保健福祉の現場から

感じるままに

外来医療のあり方を協議する場

2019年01月04日 | Weblog
メディウォッチ「外来医師が多い地域で新規開業するクリニック、「在宅医療」「初期救急」提供など求める―医師需給分科会」(https://www.medwatch.jp/?p=24132)。<以下引用>
<限りある医療資源の有効活用を目指し、外来医師が多数である地域(2次医療圏)においては、クリニック(診療所)を新規開業に医師に、「▼在宅医療▼初期救急医療▼公衆衛生―などの地域で求められる役割を果たす」ことを求めることとする―。12月26日に開催された医師需給分科会(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)で、こういった方針がまとまりました。来年度(2019年度)に都道府県で外来医療計画の策定などを行い、2020年4月から新規開業の届け出書の中に、上記のような「地域医療に貢献する」旨を記載することになります。ここがポイント! 1 2次医療圏ごとに、クリニックが充足しているかどうかを情報提供 2 クリニック充足地域での新規開業、在宅医療や初期救急などの提供を求める 3 外来医療の情報提供などで、「医師偏在の是正」効果があるか 2次医療圏ごとに、クリニックが充足しているかどうかを情報提供 医師の地域偏在対策の具体化に向けた検討が医師需給分科会で続けられていますが、昨年末(2017年末)の第2次中間とりまとめに向けた議論では、「自由開業について一定の制限を検討すべきではないか」との指摘が少なからぬ構成員から提示されました。「医師が不足している地域がある一方で、都市部では診療所の新規開業が事実上、自由に認められている。これが医師配置の不均衡是正を阻害しているのではないか」との考えに基づく指摘です。しかし、「自由開業の制限」には▼日本国憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する恐れがある(保険指定拒否でも同じ問題が生じる)▼駆け込み開設が増加する恐れがある―といった課題もあり、まず「開業を考える地域のクリニック(診療所)開設状況などのデータを示し、開業すべきか否かを考える機会を示す」「外来医療のあり方について、地域で関係者が協議する」ことから始める、ことで落ち着きました。例えば、ある医師がA都市での開業を考える際に、「当該地域ではすでにクリニック(診療所)が多数開設されている」「地域の人口は減少傾向に入っている」などといったデータを目にする機会があれば、「A都市での開業は控えたほうがよさそうだ。医師が不足しているB地区で勤務を視野に入れよう」と考えることが期待できるのではないか、という考えに基づくものです。こうした第2次中間とりまとめを受け、医師偏在対策に向けた改正医療法・医師法では(1)外来医療機能の偏在・不足などを客観的に把握できる「指標」を導入する(2)2次医療圏ごとに外来医療のあり方を協議する場を設置する―という制度的手当が行われました。これに基づき、12月26日の医師需給分科会では、より具体的な仕組みを議論したのです。まず(1)「外来医師の偏在指標」については、既に固められた「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、▼地域住民の年齢・性別の構成(受療率が異なるため)▼地域の昼間の人口(外来患者の多くは診療時間内に外来を受診するため)▼地域の医師の年齢・性別構成(医師の労働時間に違いがあるため)▼患者の流出入—などを加味して設定されます。この指標によって、全国の2次医療圏が「外来診療に携わるクリニック(診療所)の医師が、他の地域に比べて多いのか、少ないのか」を客観的に判断できるようになります。また現在、多くの診療所では「1人の医師」によって運営されているため、この「外来医師の偏在指標」は、すなわち「診療所の設置状況」をも表すことになります。「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、地域住民の年齢・性別構成や地域医師の年齢・性別構成、患者の流出入などを勘案した「外来医師の偏在指標」を設定。これにより全国の2次医療圏について「外来医師の多寡」を客観的に把握することができる 「新たな医師偏在指標」と同様に、「人口10万対医師数」をベースに、地域住民の年齢・性別構成や地域医師の年齢・性別構成、患者の流出入などを勘案した「外来医師の偏在指標」を設定。これにより全国の2次医療圏について「外来医師の多寡」を客観的に把握することができる 都道府県は、ホームページなどさまざまな機会を通じて、新規にクリニック(診療所)を開業する医師などに2次医療圏ごとの「外来医師の偏在指標」や「診療所・病院の所在マップ」などを情報提供します。地域の患者数は一定程度決まっていることから、クリニック(診療所)の数が多くなれば、「1クリニック当たりの患者数」は少なくなり、当然、収益も相対的に悪くなります。こうした情報を得た医師が、上記のように「この地域はクリニック(診療所)激戦区であるな。ここでの開業は控えよう」などと判断する助けをするものです。クリニック充足地域での新規開業、在宅医療や初期救急などの提供を求める また、「外来医師の偏在指標」に基づく、上位X%(数字は今後、議論していく)の2次医療圏は【外来医師多数区域】と指定されます(国がX%という数字を示し、都道府県が【外来医師多数区域】を指定する)。この【外来医師多数区域】では、クリニック(診療所)の新規開設に当たり、届け出書の中に「▼在宅医療▼初期救急医療(夜間・休日の診療等)▼公衆衛生(学校医、産業医、予防接種等)―などの地域で求められる役割を果たす」旨を記載することが求められるようになります。いわゆる「ビル診」であっても、自由診療(美容整形など)のみを提供するクリニック(診療所)であっても、同様の手続きを踏むことが求められます。