保健福祉の現場から

感じるままに

外来医療の機能分化と連携

2018年01月11日 | Weblog
キャリアブレイン「【中医協】「かかりつけ医」機能持つ医療機関を評価へ 厚労省が提案」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180110183104)。<以下引用>
<中央社会保険医療協議会が10日開いた総会で、厚生労働省は「かかりつけ医」機能を持つ医療機関での初診の機能を重視する観点から、外来診療に関する評価の見直しを提案した。初診の機能について、適切な専門医療機関へ患者を紹介できる機能を持つ医療機関などを診療報酬で評価するという内容で、「病診連携」や機能分化を進める狙いがある。厚労省案に対し、診療側から賛成の意見が出たが、支払側からは慎重な対応を求める声が上がった。社会保障制度改革国民会議が2013年8月にまとめた報告書や、これまでの中医協での議論を踏まえ、厚労省は総会で外来医療の今後の在り方を示した。具体的には、患者のフリーアクセスの基本を守りながら「緩やかなゲートキーパー機能」を念頭に、大病院の外来では紹介患者を中心とし、一般的な外来受診に関して患者が「かかりつけ医」に相談することを基本とする「外来医療の病診連携・機能分化」が求められているとした。その上で、この方向性に沿った対応策として、初診を担う機能について、患者が気軽に相談できる機能や専門医療機関へ患者を紹介できる機能を持つ医療機関について、より的確で質の高い診療機能を評価することを論点案として示した。松本純一委員(日本医師会常任理事)は、医療機関の機能分化や医師の働き方改革を進めていく上で、初診で専門医療機関へ患者を紹介できる機能などを持つ医療機関を評価すべきだとし、厚労省案に賛意を示した。一方、吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、病診連携・機能分化を推進する観点から「論点の方向性は賛同する」としながらも、「安易な算定がなされないよう、明確な要件設定で運用するべき」だと指摘。幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「病院の施設基準がどうかとか、そういったものによって報酬が差別化されることに違和感がある。患者目線からすると、たまたま自分の行っている病院が地域包括診療料・加算を取っていたら、初診料が高くなったというのは診療報酬上として違和感がある」と述べ、慎重な姿勢を示した。診療側委員からも「患者目線は大事だ」との意見が出た。>

