保健福祉の現場から

感じるままに

口腔機能低下と行政施策

2016年12月16日 | Weblog
読売新聞「「食べられる口」を作るため、訪問歯科医師との連携を(2)」(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20161122-OYTET50025/)。<以下引用>
<私は以前、長期療養型の病院で働いていたことがありましたが、その間に歯科医師と連携して患者さんの栄養管理をしたことは一度もありませんでした。たとえ患者さんに口腔内のトラブルがあっても、病院の食事を食べやすく調整して提供できていたからです。しかし、「あの患者さん、もう少し咀嚼がしっかりできれば、普通のおかず(常食)が食べられるのになぁ」と感じながら、ご本人の意に沿わなくても、やむを得ずおかずをミキサーにかけて提供することがありました。そんなときは患者さんの希望通りにはいかず、もやもやが残ったことを今でも覚えています。また、入院中は病気の治療が最優先で、「口の中をしっかりケアする」という意識が不足していたと、今では思います。高齢者施設では、2015年度の介護保険制度の改正によって「経口維持加算」という制度が始まりました。これは「口腔機能や咀嚼機能を重視し、その機能を改善・把握したうえで栄養管理を行うこと、またその歯科と栄養をはじめとした多職種協働のプロセスを評価する」というものです。「食べられる口」を作る歯科医師と、「食べものの形と栄養量」を考える管理栄養士が連携する、画期的な制度が始まったのです。いつも私がお世話になっている訪問歯科医師のY先生は、冬場は白衣の上にバイク用のライダージャケットを羽織って登場する、一風変わった方です。先生が初めて訪問診療をしたのは、近所に住む高齢の男性だったそうです。治療をそばで見ていたお孫さんは、今は歯科衛生士さんになって活躍しています。きっと、困っている人の自宅に出向いて、トラブルを解決してあげるY先生がヒーローに見えたのでしょうね。そんなY先生が老人保健施設へ歯科往診に行く際に、私も同行させていただきました。診療に必要な機材などの大きな荷物を車に積み、いざ出発。施設では、車いすの女性患者さんと一緒に、施設の看護師と管理栄養士が待機していました。患者さんは、下の前歯が欠けていて、そこに舌が当たると痛そうでした。食べ物が歯の欠けたくぼみに引っかかると気になってしまうようで、食事にも時間がかかります。私は、Y先生から「治療箇所にライトを当てるように」という指示に従って、ペンライトを手に患者さんに向き合うことになりました。急に歯科助手になったような気持ちです。私たちが歯科医院で治療を受けるときは、リクライニングのいすに座ると目の前に眩しいライトが下りてきますね。訪問治療ではそうはいきません。患者さんの状況や姿勢に合わせて、治療をする側が体勢を変えるなどの対応が必要です。Y先生は小さなプラスチックの板のようなものを欠けた前歯にあて、白い液体をくぼみに流していきます。ひとつひとつの動きが早く、あっというまに下の歯が元通りに。この治療は「レジン充填」と呼び、歯の欠けた部分に歯科用のプラスチックを詰めるという、一般的な歯科治療のひとつです。私は、まるで職場体験の中学生になったような気分で、まじまじとその様子を見て感心してしまいました。ペンライトを持つ手にも力が入ります。治療が終わると女性は手鏡で元通りになった前歯を見ると、にっこりと笑顔を見せてくれました。前歯には、食べ物をかじりとるという、大切な役割があります。食べ物をすりつぶす奥歯も大切ですが、前歯がしっかり機能していないと食べ物を一口大の大きさに切って提供するなどの調理や盛り付けの工夫が必要です。介護保険の「経口維持加算」では「月1回以上、医師、歯科医師、管理栄養士、看護職員、言語聴覚士、介護支援専門員とその他の職種が共同して、入所者の栄養管理をするための食事の観察及び会議を行う」との決まりがあります。これを「ミールラウンド」と呼び、複数の専門家が患者さんの食事の様子を観察することで、それぞれの専門的な視点から問題意識を共有することができます。この取り組みは、ようやく高齢者施設で走り出したばかりで、在宅医療の現場ではまだ一般的ではありません。患者さんに咀嚼力の低下や嚥下(飲み込み)障害があって、退院時のサマリー(情報提供書)などに「嚥下障害あり」との記載があっても、実際にそれぞれの専門職が一緒に食の支援をできることは稀です。しかし、「いつまでも口から美味しく食べたい」と願う人には、いつでも多職種による「在宅食支援チーム」が入れるよう、地道に地域のネットワークを広げていきたいと思います。>
 
