vc/vc_nw_rota.htm)の行方が注目である。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

介護保険料と医療保険料

2014年02月19日 | Weblog
読売新聞「現役世代の介護保険料、初めて5000円超える」(http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=93195)。<以下引用>
<2014年度に40~64歳の現役世代が納める介護保険料は、1人当たり平均で月5273円になる見込みであることが18日、厚生労働省の推計でわかった。過去最高で、5000円を超えるのは初めて。高齢化が進み、介護の費用が増える一方、現役世代の人口が減って1人当たりの負担が増えるためで、今年度(月4966円)に比べ、307円高くなる。現役世代の保険料は毎年改定され、会社員は原則、労使折半で負担する。実際の保険料は、本人の所得などによって異なる。>

介護保険料だけではなく、医療保険料も併せて示される必要がある。そういえば、1月24日に後期高齢者医療制度で平成26~27年度に被保険者が負担する保険料負担率は医療給付費の10.73%とする改正政令が公布されている(保健衛生ニュース2月17日号)。20~21年度10%、22~23年度10.26%、24~25年度10.51%、26~27年度10.73%と推移しているが、将来的な見通しもほしいところである。老健局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-01p.pdf)p6「介護給付と保険料の推移」では「2025年の給付(総費用額)は改革シナリオで21兆円程度、保険料は全国平均8200円程度」とある。資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-01p.pdf)p8「2025年を見据えた介護保険事業計画の策定」では、第6期計画以後の計画は「2025年までの中長期的なサービス・給付・保険料の水準も推計して記載すること」とあり、注目される。この際、それぞれの地域において、介護保険料と医療保険料の将来見通しを示し、介護予防・重症化予防・疾病予防に取り組む戦略が不可欠と感じる。消費税アップに不平をいっているだけではいけないであろう。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする