保健福祉の現場から

感じるままに

精神保健指定医

2015年04月16日 | Weblog
東京新聞「指定医不正で検証報告要求 聖マリアンナ医大病院に厚労省」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015041701001443.html)。<以下引用>
<聖マリアンナ医大病院(川崎市)の医師が精神保健指定医の資格を不正に取得した問題で、厚生労働省は17日、これまでの経緯や今後の対応をまとめた検証報告を23日までに提出するよう病院側に求めたことを明らかにした。同省は、全国の指定医についても同様のケースがないか調査する意向を示しており、塩崎恭久厚労相は17日の記者会見で、国のチェック態勢を強化すると表明し「(資格申請時に提出する)リポートのデータベース化をやるべきではないかと思う」と述べた。厚労省は、不正申請の11人と指導医9人の指定医資格取り消しを決定したが、病院側から詳細な報告は受けていないという。>

M3「聖マリ、20人が指定医取消、精神保健指定医 厚労省、全精神保健指定医調査の方針」(http://www.m3.com/news/iryoishin/313006)。<以下引用>
<聖マリアンナ医科大学病院(神奈川県川崎市)の精神保険指定医の申請症例で不正が見つかり、厚生労働省は4月15日、医道審議会医師分科会精神保健指定医資格分科会の答申を受けて、同大学在籍時に症例を申請した11人と指導医9人、計20人について、指定の取り消しを決めた(『聖マリ、指定医の不正資格申請が常態化か』を参照)。発効は4月17日。不正な症例を理由とした精神保健指定医の取り消しは、初めてとみられる。厚労省は、一度に20人の取り消しとなった事態について、「想定していなかった。あってはならないこと」との見解を示し、今後、全国の医療機関の精神保健指定医の申請症例について、可能な範囲で調査を実施する方針を示した。カンファ参加で、「十分な関わり」 1月下旬に、同大学病院から、指定医の新規申請3人分のケースリポートをチェックしていた関東甲信越厚生局の職員が、過去に同病院から出たケースレポートと内容が酷似していたことから、厚労省に連絡。厚労省は、同大学病院に調査を求めたほか、事実関係の確認のためにカルテの提出を受け、聴聞も実施した。11人の指定医について、カルテの保存期間である過去5年間を対象として調査を実施したところ、1人についてはカルテへの記載がほとんど認められず、10人については全く記載がなかった。指定医の指定要件においては、「自ら担当として、診断または治療等に十分な関わりを持った症例等を報告する」との規定があり、厚労省社会援護局精神・障害保健課は「十分な関わり」について、「主治医などとして関わっている」との見解を示している。聖マリアンナ医大では、グループ診療を実施しており、11人は「カンファレンスなどの出席で、症例を知っていたと考えていた」「回診などを実施して、自分として『関わった』という甘さがあった」などと釈明したという。ただ、中には、他人からもらった過去の症例を、コピーして申請に用いていたケースもあったという。同部会は、精神指定保健福祉法に基づき、「指定医として著しく不適当」と判断した。不正とみられる症例は、新規申請者の3人も含めて14人で31症例あり、うち取り消しになった11人の分は24症例あった。架空症例については確認されていない。新規申請者については、今回の部会で判断は示されなかったが、厚労省の担当者は「(不正な症例の可能性について)把握している」といい、指定されない可能性が高い。過去には、症例の確認が不十分なために、指導医が取り消しになった事例はあるが、不正な症例申請で指定が取り消しになるのは、今回が初のケースとみられる。取消医師、5年間申請できず 指導医については、ケースリポートの内容を確認した上で、署名する制度となっている。9人の指導医は、「文面の添削は行ったが、申請者が実際に患者を担当していたかの確認を怠っていた」と説明したという。さらに、同一患者で同一期間の症例を用いることは認められていないが、複数の医師が症例として申請するケースも見つかり、必要なチェックを怠ったとして、同部会は「指定医として著しく不適当」との判断を下した。取り消しとなった指定医は30代が10人、40代が1人、指導医は30代が4人、40代が3人、50代が2人。聖マリアンナ医大では、過去5年間で、関東甲信越厚生局に15人が指定を申請していた。うち3人は、今回の発覚の経緯となった新規指定申請分で、今回取り消しを受けた11人を除くと、要件を満たした申請は1人のみ。3月19日時点で、指定医11人のうち6人、指導医9人のうち3人が、聖マリアンナ医大に勤務している。取り消しとなった医師は、精神保健福祉法に基づき、今後5年間、再指定の申請ができない。組織ぐるみの不正の可能性について、厚労省の担当者は、「指導医が(不正を)指示したり、部長の意図で実施された事実などは把握できなかった。組織ぐるみという断定はできなかった」とした。指定医は、報告する症例について、自ら選んだ旨を証言しているという。厚労省、全指定医を調査へ 大量の取り消しについて、厚労省は「想定していなかった事案で、あってはならないこと。医師の倫理の問題ではないか」と指摘。制度への信頼については、「他にも同様の事例がないとは言い切れない」との見解を示した。その上で、全ての精神保健指定医について、カルテの保存期間5年間に加えて、可能な範囲で過去までさかのぼり、調査する方針を示した。調査方法などの詳細は今後検討するという。精神保健指定医は、2013年末時点で1万4630人おり、2010年から2014年までに指定を受けたのは2466人。全数調査に加え、今後、申請に使った症例のデータベースを作って、確認ができる体制を作り、都道府県を通じた啓発などで、再発防止したい考え。精神保健指定医については、診療報酬上の算定もある。この点について、厚労省の担当者は、「(診療報酬の取り扱いについて)保険局の判断になる」との見解を示した。医療保護入院の患者への不利益については、今後、調査する方針。>