限りある医療資源を有効活用するために、すでにクリニック(診療所)が充足している地域での新規開業には「より大きな地域医療への貢献を求める」という考えです。「地域医療へ貢献する」旨の記載を拒むこともできますが、その場合には(2)「外来医療のあり方を協議する場」に出席し、地域医療の関係者とともに「地域において果たす役割」などを協議することになります。その際、例えば「乳がんの早期発見において卓越した知識・技術を持っており、在宅医療や初期救急などを担わずとも、地域に大きな貢献ができる」ことなどが明らかになることもあるでしょう。また地域医療の関係者と協議する中で「在宅医療や初期救急などの重要性を認識できた。そうした機能を担うことにする」と方針転換を行うこともあるでしょう。こうした協議結果は公表されることになります。「外来医療のあり方を協議する場」は2次医療圏ごとに設置されますが、地域の実情を踏まえて「市町村単位のワーキンググループを設置する」など柔軟な運用が可能です。また、既に設置されている「地域医療構想調整会議」を活用することも可能です。都道府県は、この「協議する場」と連携して、新たに「外来医療計画」(2次医療圏ごとに外来医療が充足しているのか、不足しているのかを評価などする計画、詳細は今後示される)を作成し、計画に沿った外来医療提供がなされているのか(例えば、在宅医療実施を約束した新規開業医が本当に在宅医療を実施しているのかなど)のチェックなども行います。外来医療の情報提供などで、「医師偏在の是正」効果があるか こうした仕組みは「医療資源の有効活用」を目指すものです。すでにクリニック(診療所)が充足している地域で開業するのであれば、「より大きな地域医療への貢献」(在宅医療や初期救急など)を求め、「その負担が過重である」と考えるならば、別の場(例えば医師少数地域の病院など)で活躍してほしい―、こういう考えに基づきます。結果として、医師偏在対策にもつながってくると期待されます。これまで「事実上、自由」であったクリニック(診療所)開設に、▼外来医師の可視化▼外来情報の提供▼外来医療を協議する場の設置―という一定の公的介入を行う画期的な仕組みに、多くの構成員から「歓迎」の声が上がりました。もっとも、いくつか注文・指摘もあり、目立ったのは「実効性がどこまであるのか」という指摘です。これらの仕組みは、決して「新規開業を制限・抑制する」ことを目的としたものではありませんが、結果として「医師の充足している地域(都市部)でクリニック(診療所)の新規開業を行うよりも、医師不足地域の病院等で自身のスキルを活かそう」と考える医師が増え、それが医師偏在の是正に向けた動きとなる期待されています。「情報提供」や「協議の場への出席」などでは、そうした期待に十分に応えることができないのではないかと考える構成員も少なくありません。例えば、森田朗構成員(津田塾大学総合政策学部教授)は、「社会資源を適正に配分する手法には、大きく▼規制▼情報提供▼経済的インセンティブの付与―の3つがあり、今般の手法は『情報提供』にあたる。『規制』は憲法問題などがあり難しそうだが、とはいえ『情報提供』だけでは心もとない。経済的インセンティブ、つまり診療報酬による誘導なども考えるべきではないか」旨を述べ、医師需給分科会から中央社会保険医療協議会に要望・提案などを行ってはどうかとの考えを示しました。もっとも、「供給が需要に追い付いていない」(例えば、在宅医療ニーズに、在宅医療提供が追いついていないなど)ケースでは、診療報酬での加算設定などが一定の効果を生みますが、「供給が需要を上回っている」ケースに診療報酬での対応がどこまで有効かは慎重に検討する必要があるでしょう。例えば、「大病院への外来受診」を抑制するために、選定療養の設定などが行われていますが、「十分な効果をあげている」とは言いにくい状況です。診療報酬等の特性なども踏まえた検討が求められます。実効性に関連して、山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、「効果などを踏まえ、さらなる方策の検討も継続してほしい」と要望。また今村聡構成員(日本医師会副会長)は、「新規開業に当たっては、安定した収益を得られるかどうかに最も関心が集まる。できれば市町村ごとに『1クリニック(診療所)当たりの平均患者数』や『分散の度合い』などを提示してはどうか」とも提案しました。今村構成員の提案は非常に重要ですが、どこまでそうしたデータを示せるのか(非常にセンシティブな情報でもある)、厚労省内で検討されます。また、クリニック(新規)開業は、医師個人が主導するケースもありますが、▼いわゆる開業コンサルタント(卸業者など)▼大手調剤薬局チェーン▼金融機関―が主導するケースも決して少なくありません。例えば、卸業者や大手調剤薬局などが市場拡大のために「医療モール」を開設し、そこでの開業を促すといったケースなどです。裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「後者の行動・意識を理解し、手当をしなければ、実効性に欠ける」とも指摘しています。さらに羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は、「開業届け出の時には、すでに開設準備がほぼ済んでいる。開業の1年前などに『事前申請』『予備申請』などを求め、地域医療への貢献について合意してもらう必要があるのではないか」と具体的に提案しました。なお、神野正博構成員(全日本病院協会会長)をはじめ多くの構成員から、「診療科別の外来医師偏在指標」設定を求める声も出されました。この点については、例えば「診療科と傷病の紐づけ」など、膨大な作業が必要となるため、「今後の検討テーマ」に位置付けられています(医師偏在対策における「新たな医師偏在指標」でも同じく、今後の検討テーマとされている)。いくつかの注文は付いたものの、▼外来医師偏在指標設定とそれに基づく情報提供▼外来医療のあり方に関する協議の場の設定―などは医師需給分科会として概ね了承されました。厚労省は、今年度(2018年度)中に、別途議論されている医師偏在対策と併せて、外来医療計画等に関するガイドライン(作成基準)を提示。都道府県では、このガイドラインに沿って、外来医療計画を来年度(2019年度)中に策定。2020年4月から、「情報提供」や「協議の場」の設置、さらに「外来医師多数地域で新規開業を行う場合の、地域医療への貢献」などが稼働することになります。>