メディウォッチ「かかりつけ機能持つ診療所など、初診料の評価アップへ―中医協総会 第382回(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=18163)。<以下引用>
<かかりつけ医機能を持つ医療機関について、初診に係るコストを考慮した評価を行ってはどうか。また、薬価調査の正確性を担保するために、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか―。1月10日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点についての議論も行われました。かかりつけ機能は地域包括診療料などで評価されるが、算定対象は限定的 2013年8月に取りまとめられ、現在進められている社会保障・税一体改革のベースとなっている「社会保障制度改革国民会議報告書」では、外来医療の機能分化を進める方針が打ち出されています。「診療所や中小病院が一般外来を受け持ち、大病院は紹介・専門外来に特化すべき」との方針で、これまでの診療報酬改定等でも▼紹介状なしに大病院外来を受診した患者の特別負担(初診5000円以上、再診2500円以上)▼主治医機能を評価する【地域包括診療料】や【地域包括診療加算】などの創設・拡充―など、外来医療の機能分化に向けた見直しが行われてきています。2018年度の次期改定においても、当然、同じ方向が打ち出されており、▼紹介状なし外来受診患者から特別負担を徴収する病院の拡大▼【地域包括診療料】などの要件緩和▼オンライン診察・医学管理の診療報酬上の評価新設―などが既に議論されています。1月10日の中医協総会では、これらに加えて、「かかりつけ医機能のさらなる評価」案が厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長から提示されました。2018年度の次期診療報酬改定に向けた基本方針や、政府の財政再建に向けた計画(経済・財政再生計画)の改革工程表に盛り込まれた「かかりつけ医機能の推進」をさらに強化していく狙いが見て取れます。かかりつけ医機能については、昨年(2017年)2月の中医協総会で議論されており、そこでは、次のような機能を診療報酬で評価していくことが重要であるとの共通認識が醸成されています(生活習慣病の指導管理を例に)。(1)日常的な医学管理と重症化予防:▽疾病教育▽生活指導▽治療方針の決定▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師と連携)▽治療効果の評価▽重症化の予防・早期介入―など(2)必要に応じた専門医療機関などとの連携:▽専門医療機関への紹介、助言▽合併症に応じた療養指導▽急性増悪への対応―など(3)在宅療養支援・介護との連携:▽在宅医療を行う場合の管理・療養指導▽服薬管理▽服薬指導(薬剤師との連携)▽要介護状態などに応じた療養指導▽介護との連携▽急性増悪への対応▽看取り支援―など こうした機能を評価する診療報酬項目として、上述した【地域包括診療料】【地域包括診療加算】などがありますが、算定対象は「高血圧症、脂質異常症、糖尿病、認知症のうち2疾患以上を有する患者」(地域包括診療料など)、「認知症と他疾患を合併する患者」(認知症地域包括診療料など)に限られています。また、そもそも「施設基準などが厳しい」と指摘され、2016年度の前回診療報酬改定で緩和したものの、届け出医療機関数は2016年7月時点で6000施設に届いていません(2018年度改定で緩和される見込み)。また2016年度の前回診療報酬改定では、小児患者に総合的な診療・医学管理を提供する医療機関を評価する【小児かかりつけ診療料】が創設されましたが、こちらも施設基準の厳しさなどにより、届け出医療機関数は2016年7月時点で876施設にとどまっています(同じく2018年度改定で緩和される見込み)。さらに在宅版のかかりつけ機能を評価する診療報酬項目として【在宅時医学総合管理料】が設定されるなど、「かかりつけ医を評価する診療報酬」はありますが、「限定的な評価」にとどまっているとの指摘もあります。そこで迫井医療課長は、初診に係るコスト(診療時間が再診に比べて若干長め)に着目し、「初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価してはどうか」との論点を提示しました。具体的な制度設計は、今後の議論を待つ必要がありますが、例えば、「患者が気軽に相談できる機能」や「専門医療機関へ紹介できる機能」を持つ医療機関(診療所や中小病院)について、【初診料の加算】(かかりつけ医機能加算など)を新設することなどが考えられそうです。この提案を診療側委員は歓迎。松本純一委員(日本医師会常任理事)は「継続的な診療を行っている再診患者でも、新たな病気を発見した場合には、初診患者と同様にコストがかかる。今後は、この点の評価も検討してほしい」と求めています。これに対し支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「かかりつけ医機能の推進」という方向性には異論を唱えていないものの、「対象医療機関の要件」を厳格に規定するよう要望。また幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「同じ診療行為について、医療機関の基準などで報酬が差別化されることに違和感を覚える」と述べ、「慎重な制度設計」(厳格な施設基準設定など)を求めています。さらに間宮清委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は「『患者が気軽に相談できる機能』や『専門医療機関へ紹介できる機能』は、かかりつけ医として当然の機能ではないか。そこを評価して患者に負担増を強いることに違和感を覚える」と指摘しました。このように、方向性そのものは「概ね了承された」と言えますが、具体的にどう点数をつけ、施設基準などをどう設定するかでは、診療側・支払側で意見の隔たりもあり、今後の詰めの議論に注目が集まります。ちなみに、2016年の初診料算定回数は2億1300万件(6月の1か月分で1770万件あり、これを12倍)程度と推測されます。「全診療所が対象となる」と仮定した場合、新加算が1点であれば21億円余り、2点であれば43億円弱、3点であれば64億円弱、の医療費増が見込まれる計算です。単品単価取引の状況などの報告を義務化、怠れば初・再診料や外来診療料を減額 現在は2年に一度、医薬品の公的価格の見直し(薬価改定)が行われています(今後は毎年度)。医療機関や薬局が、卸業者から購入している価格(市場実勢価格)と、公定価格(患者や保険者の負担)である薬価との乖離を、合理的な範囲で埋めていくことが薬価改定の重要な目的の1つです。その際、「価格交渉の途中で、まだ購入価格・販売価格が決まっていない」という医療機関・薬局が多ければ、市場実勢価格を適切に把握できません(薬価改定も適切に行えない)。このため、2014年度の診療報酬改定において、「価格妥結率の低い医療機関や薬局では、基本診療料(初・再診料、外来診療料、調剤基本料)を減算する」規定(未妥結減算)が導入され、スピーディな価格交渉が推進されています。しかし価格交渉を急ぐあまり、本来であれば「A医薬品は●円で、B医薬品は◆円で」という「単品単価取引」が阻害され、「X医療機関は、まとめて薬価から●%引きで購入する」などといった、いわゆる「総価山買い取引」が増えてきてしまったとの指摘もあります。そこで今般、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務を医療機関や薬局に課し、これを怠った場合に初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額する仕組みを設けてはどうか、との提案を行いました。上記の未妥結減算とセットの減算規定となる見込みで、「価格妥結率50%未満」または「▼単品単価契約率▼一律値引き契約状況—などの報告義務懈怠」の、いずれか、あるいは双方に該当する場合には、初・再診料、外来診療料、調剤基本料を減額されます(減額されないためには、価格妥結率を50%以上とし、報告義務を果たすことが必要)。この報告状況を分析し、2020年度改定以降に「▼単品単価契約率が低い▼一律値引き契約が多く行われている—医療機関・薬局における減算」(いわば総価山買い減算)が導入される可能性もあります。このほか、未妥結減算に関連して、▼留意事項に「原則、全品目を単品単価契約とする」「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎む」旨を明記する▼妥結率の報告期間について、現在の「10月の1か月間」から「10-11月の2か月間」に緩和する▼調剤報酬における、「未妥結減算」(25%減算)と「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を発揮していない場合の減算」(50%減算)とを、後者に統合する形で簡素化する—との見直し案も提示され、概ね了承されています。>

中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190477.pdf)で、p5「(1) かかりつけ医機能を推進する観点から、地域包括診療料等について以下のような見直しを行う。① 患者の同意に関する手続きや受診医療機関の把握を担う実施者の要件を緩和する。② 継続的に受診していた患者が通院困難となった場合に訪問診療を提供している実績がある場合の評価を充実させるとともに、24 時間の往診体制に係る要件を緩和する。③ 院内処方が原則であるが、院外処方を行う場合での一元的な服薬管理等の取扱いについて明確化を行う。」、「(4) 生活習慣病の重症化予防を推進する観点から、生活習慣病管理料について、療養計画書の記載項目への血糖や血圧の目標値の追加、特定健診・特定保健指導との連携及び学会のガイドライン等の診療支援情報等の活用に関する要件を追加する。」とあり、かかりつけ医の役割として、在宅医療や生活習慣病重症化予防がが重視されているが、「外来医療(その4)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190472.pdf)p36「初診患者の診療を担う機能については、大病院ではなく、患者が気軽に相談できる機能や専門医療機関へ紹介できる機能を有する医療機関による、より的確で質の高い診療機能を評価する方向で対応してはどうか。」も注目である。それにしても「平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190477.pdf)p10「(2) 大病院とその他の医療機関との機能分化を推進する観点から、病床数500床以上を要件としている診療報酬の取扱いについては、原則として、病床数400 床以上に見直す。」はどうかと感じる。「外来医療(その4)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000190472.pdf)p9で示すように、初診料、再診料、外来診療料は一般病床数200床と許可病床数500床の区切りがある。1号意見(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p4「生活習慣病等の医学管理料については、医師が患者の特定健診の受診の有無を確認する等、保険者との連携を要件化するとともに、医療機関における一定の成果を測るアウトカム評価を導入すべきである。」、p6「紹介状なしの大病院受診時の定額負担に関しては、外来の機能分化の推進に向け、実効性を考慮し対象医療機関の範囲を原則200床以上の医療機関に拡大することについて検討すべきである。ただし、地域によっては医療資源に格差があることや患者の受診行動に悪影響を及ぼす恐れがあることから、その要件は柔軟に設定すべきである。」とあったが、かなり限定されたようである。大病院と中小病院・診療所との差別化は期待できないものであろうか。大病院志向の是正がなければ、医療費適正化は厳しいかもしれない。外来医療の機能分化と連携の道のりは遠い感じである。
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