保健福祉の現場から

感じるままに

医療・介護の負担増ラッシュと介護予防・疾病予防、後発医薬品普及

2014年10月31日 | Weblog
朝日新聞「特養の相部屋、月1万5千円の負担増案 低所得者は配慮」(http://apital.asahi.com/article/news/2014103000001.html)。<以下引用>
<特別養護老人ホーム(特養)の相部屋の部屋代について、一定の所得がある入居者には全額負担してもらう案を厚生労働省がまとめた。入居者が新たに負担する部屋代の基準額は月1万5千円を軸に検討する。来年4月の実施を目指す。厚労省によると、特養の入居者は52万人で、うち相部屋は32万人いる。4人部屋などの相部屋は居住環境が劣るとして、部屋代は介護保険から給付され、利用者からは徴収していない。一方、個室の部屋代は原則、全額が利用者負担だ。料金は月3万5千~6万円ほど。個室入居者や自宅で介護を受けている人とのバランスを取るため、相部屋も部屋代を徴収することとした。自己負担となる部屋代は1万5千円を軸に検討する。ただし住民税非課税などの低所得者には、部屋代分を新たに補助して負担が増えないようにする方針だ。実際に負担増となるのは、夫婦2人世帯で本人の年金収入が211万円を超す人、単身世帯で155万円を超す人、など最大6万人ほどとみられる。厚労省は、相部屋に入る人が払う光熱水費の値上げも提案した。いまは月1万円だ。2005年10月から据え置かれているが、光熱水費が値上がりしているとして、来年度から1万1千円ほどにしたい考えだ。見直し案は、29日に開かれた介護報酬改定を議論する社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で示された。介護給付費抑制を目指し、「支払い能力に応じた負担」を求める見直しの一環だ。委員からは「負担の公平性を考えればやむを得ない」などと容認の意見が目立った。同分科会は年明けまでに厚労相への答申をまとめる予定だ。>

社会保障審議会介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)、社会保障審議会医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)はセットでみておく必要がある。医療保険の「療養の範囲の適正化・負担の公平の確保」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061515.pdf)もあり、負担増は介護だけではない。全国保険医団体連合会「2015年通常国会に提出法案/メニューは負担増ばかり」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/141015kokkai-houan.html)でも解説されている。しかし、市区町村別の将来人口推計(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson08/5-sai/shosai.html)にあるように、今後、少子高齢化が一層進む中で、負担増(税金、保険料、窓口負担)は避けられないであろう。現在、各自治体で策定中の第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)や平成27年度以降策定の地域医療ビジョン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)では、2025年の介護・医療需要が推計されることになっており、地域住民の認識を高める必要がある。そういえば、平成25年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html)で、「世帯数と世帯人員数の状況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/02.pdf)、「各種世帯の所得等の状況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/03.pdf)、「世帯員の健康状況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/04.pdf)、「介護の状況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/05.pdf)が出ているが、全国数値ではなく、それぞれの自治体でどうなのか、認識されているであろうか。この際、今年度、全国各地の自治体で実施されている日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)の調査結果、地域包括ケア見える化システム(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)(http://mieruka.mhlw.go.jp/)やKDB(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)による自治体の分析結果を積極的に情報公開すべきと感じる。医療費適正化資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000061516.pdf)p5に出ているように、平成24年度の特定健診受診率46.2%、特定保健指導実施率16.4%に留まり、p9~10にあるように自治体間格差が大きく、p11~のように医療費格差も大きい。p59の「後発医薬品の地域差」も小さくない。健康増進による医療費適正効果に疑問を持つ方でも、少なくとも後発医薬品の普及徹底による医療費適正化は否定できないであろう。平成25年国民生活基礎調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/index.html)での各がん検診受診率はいずれも3割台~4割台に留まっている(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa13/dl/04.pdf)。医療・介護の負担増ラッシュは、介護予防・疾病予防、後発医薬品普及とセットで打ち出されるべきで、その際には自治体ごと各種情報の積極的公開による地域住民の自立と協働を喚起すべきと感じる。もはや、行政側は都合の良いニュースばかり公表する場合ではないであろう。
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