「医師需給分科会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)の「外来医療機能の偏在への具体的対応について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000464908.pdf)p12「外来医療に関する協議の場の設置について;【対応(案)】1)設置区域•原則として、二次医療圏単位とするが、必要に応じて市区町村単位等での議論が必要なものについては、別途設定することも可能とする。2)会議体の体制•入院医療と同様、地域医療構想調整会議において議論することを可能とする。•地域の規模や議題等によっては、作業部会(ワーキンググループ)などを、市区町村単位を含め、地域の実情に応じた柔軟な対応を可能とする。3)開催回数•地域の定点的な現状と課題の把握、施策の検討等については、年1回の開催を基本とする。•ただし、別途省令に定める臨時の会議について、開催を可能とする。4)公表•協議の結果をとりまとめ、公表するものとする(医療法第三十条の十八の二)。」、p14「【対応(案)】○新規開業者に対し、届け出様式を入手する機会を捉え、外来医師多数区域であることと、医療計画に定めてある方針を提供し、新規開設者の届出様式に、地域で定める不足医療機能を担うことを合意する旨を記載する欄を設け、協議の場で確認できるようにすることとしてはどうか。○合意欄への記載が無いなど、新規開設者等が地域の外来医療提供方針に従わない場合には、臨時の協議の場への出席要請を行うこととしてはどうか。○臨時の協議の場において、協議の場の主な構成員と、出席要請を受けた当該新規開業者で、話し合いの場をもち、その協議結果を公表することとしてはどうか。ただし、協議の簡素化のため、協議の形態については、適宜持ち回りとするなど、柔軟な対応を可能としてはどうか。」がどこまで機能するか、であろう。「外来医療機能に関する情報の可視化」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000464906.pdf)、「新規開業者等への情報提供」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000464907.pdf)を行うのであれば、3年ごとの医療施設調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html)や隔年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20.html)だけではなく、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の全国データベース化が不可欠と感じる。医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_335126.html)では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の見直しが検討されている。「医療機能情報提供制度の現状と課題」(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000213345.pdf)p3「〇各都道府県での異なる運用状況について・他の類似制度での状況や一般的な検索システムでの現状を踏まえ、各都道府県での異なる運用状況について、さらなる議論をいただきたい。」とあったように、現状では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)は各都道府県のサーバー管理で、公開項目もバラバラで効率が悪い。また、NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)は都道府県単位ではなく、少なくとも二次医療圏単位で分析結果が公表されるべきであろう。おそらく、「外来医療のあり方を協議する場」は資料「外来医療機能の偏在への具体的対応について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000464908.pdf)p13「地域医療構想調整会議」を活用する都道府県が少なくないであろうが、課題は地域のデータ・資料に基づくPDCAが行われているかどうかである。そういえば、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)に関して、「地域医療構想に関するワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)で進め方が議論されている。厚労省医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、各地域の地域医療構想調整会議でデータ・資料が示されているであろうか。「外来医療のあり方を協議する場」が機能するためには、平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p53~60「外来医療の機能分化、かかりつけ医の機能の評価」も踏まえた議論が欠かせないが、それぞれの地域における、①会議、②研修、③普及啓発にかかっているように感じる。
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