NHK「指定医の不正取得 他医療機関でも調査へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150416/k10010049961000.html)。<以下引用>
<川崎市にある聖マリアンナ医科大学病院の医師11人が、重い精神障害がある患者の強制的な入院が必要かどうかなどを判定する専門の医師の指定を不正に取得していたとして、上司に当たる指導医を含め合わせて20人の指定が取り消されることになりました。厚生労働省は全国のほかの医療機関でも不正が行われていないか調査する方針を決めました。聖マリアンナ医科大学病院では、11人の医師が重い精神障害がある患者に対し、強制的な入院が必要かどうかなどを判定する「精神保健指定医」という専門の資格を不正に取得していたとして、厚生労働省は15日、11人の医師と指導医9人の合わせて20人について指定を取り消すことを決めました。11人の医師は、自分が診察していない患者のレポートを提出するなどして国の審査を受けていたということで、いずれも不正を認めているということです。この問題を受け厚生労働省は、全国のほかの医療機関でも不正が行われていないか、過去5年間に指定を受けた2400人余りの医師を対象に調査する方針を決めました。また、再発を防ぐため審査の際に提出されるレポートのデータベースを設け、不正をチェックする仕組みを作ることも検討するとしています。厚生労働省は「今回の不正はあってはならないことで再発防止を徹底したい」としています。>

M3「専門医指定を不正取得か 川崎の大学病院 厚労省取り消しも審議」(http://www.m3.com/news/general/312356)。<以下引用>
<川崎市にある聖マリアンナ医科大病院の11人の医師が、精神科医療で患者の強制入院が必要かどうか判定する「精神保健指定医」の専門資格を不正に取得していた疑いがあることが14日、分かった。大学は弁護士らによる調査委員会を2月に設置しており、内部での調査を進めている。厚生労働省は15日にも、専門家による審議会を開き指定取り消しなどについて諮る方針。大学によると、指定を受けるには病院での実務経験を記した勤務証明書や、患者を診察したリポートを提出し審査を受ける。11人が提出したリポートには、同じ患者の症例を使ったため酷似していたり、自分が診察していない患者を報告したりした疑いがあるといい、厚労省が聞き取り調査をしているという。2月に厚労省から、ほかの3人の医師が資格申請のために提出したリポートが、11人に含まれる別の医師が以前に提出したものと似ていると指摘を受け判明した。聖マリアンナ医科大は「大学として重大な問題と認識している。調査委員会で原因究明をしていきたい」としている。病院はこの問題に関連し「常勤医師が減少し、外来診療と入院病床の維持が極めて困難になった」とし、神経精神科の診療体制を今月から縮小した。精神保健指定医は精神保健福祉法に基づき、他人への危害や自傷の恐れがある患者を本人の同意なく入院させる措置入院の必要があるかどうかなどを判定する。指定には一定の実務経験が必要で、精神疾患の患者を診察したリポートを提出し厚労省の審議会が審査、厚労大臣が指定する。不正があった場合は取り消しなどの処分を検討する。塩崎恭久厚労相は14日の閣議後記者会見で「個別案件なのでコメントは差し控える」と話した。>

衛生行政報告例(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19a.html)の精神保健福祉関係(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/13/dl/kekka1.pdf)では、平成25年度の措置入院患者数1482人、医療保護入院21万1980件で、特に医療保護入院件数が年々増加している。非自発的入院である、措置入院、医療保護入院は精神保健指定医が判断しており、社会的信用が絶対的に重要と感じる。そういえば、生活保護の医療扶助実態調査(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020101.do?_toGL08020101_&tstatCode=000001024563)の26年分データ(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001129112&requestSender=estat)をみれば、若い世代の「精神・行動の障害」での生活保護医療扶助が多いが、イロメガネでみられるような雰囲気はよくないであろう。「全国のほかの医療機関でも不正が行われていないか、過去5年間に指定を受けた2400人余りの医師を対象に調査」の結果が注目される。内部告発のようなことがないとも限らないかもしれない。医道審議会の精神保健指定医資格審査部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-idou.html?tid=240543)だけでなく、医道分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-idou.html?tid=127786)や医道審議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-idou.html?tid=127785)での処分審査も注目されるかもしれない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 医療従事者のデータベース | トップ | ストレスチェック制度 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事