保健福祉の現場から

感じるままに

地域連携パス

2008年09月30日 | Weblog
先週、S県の行政主催の地域連携パス研修会に参加した。中核専門病院のスタッフだけでなく、開業診療所や介護事業所からも多数参加されていた。おそらく、行政主催の意義の一つはここにある。専門職能団体や中核病院主催では、広範な機関、多様な職種の参加は容易ではないかもしれない。この地域では、大腿骨頚部骨折と脳卒中の地域連携パスが運用されているという。脳卒中の連携パスは、昨年度の医療計画の作成の延長で取り組まれたそうである。同様な地域は少なくないかもしれない。昨年7月20日の通知(http: //wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/191113-k00.pdf)の「第4医療計画作成の手順等 2疾病又は事業ごとの医療連携体制構築の手順 (2)協議の場の設置 ② 圏域連携会議」において、「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。また、状況に応じて、地域連携クリティカルパス導入に関する検討を行う。」とされているからである。また、平成20年度の診療報酬改定「地域連携診療計画管理料・同退院時指導料」では、対象疾患に脳卒中が追加(http://www.phcd.jp/topics/iryouseido_kaikau/08213_chiiki_renkei.pdf)(http://www.phcd.jp/topics/iryouseido_kaikau/080305_chiiki_renkei_shinnryou_keikaku.pdf)されたが、脳卒中に係る評価は医療計画に記載されている病院、
有床診療所について行うこととされた影響もあるかもしれない。さて、ここでの連携パスは、中核専門病院と回復期病院との間での運用に留まっているとのことであるが、介護事業所も含めた維持期までの運用が期待されるところである。確かに無床診療所や介護事業所にとっては、診療報酬のメリットはない。一応、介護保険では「居宅介護支援費の初回加算Ⅱ」として、30日を超える入院・入所期間を経た後の退院・退所に当たって、新規に居宅サービス計画を作成する利用者に対し、病院や施設との連携を図った場合に加算(600単位)が認められる(http://www.khosp.or.jp/whatsnew/i2007/issue07002/issue07002.pdf)が、報酬のためだけに地域連携パスを運用しようとすると、うまくいかないかもしれない。「地域連携診療計画管理料」の算定要件(平均在院日数17日以内等)を満たさない病院との連携や診療報酬評価がない他疾患(糖尿病、心筋梗塞、がん等)の連携パスをどうするかということもあるが、あくまで地域連携パスは円滑な連携のためのツールの一つであるという認識が必要かもしれない。地域連携パスは「共通の情報、診療方針に基づく申し送り」のような捉え方が良いかもしれない。今後、この県でも医療機能調査(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/191113-d00.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_1.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_2.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_3.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_4.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_5.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/7872efb1ae67adc0492573e9001fe2b7/$FILE/20080208_7sankou1_6.pdf)の全項目が公開されるとのことであるが、「薬局機能情報提供制度」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/190405-d01.pdf)(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/190405-e00.pdf)や「介護サービス情報」(http://www.espa-shiencenter.org/preflist.html)も併せて、地域での「連携ガイドの作成」のほか、住民に対する医療(福祉)連携の普及啓発ということも期待されるかもしれない。ともかく、研修会に参加されていた多くの方々が地域の医療福祉現場のことを考える「行政」に期待しているのは、間違いなさそうである。
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