保健福祉の現場から

感じるままに

児童虐待と保健所

2015年09月08日 | Weblog
平成26年6月「児童虐待の防止等に関する政策評価<勧告に伴う政策への反映状況(2回目のフォローアップ)の概要>」(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/85883.html)の政策評価(http://www.soumu.go.jp/main_content/000296161.pdf)では、p1「調査した保育所及び小・中学校において、児童虐待のおそれを認識したが通告するかどうか判断に迷った結果通告しなかった事例や、児童虐待のおそれを認識してから通告までに長期間(1か月以上)を要している事例がみられた。」「児童相談所及び市町村における虐待対応件数等の報告状況について都道府県等に確認したところ、適切な報告を行っているものはみられなかった。」「児童福祉司及び市町村担当者の資質向上のための対策等に関しては、①研修の機会が十分に確保されていないまま事案を担当せざるを得ない、②経験豊富な担当者の配置が少ない、③バーンアウト対策が十分とはいえない状況となっている。」「全1,750市町村のうち児童相談所との役割分担の取決めはないものが1,253市町村(71.6%)となっており、役割分担が明確になっていないことも原因となって児童相談所の対応が遅れたと考えられる事例もみられた。」、p2「調査した児童相談所及び市町村において安全確認までに3日以上要した事例も一部みられた。」「入所児童について児童相談所が作成する援助指針が児童養護施設等に提供されていない事例等がみられた。」「都道府県等において、過去に社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会(以下「事例検証委員会」という。)の検証結果で指摘された課題等と同様の指摘が都道府県等の検証結果でも指摘されているなど、過去の検証結果を活用できていないと考えられる状況がみられた。」「児童虐待が発生しているにもかかわらず、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」という。)における個別ケース検討会議及び実務者会議が1回も開催されていない市町村がみられた。」など厳しい内容になっていたが、改善されているであろうか。先月の社会保障審議会児童部会児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096669.pdf)には目を通しておきたい。報告書には保健所の記載がないが、p5「養育者の精神的な問題に対する精神科医療機関との連携」、p11「養育者の精神的な問題に対応するための機関連携」には当然、関わらなければならない。昨年9月の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第10次報告の概要)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000057946.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000058504.pdf)では「精神疾患のある養育者における事例」が特集され、「地域における保健・医療・福祉のネットワークを活用した支援(養育者の主治医と市町村職員や児童相談所等との連携による支援)」が示されているが、保健所の参画をもう少し出しても良いのではないかと感じる。平成25年度から未熟児訪問指導等が市町村移譲されているが、市町村と保健所の連携・協働が期待されるであろう。「児童虐待防止対策における福祉事務所の役割」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12000000-Shakaiengokyoku-Shakai/0000046445.pdf)p253「要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)の構成機関」への保健所の参加割合は72.8%にのぼっている。児童福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jido_fuk.htm)の保健所に関する規定;「第十二条の六 保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。一 児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。二 児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。三 身体に障害のある児童及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。四 児童福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。2 児童相談所長は、相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、保健所に対し、保健指導その他の必要な協力を求めることができる。」や母子保健法第8条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO141.html)の保健所による市町村支援の規定を知らない行政職員が少なくないように感じられる。また、報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096669.pdf)p7「初期対応の迅速化や的確な対応のための関係機関の連携強化」について、平成28年度厚生労働省所管概算要求(http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/16syokan/)の雇用均等・児童家庭局資料(http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/16syokan/dl/04-08.pdf)「児童虐待防止対策の強化」で「妊娠期からの切れ目ない支援」が打ち出されており、広域的対応と保健医療との連携が重要であるように感じる。医療機関も含めて関係機関ネットワークによる対応が不可欠で、「児童虐待防止医療ネットワーク事業推進の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042513.html)も活用したい。日本産婦人科医会「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル改訂版」(http://www.jaog.or.jp/all/pdf/jaogmanual.pdf)、「妊娠等について悩まれている方のための相談援助事業連携マニュアル_チェックリスト」(http://www.jaog.or.jp/all/jaogmanual_Check%20list.pdf)が出ているように、早い段階からの支援が必要であろう。周産期医療体制のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=292852)の動向にも注目である。ところで、児童相談所(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv30/zisouichiran.html)は、児童福祉法(http://www.ron.gr.jp/law/law/jido_fuk.htm)第五十九条の四で、平成18年度から中核市も設置できるようになった(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv-soudanjo-kai-honbun1.html)が設置されていない市が少なくない(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E7%9B%B8%E8%AB%87%E6%89%80)。今回の報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096669.pdf)には特に記されていないようである。すべての子どもの安心と希望の実現に向けた副大臣等会議(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_ansin/)(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_ansin/dai1/gijisidai.html)で「児童虐待防止対策強化プロジェクト(施策の方向性)(案)」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_ansin/dai1/siryou4.pdf)(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_ansin/dai1/siryou3.pdf)が出ている。
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