保健福祉の現場から

感じるままに

精神障害者の社会的入院解消と精神科病院の構造改革

2018年03月14日 | Weblog
キャリアブレイン「精神障害者の退院後支援、自治体向け研修実施へ 厚労省、ガイドラインの活用促す」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180314195832)。<以下引用>
<厚生労働省は14日、3月中に公表を予定している、精神障害で入院した患者の退院後支援ガイドラインについて、自治体の担当者向けの研修を4月に行う方針を明らかにした。長期入院精神障害者の地域移行をめぐっては、精神科病院や地域援助事業者の努力だけでは限界がある。このため、厚労省は精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指している。厚労省は、入院患者の地域移行を進めるためには、各自治体が退院後の支援体制を整備する必要があると判断し、精神保健福祉法に基づくガイドラインを策定することを決めていた。自治体の担当者向けの研修を実施し、ガイドラインの活用を促したい考えだ。厚労省は2017年、精神保健費に関する国庫負担金・補助金の交付要綱を改正し、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業費」に関する事項を追記。厚生労働白書(17年版)でも、退院に向けた支援や病院の構造改革といった地域移行の方向性を示していた。>

4年前の長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)では「本人の意向に沿った移行支援」が示されている。日本医師会「パンフレット「終末期医療 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)から考える」について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/006650.html)が出ていたように、医療現場では「アドバンス・ケア・プランニング」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000189051.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000189055.pdf)のような「意思決定支援」が強調されるようになっているが、意思決定支援は精神医療にも重要と感じる。精神医療の意思決定支援には長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)で「病院の構造改革」が示されているように、病院側の改革が欠かせないであろう。しかし、「病院の構造改革」のためには、精神病床について、一般病床や療養病床と同様の施策を実施し、地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)を積極的に投入すべきである。例えば、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。「病院の構造改革」がなされないようでは、精神障害者の社会的入院解消は厳しいかもしれない。なお、国立精神・神経医療研究センター「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)の「新精神保健福祉資料平成29年速報版」では、市区町村別の長期入院患者数(65歳未満、65歳以上)が出ていることは知っておきたい。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の「精神疾患」に関して、精神疾患の数値目標(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159905.pdf)には、地域移行に伴う基盤整備量もあり、これは市町村の介護保険事業計画、障害福祉計画とも絡んでくる。今年度は、平成30年度からの介護保険事業(支援)計画、障害(児)福祉計画、医療計画が策定されており、都道府県と市町村の連携・協働による組織横断的な取り組みが不可欠であろう。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築支援情報ポータル」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)の資料(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/meeting01data/sysbuildermeeting01_ref1-2.pdf)p38~39「市町村計画における地域移行に伴う基盤整備量の調整」はどうなっているであろうか。5年計画の「第4次障害者基本計画(2018-22年度)」(http://www8.cao.go.jp/shougai/keikaku4th_iken.html)は、この際、3年計画の障害(児)福祉計画、介護保険事業(支援)計画、6年計画の医療計画と計画期間の整合を図った方が良いように感じる。そういえば、医療費適正化計画も6年計画になったが、精神障害者の社会的入院解消は医療費適正化計画でも打ち出されるべきであろう。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」とあるが、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)は興味がないのであろうか。精神障害者の社会的入院解消は生活保護医療扶助の適正化の観点からも必要であろう。平成29年度全国厚生労働関係部局長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/tp0115-1.html)の社会・援護局資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2018/01/dl/tp0115-s01-01-03.pdf)の医療扶助の適正化では、後発医薬品の普及、頻回受診の適正化、生活習慣病の予防・重症化予防はあるが、精神障害者の社会的入院解消はない。
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