3年ごとに全国の市町村が実施している「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)をみれば、介護保険を利用していない一般の高齢者でも口腔機能低下ニーズが非常に高いことがわかる。「摂食嚥下関連医療資源マップ」(http://www.swallowing.link/)には介護食対応レストラン(http://azumao.maps.arcgis.com/home/webmap/viewer.html?webmap=3bdb7f1ca2254aacafed706d8aaf8a6c)も出ているが、まずは、それぞれの地域において、咀嚼力低下や嚥下力低下に関する専門相談窓口の設置が不可欠であろう。以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000039686.pdf)p169国庫補助事業「口腔保健推進事業;ア)口腔保健支援センター設置推進事業、イ)歯科保健医療サービス提供困難者への歯科保健医療推進事業、ウ)障害者等歯科医療技術者養成事業、エ)医科・歯科連携等調査実証事業」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/shikakoukuuhoken/dl/20130404_01.pdf)があり、特に「医科・歯科連携等調査実証事業」は「医科・歯科の関係者等により構成される連携協議会を設置し、地域の実情を踏まえた普及及び連携の実践に取り組む」とあったが、どうなっているであろうか。なお、医療施設調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html)の歯科診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_shika.pdf)では在宅医療サービスの実績が詳細に把握されていることは常識としたい。歯科医師過剰問題(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%AF%E7%A7%91%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E9%81%8E%E5%89%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C)が指摘されるが、ニーズにきちんと対応できていないように感じる。行政施策を進めるためには、例えば、①国庫補助事業「口腔保健推進事業;ア)口腔保健支援センター設置推進事業、イ)歯科保健医療サービス提供困難者への歯科保健医療推進事業、ウ)障害者等歯科医療技術者養成事業、エ)医科・歯科連携等調査実証事業」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/shikakoukuuhoken/dl/20130404_01.pdf)の取り組み自治体マップのネット公開、②地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)による「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)の口腔機能低下割合の公表、③厚労省の介護事業所・生活関連情報検索(http://www.kaigokensaku.jp/)における「経口維持加算」「経口移行加算」「口腔衛生管理体制加算」「口腔衛生管理加算」「口腔機能向上加算」(https://www.jdha.or.jp/pdf/h27kaigohousyu_kaitei.pdf)の算定施設の公表などが期待される。
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認知症事故対応と行政施策

2016年12月16日 | Weblog
キャリアブレイン「認知症の人の事故、賠償は「民間保険で」- 関係省庁会議、公的救済の導入は見送り」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50205.html)。<以下引用>
<各省庁が認知症の人に関する施策の情報を共有し、連携を強化することを目的とした関係省庁連絡会議は、認知症の人が起こした事故の損害賠償に関する対応などについて考え方を示した。損害賠償については民間保険の紹介・普及を進めることで対応するとし、関係団体などが求めていた公的な救済制度の導入は難しいと結論付けた。2007年、認知症で徘徊中に列車にはねられて死亡した男性の遺族に対し、JR東海は約720万円の損害賠償を求めた。この訴訟については今年3月1日に最高裁が、死亡した男性の家族に賠償を命じた2審判決を破棄し、JR東海側の請求を棄却する判決を下した。この裁判を機に、関係団体などの間で、認知症の人がかかわった事故などを対象とした公的な救済制度の導入を求める機運が高まった。最高裁の判決が下された後の3月14日には、安倍晋三首相が参院予算委員会で、認知症の人がかかわった事件や事故に社会としてどのように備えていくのかなどを、関係省庁連絡会議に検討させる方針であることを答弁した。これを受け、関係省庁連絡会議ではワーキンググループ(WG)を設置した。WGでは、認知症の人による事件・事故に関する実態把握を進めつつ、社会としてどのように備えていくかについても検討。その結果をこのほど公表した。■14年度、認知症の人関与の鉄道事故29件 WGによると、14年度中に認知症の人がかかわった鉄道事故は29件発生していた。このうち、損害額が最も大きかった事例は約120万円だった。また、15年に認知症の人が交通事故を起こし、免許取り消しとなった件数は78件。このうち人身事故は27件、物損事故は51件だった。こうした状況を踏まえ、WGは事故などに伴う損害賠償への対応について、具体的な方向性を示した。関係団体などが求める公的な救済制度については、モラルハザードへの対応も含めた幅広い議論が必要である上、最高裁で判決が下された事案のように損害が高額になる事故やトラブルが頻発しているという事実は確認されなかったことから、直ちに対応するのは難しいとした。その一方で、民間保険でさまざまな商品が開発されていることに着目。特に個人の賠償責任を補償する民間保険について、「市町村や認知症の人と家族の会などの関係団体と連携しつつ、必要に応じて紹介・普及などを行う」とした。■免許センターに医療系専門職配置など推進 また、事故などを未然に防ぐための取り組みとしては、▽運転免許センターに医療系専門職員を配置して運転適性相談に当たらせる ▽踏切における検知能力の高い障害物検知装置や非常押しボタンの設置の推進―などを挙げた。>
 
「認知症の人と家族の会」(http://www.alzheimer.or.jp/)の「認知症と自動車運転」(http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=10399)をみておきたい。認知症の人向けの個人賠償責任保険(https://www.jafp.or.jp/know/info/column/20160708.shtml)(http://pikkapikka.net/2016/03/kojinbaisyou2nti/)(http://style.nikkei.com/article/DGXMZO96770510R00C16A2000001?channel=DF280120166579)(http://個人賠償責任保険.com/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E8%80%85.htm)の普及が急務であろう。平成29年3月12日施行の改正道路交通法(https://www.pref.shizuoka.jp/police/anzen/jiko/kotsuho/documents/koreitaisaku.pdf)について、保健医療介護福祉関係者向けの研修が急務と感じる。ところで、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000115521.html)の「若年性認知症施策総合推進事業実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115513.pdf)、「都道府県別認知症疾患医療センターの整備状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115512.pdf)、「平成27年度認知症初期集中支援チーム配置予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115503.pdf)、「平成26年度認知症カフェ設置市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115506.pdf)、「平成26年度市民後見推進事業実施市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115509.pdf)、「平成27年度権利擁護人材育成事業実施予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115510.pdf)、「各都道府県における「成年後見制度利用支援事業」実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115511.pdf)、「平成27年度認知症地域支援推進員配置予定市町村一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115504.pdf)、「都道府県別キャラバン・メイト数、認知症サポーター数(自治体型)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000115507.pdf)をみれば、認知症対策の取組格差が非常に大きいことがわかる。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)では、、「総合事業による週1回以上の通いの場の参加率」「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況」が市町村ごとに出ているが、各種認知症施策の取り組み自治体マップの公表も期待される。
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地域医療構想と新公立病院改革プラン

2016年12月16日 | Weblog
経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の厚労相資料「経済・財政一体改革 (社会保障改革)の取組状況」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/1021/shiryo_04.pdf)p2「「地域医療構想」の策定状況と取組状況;公的病院が中心的役割を担い、地域医療構想において個々の病院の再編の記載がある場合は、記載内容に基づき協議を開始(青森県、岐阜県など)Ø地域医療構想において個々の病院の再編の記載が無い場合は、今後、次のステップで、各都道府県での協議を促進 ①救急医療や小児、周産期医療等の政策医療を担う中心的な医療機関の役割の明確化を図る ②その他の医療機関について、中心的な医療機関が担わない機能や、中心的な医療機関との連携等を踏まえた役割の明確化を図る」とある。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)と並行する「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)は今年度までの策定である。総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439913.pdf)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000149.html)で、都道府県別の策定状況(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439915.pdf)も出ていたが、「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)はどうなっているであろうか。「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)では、一般会計が負担すべき経費の範囲についての考え方及び一般会計等負担金の算定基準を示すことになっており、この情報公開徹底が不可欠と感じる。総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請され、総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)は常識としたい。
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HPVワクチンと子宮頸がん検診

2016年12月16日 | Weblog
NHK「子宮頸がんワクチン全国調査 未接種でも症状 一定割合」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161226/k10010820141000.html?utm_int=all_side_ranking-social_004)。<以下引用>
<子宮頸がんワクチンを接種したあとに、原因不明の体の痛みなどの症状を訴える女性が相次いだ問題で、厚生労働省の研究班は、接種していない女性にも一定の割合で同様の症状がみられたとする全国調査の結果を公表しました。厚生労働省は「この結果だけでは接種と症状との因果関係は判断できない」として、現在中止している接種の積極的な呼びかけを再開するかどうかは引き続き検討するとしています。子宮頸がんワクチンは、国内で7年前に接種が始まり、平成25年度からは定期接種に追加されましたが、接種のあとに体の痛みなどを訴える女性が相次ぎ、国が3年以上、接種の積極的な呼びかけを中止しています。厚生労働省の研究班は、26日の専門家会議の中で実態を把握するために行った全国調査の結果を報告しました。調査では、去年末までの半年間に全国の病院を受診した12歳から18歳の男女2500人余りの症状について、「体の痛みや運動障害、それに記憶力の低下などの症状が3か月以上続いて、仕事や学校生活に支障が出ていないか」を分析しました。その結果、子宮頸がんワクチンを接種した女性では、推計で10万人当たり27.8人に症状が確認された一方で、接種していない女性にも、推計で10万人当たり20.4人に症状がみられることがわかったということです。この結果について厚生労働省は、「同じ症状が出た場合でも、社会問題となったことで、ワクチンを接種した人のほうが医療機関を受診することが多いとみられるうえ、医師もより慎重に診断するため報告が上がりやすくなることも考えられる」としたうえで、「今回の調査結果だけで接種した人と、していない人の発症率を比べることはできず、接種と症状との因果関係は判断できない」としています。このため厚生労働省は、引き続き専門家会議で因果関係の検証を進めたうえで、接種の積極的な呼びかけを再開するかどうかを判断したいとしています。子宮頸がんワクチンめぐる経緯 子宮頸がんワクチンは、国内で7年前から接種が始まり、3年前の平成25年4月に、小学6年生から高校1年生の女子を対象とする定期接種に追加されました。ところが、ワクチンを接種したあと、原因不明の体の痛みなどを訴える患者が相次ぎ、厚生労働省は、定期接種を始めたわずか2か月後、接種の呼びかけを中止する異例の対応を取りました。接種と症状との因果関係を調査してきた厚生労働省の専門家会議は、おととし1月、「ワクチンの成分によって神経や免疫などに異常が起きるとは考えにくく、接種の際の不安や痛みなどがきっかけで症状が引き起こされた可能性がある」とする見解をまとめました。しかし、その後も詳しい原因は特定できず、去年11月、厚生労働省は接種していない人にも症状が出ているかを調べるため、大規模な調査を行う方針を打ち出しました。今回の調査結果は、接種の積極的な呼びかけを再開するかどうかの厚生労働省の判断に大きな影響を与える可能性があるとして注目が集まっていました。日本産科婦人科学会 “接種勧奨の再開を” 今回の調査結果について、日本産科婦人科学会の藤井知行理事長は「これまで学会が訴えてきたとおり、わが国においてもワクチンと関係なく思春期の女性にとう痛や運動障害などワクチン接種後に報告されている多様な症状を呈する方が相当数いらっしゃることが確認されました。こうした症状のある女性の診療に今後も真摯(しんし)に取り組んでいくとともに、将来、わが国だけで多くの女性が子宮頸がんで命を落とすという不利益がこれ以上拡大しないよう、国が一刻も早くワクチンの接種勧奨を再開することを強く求めます」とするコメントを発表しました。訴訟弁護団「実態を正しく捉えていない」 今回の調査結果について、子宮頸がんワクチンの問題で国と製薬会社に対して治療費などを求める訴えを起こしている弁護団が26日、記者会見を開きました。の中で、弁護団の水口真寿美弁護士は、「ワクチンの接種後に起こる症状の特徴は、1人の患者に複数の症状が出ることだと考えているが、今回の調査は症状が1つだけの人も対象になっているなど、実態を正しく捉えられていないと感じる。今回の調査結果だけでワクチンを接種していない人にも接種後の人と同様の症状が出ているとは言い切れず、この結果をもとに接種の積極的な呼びかけを再開するかどうか議論するのは科学的ではない」などと指摘しました。>

朝日新聞「子宮頸がんワクチン被害集団訴訟、57人が2次提訴」(http://www.asahi.com/articles/ASJDG5F8CJDGUTIL02C.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<子宮頸(けい)がんワクチン接種後の健康被害を訴える15~22歳の女性57人が14日、国と製薬会社2社に総額約8億5500万円の損害賠償を求める集団訴訟を東京、名古屋、大阪、福岡の4地裁に起こした。7月に続く2次提訴で、原告は4地裁で計119人になった。原告が問題としているワクチンは、グラクソ・スミスクライン(GSK)社の「サーバリックス」とMSD社の「ガーダシル」。日本より先に承認された海外で、死亡例などの副作用が報告されていたと指摘。国は被害を予見できたのに安全性を調査せず承認し、接種を推奨した責任があると訴えている。東京地裁への提訴後、都内で会見した千葉県の通信制高校2年の女性(17)は「ワクチン1本でどうしてこんなにボロボロな体になってしまったんだろう」と訴えた。中学1年の時に3回接種。3回目の1週間後に頭痛が襲った。中2で腹痛に悩まされ、痛みは手足や背中にも広がった。ピアノが大好きだったが、記憶障害で曲が覚えられなくなり、希望校への進学も諦めたという。>
 
予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075)の資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000137719.html)に出ているように様々なワクチンで副反応が報告されていることは認識する必要がある。HPVワクチン(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/)については、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=284075)や「HPV ワクチン副反応被害判定調査会」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000117420.pdf)での議論に注目したい。全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会(http://hpvv-danger.jp/)による提訴(http://hpvv-danger.jp/archives/987)の行方も注目される。ところで、「がん検診のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の資料「全国健康保険協会におけるがん検診について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000127256.pdf)p8「がん検診の受診率(被保険者)」では、26年度の子宮頸がん検診16.0%に留まっている。がん検診は労働安全衛生法に義務付けられていないため、実施されていない事業所が多い。この際、勤務世代での罹患率が高い、子宮頸がんについて、女性勤務者のがん検診を優先的に推進できないものであろうか。資料「平成27年度市区町村におけるがん検診の実施状況調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112904.pdf)p14で「子宮頸がん検診 平均単価6,752円」とある。一方で、このホームページ(http://www.takedahp.or.jp/publicity/items/%E4%BA%88%E9%98%B2%E6%8E%A5%E7%A8%AE%E6%96%99%E9%87%91%E8%A1%A8_H25(177KB).pdf)では「HPVワクチン3回 \47,250」とある。予算的な面を考慮してもHPVワクチンよりも子宮頸がん検診の方が施策として推進しやすいであろう。そもそもHPVワクチンを接種してもすべての子宮頸がんを予防できるわけではない(http://www.know-vpd.jp/children/va_c_cancer.htm)。「HPVには100種類以上の種類があり、そのうち16・18型のHPVが、子宮頸癌の約60~70%に関係している」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%88%E3%83%91%E3%83%94%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3)とある。つまり、HPVワクチンを接種しても子宮頸がん検診は必要である。例えば、子宮頸がん検診に従事する産婦人科医の負担を少しでも軽減するために、特定行為に係る看護師の研修制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000077077.html)を踏まえて、看護職が子宮頸がん検診(検体採取)にも従事できるようにすべきと感じる。以前の看護業務実態調査結果概要(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000sk2r-att/2r9852000000sk5k.pdf)では、子宮頸がん検診(検体採取)について、医師回答では「看護師が実施可能」の割合が高い結果が出され、平成23年9月29日の子宮頸がん検診セミナーで、「専門看護師による細胞採取の実施」が提案(保健衛生ニュース平成23年10月24日号)されていたことについて、行政施策として前向きに考慮すべきであろう。女性による検体採取が普及し、かつ、がん検診単価も引下げられる。全国各地で不足しているといわれる産婦人科医の負担も軽減できるではないか。政府の規制改革(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/)では議論されないのであろうか。女性の社会進出や規制改革を強調する有識者や政治家の方々には格好のテーマと感じるのであるが...。
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HACCPの義務化と保健所

