保健福祉の現場から

感じるままに

再編統合の正確な理解が必要

2019年11月05日 | Weblog
朝日新聞「患者減、医師もいない…再編統合名指し、反発病院の事情」(https://www.asahi.com/articles/ASMBR7RVFMBRULBJ010.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<再編統合の検討が必要だとして、厚生労働省が9月に424の公立・公的病院を名指ししたことで、各地の病院や自治体が反発している。ただ、政策の方向性自体に異を唱える声は少ない。高齢化や人口減少が進む中、医療体制は見直しを迫られている。10月29日、厚労省であった自治体や病院関係者との意見交換会。関東甲信越の400人超が詰めかけ、厚労省の対応を批判した。「住民に多くの不安を与え、スタッフにも動揺が広がっている」「必死に地域の暮らしを守っている病院がやり玉に挙がっている。そういう病院がいらないと言われることは、その地域に暮らす必要がないと言われているようだ」>

9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された再検証要請対象医療機関は、資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000552165.pdf)にあるように、平成29年病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data_00002.html)で、「高度急性期」又は「急性期」の機能選択病棟がある公立公的病院であって、「具体的対応方針の再検証の要請に係る診療実績の分析方法等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551025.pdf)により、「A:対象となる全ての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期・災害・へき地・研修派遣機能)で「診療実績が特に少ない」とされた医療機関」または「B:対象となる全ての領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期)で「類似かつ近接」とされた医療機関」で抽出されており、6領域(がん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期)は参考資料1-3(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551038.pdf)に示すように、がん(放射線療法、肺・乳・消化器・泌尿生殖器)、心疾患(急性心筋梗塞に対する心臓カテーテル手術、外科手術必要な心疾患)、脳卒中(脳血管内手術、開頭手術、超急性期脳卒中加算)、救急(救急搬送等医療、大腿骨骨折等)、小児(小児入院医療管理料、NICU管理料等)、周産期(ハイリスク分娩管理加算、分娩件数)の「急性期診療」の実績で評価されている。あくまで、急性期病院としてどうなのか、ということである。「地域医療構想のこれまでの議論について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558405.pdf)p11「具体的対応方針の再検証における「再編統合」とは」の「地域の医療提供体制の現状や将来像を踏まえつつ、個々の医療機関の医療提供内容の見直しを行う際には、・医療の効率化の観点から、ダウンサイジングや、機能の分化・連携、集約化 ・不足ない医療提供の観点から、機能転換・連携等を念頭に検討を進めることが重要である。(これらの選択肢が全て「再編統合」に含まれると解する。)」とあるように、「再編統合=病院自体の再編統合や廃止」ではない。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)に関して、「地域医療構想に関する自治体等との意見交換会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07279.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558822.pdf)が各ブロックで開催されたが、当面の注目は、以下の3点であろう。第一は、9月26日会合(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html)で公表された公立公的病院の再検証要請対象医療機関について、資料の見方(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000552160.pdf)では「本資料は暫定版であり、今後精査を行った後に都道府県に確定版を通知する予定」とあり、通知(確定版)がいつ頃、どういう内容で出るか、である。第二は、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/decision0621.html)(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/2019_basicpolicies_ja.pdf)p60「民間医療機関についても、2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるよう対応方針の策定を改めて求めるとともに、地域医療構想調整会議における議論を促す。」とあり、民間医療機関の分析結果がどうなるか、である。厚労相資料(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1028/shiryo_02.pdf)p1「2019年度;地域医療全体を見直す観点から、民間医療機関の診療実績データを都道府県等に提供」とある。第三は、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/decision0621.html)(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/2019_basicpolicies_ja.pdf)p60「地域医療構想の実現に向け、全ての公立・公的医療機関等に係る具体的対応方針について、診療実績データの分析を行い、具体的対応方針の内容が、民間医療機関では担えない機能に重点化され、2025年において達成すべき医療機能の再編、病床数等の適正化に沿ったものとなるよう、重点対象区域の設定を通じて国による助言や集中的な支援を行うとともに、適切な基準を新たに設定した上で原則として 2019年度中に対応方針の見直しを求める。」とあり、重点対象区域の設定がどうなるか、である。厚労相資料(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/1028/shiryo_02.pdf)p1「2019年度;重点支援区域について都道府県から情報収集、2020年度;重点支援区域に対する国による直接的支援【20年実施】」とある。そういえば、地域医療構想に関するワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の資料「地域医療構想調整会議での議論の活性化にむけて」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000520443.pdf)p12「公立病院への繰入金には、収益的収入に対する繰入金と資本的収入に対する繰入金があり、繰入金は合計で年8,000億円程度である。ランニングコスト(収益的収入)に対する繰入金だけで1病院当たり7億円である。」、p26「一般病床のある公立病院の約3分の1は赤字で、一般病床の病床利用率が70%未満の病院が少なくなく、病床利用率70%未満ではほとんど赤字である。病床利用率が低い病院は地域の需要に対して病床が過剰である。」とあったが、まずは、自分たちの病院がどういう状況にあるか、情報共有されなければ、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の推進は覚束ないであろう。「経済財政運営と改革の基本方針2019~「令和」新時代:「Society 5.0」への挑戦~」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2019r/0621/shiryo_04-1.pdf)p72「地方自治体や住民が自ら課題を発見し解決・向上につなげていくよう、総務省は地方単独事業(ソフト)の試行調査における歳出区分の適正化や公営企業の経営・資産の状況等の見える化を徹底する。」とあり、すべての公立病院の経営・資産の状況について、専用ページでの見える化が期待される。公立病院では、一般会計から、収益的収入に対する繰入金と資本的収入に対する繰入金をどこまで投入して、地域の急性期医療を確保するのか、まさに問われているかもしれない。とにかく、「高度急性期」又は「急性期」の機能選択病棟は、参考資料1-3(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551038.pdf)に示すがん・心疾患・脳卒中・救急・小児・周産期の急性期診療がメインの病棟か再検証すべきである。次に、人口減少地域で、病床利用率が低い病院では、ダウンサイジング(病床削減)も考えられるであろう。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p13「構想区域の2025 年の医療需要=[当該構想区域の2013年度の性・年齢階級別の入院受療率×当該構想区域の2025年の性・年齢階級別推計人口]を総和したもの」であり、人口減少地域では急性期病床が過剰になりやすい。医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)では医療機関ごとに、病床種別の許可病床数と前年度一日平均入院患者数が出ているが、病床利用率(前年度一日平均入院患者数/許可病床数)が7割を下回る病院が少なくない。「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に関する総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請されていることを踏まえたい。「平成30年度(2018年度)病床機能報告の結果について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000509330.pdf)p9「開設主体等ごとの非稼働病棟における2025年の病床機能について」では「多くの開設主体等では、2025年までに非稼働病棟の一部を再稼働しようとする意向」とあったが、「非稼働病棟」だけではなく、「病床利用率が極端に低い一般病床」についても検討が必要と感じる。稼働していても利用率が低い一般病床が少なくないからである。1)病棟の病床機能の見直し(急性期⇒回復期)、2)利用率が極端に低い一般病床の病棟のダウンサイジング、はそれほど困難ではないであろう。とにかく、誤った報道に惑わされてはいけない。
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