2016年12月16日 | Weblog
朝日新聞「食品衛生管理の国際基準、全事業者に義務化 厚労省方針」(http://www.asahi.com/articles/ASJDG4CLCJDGULBJ00D.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<日本の食品の安全性を高めて輸出を後押ししようと、厚生労働省は14日、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の導入をすべての食品事業者に義務づける方針を決めた。ただ、対応が難しい中小事業者は基準の一部を簡略化することを認める。2018年にも食品衛生法など関連法の改正案を提出する方針だ。厚労省が同日に開かれた有識者会議に義務化を盛り込んだ最終とりまとめ案を示し、大筋で了承された。HACCPは、食品の製造工程で食中毒や異物の混入などの危害をあらかじめ予測し、継続的に監視、記録する方法。1993年に国際機関が統一基準を示し、欧米などを中心に義務化が進んでいる。日本では食品販売額100億円以上の大規模事業者の約9割が導入済みだが、50億円以下の中小事業者では導入率が約35%にとどまっている。義務化の対象は、食品の製造・加工、調理、販売などすべての事業者。飲食店やスーパーなど、計約350万施設に上る。指導に従わないなど悪質な場合は、営業停止などの処分を科す。ただ、中小事業者は、費用や人員確保の負担への配慮から、食品の保存温度を日誌で記録するだけですむよう簡略化するなど、一部の要件を緩和する。>
 
食品衛生管理の国際標準化に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syokuhin.html?tid=336117)の最終とりまとめ案(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000145933.pdf)には目を通しておきたい。農林水産省「食品等に係る諸外国への輸出に関する証明書発行」(http://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/)専用ページが出ているが、監視指導を行っている衛生部局との連携・協力が必要と感じる。わが国の食品衛生のレベルが国際的にどのように認識されているか、気になるところかもしれない。保健所職員は最終とりまとめ案(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000145933.pdf)p14「HACCPによる衛生管理については、一般衛生管理とともに食品等事業者が遵守しなければならない衛生管理の基準として位置付け、監視指導を行うこととすることが適当である。地方自治体の食品衛生監視員は、営業許可手続、立入検査等の様々な機会を通じて、衛生管理計画の作成の指導・助言を行うほか、その内容の有効性や実施状況等を検証することとすることが適当である。」は理解したい。
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赤字病院増加-

2016年12月16日 | Weblog
キャリアブレイン「今年度の医業収支で赤字病院が増加- 全日病調査、全体では0.2ポイント改善」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50202.html)。<以下引用>
<全日本病院協会(全日病)の「医療保険・診療報酬委員会」がまとめた今年度の病院経営調査報告によると、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支率が100%未満となる赤字病院が増加し、39%の病院が赤字だった。一方で、同収支率が上昇する病院もあり、全体の医業収支率は100%と前年度より0.2ポイント改善した。同調査は、全日病が全会員病院2478病院を対象に5月の時点で実施したもので、有効回答数は988件。回答病院の内訳は、経営主体別で医療法人が81.9%、病床規模別では100-199床が最も多く37.1%を占めた。また、DPC対象病院は31.8%。医業収支で、赤字病院の割合が39%となり、前年度より2ポイント上昇した。医業収支のほかに医業外収支なども含めて算出する総収支率が100%未満の赤字の病院も38%と前年度比2ポイント増加し、苦戦する病院が増えていることが分かった。その一方、医業収支率が115%を超える病院は14.5%の143病院と前年度より17病院増加。総収支率でも同様に15.5%の153病院と23病院増えた。このため、全体の医業収支率が1993年の調査開始以来、初めて100%を割り込んだ昨年度から100%に改善したほか、総収支率でも100.3%と0.1ポイントの改善が見られた。こうしたことから、同調査報告では「経営状態が良い病院と悪い病院がはっきり分かれてきた」と現状分析している。地域別で赤字病院の割合を見ると、東京が45%と7ポイント改善したが、指定都市では40%と6ポイント悪化し、明暗が分かれた。また、病床規模別で見ると、最も医業収支率が高いのは昨年度に続いて100-199床で、101.8%と0.3ポイント上昇した。最も低いのは500床以上の病院で、これも昨年度と同じ傾向が続いている。ただ、500床以上では1.3ポイント改善して98%となった。DPC対象病院の医業収支率は、98.9%と1.4ポイント改善した。昨年度から7対1入院基本料の病床区分を変更していない病院は医業収支率が98.4%と100%を下回っているが、7対1から10対1に変更した病院は78.2%とさらに厳しい結果となった。10対1から7対1に入院基本料を上げた病院でも93%と低迷していることから同報告では、一概に上位入院料区分への移行が良い結果を生んでいるとは言えないと指摘している。今回の調査は2016年度診療報酬改定直後の5月時点のもので、「重症度、医療・看護必要度」の項目など10月の経過措置期間終了後には新設の基準をクリアする必要に迫られるため、入院基本料の変更の可能性も出てくる。同報告は「大きな収益構造の変化を伴うため、次回の調査結果を注意深く見ていく必要がある」としている。>
 
メディウォッチ「病院の経営改革ファーストステップ、たった4つの要点―入門講座2016~17(1)」()。<以下一部引用>
<例えば、(1)の「課題をつかむ」ためには、院内全体の状況を把握することが必要です。それを実現するには、病院ダッシュボードの「俯瞰マップ」活用が最適で、自院の全体像が瞬時に把握できます。病院ダッシュボードでは、「平均在院日数」「DPCの期間II超割合」「対出来高増減収率」「医療資源」「1日単価」「1日手技単価」「手術症例割合」「手術単価」「緊急入院率」の9つを最重要指標に位置づけ、自院と全国平均とをレーダーチャートを用いて比較することができます。ここからまず、「自院の強み」を把握するとともに、「課題」や「改善点」を探るというわけです。(中略)そのほか、厚生労働省が毎年公開している退院患者調査データを基にした「マーケット分析」を解説。地域の状況を踏まえた「SWOT分析」(強み=Strengths、弱み=Weaknesses、機会=Opportunities、脅威=Threatsの4つの観点から分析するビジネスフレームワーク)の手順などについても紹介し、自院の集患や地域連携の戦略立案を進めるイメージを示しました。>
 
医療法に基づく医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/teikyouseido/dl/youryou.pdf)では、医療機関の病床種別の許可病床数、前年度1日平均患者数(入院、外来)、平均在院日数が出ていることは常識としたい。厚労省「DPC導入の影響評価に関する調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)、医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)、医療機関届出情報(地方厚生局)検索(http://caremap.jp/cities/search/facility)等をみれば、ある程度、病院の実績がわかるであろう。病院の経営は「診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)の影響を強く受けるのはいうまでもない。最近では、基本診療料「(栄養チ)栄養サポートチーム加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a233-2.html)、「(呼吸チ)呼吸ケアチーム加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a242.html)、「(精リエ)精神科リエゾンチーム加算」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_1_2_2/a230-4.html)、特掲診療料「(糖防管)糖尿病透析予防指導管理料」(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)など、チーム医療の算定も増えており、病院職員全体で、病院経営を認識する必要がある。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)と並行する「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)は今年度までの策定であるが、病院全体の取り組みとなっているであろうか。
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日没後のドクターヘリの行方

2016年12月16日 | Weblog
キャリアブレイン「24時間対応のドクヘリ導入を- 東京都医師会が小池知事に要望書」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50204.html)。<以下引用>
<東京都医師会は、24時間対応が可能なドクターヘリシステムの導入などを求める要望書を小池百合子都知事に提出した。ドクターヘリは39道府県で運用されているが、いずれも日中の運用に限定されている。都医師会は、都が24時間体制の運用を決めた場合、全国初の事例になると期待している。要望書では、救急患者の治療向上に大きく寄与しているドクターヘリのシステムが東京都では導入されていないことを指摘。都内には人口密集地域だけでなく、奥多摩などの山岳地域や島しょ地域もあるため、「ドクターヘリの導入で、より質の高い救急医療を提供することが可能となる」としている。ドクターヘリを導入した道府県では、日没後の飛行には暗視装置などの特殊機材やパイロットの飛行訓練が必要となるため、夜間運用の導入に二の足を踏んでいるのが実情だ。都医師会は要望書で、夜間飛行が可能な都の防災ヘリの活用を提案している。具体的には、都内の救命救急センターで勤務経験のある救急医や看護師による輪番制を導入することで、24時間体制のシステムを構築できると説明。夜間にドクターヘリが機能していない近隣の県に対し、質の高い救急医療体制を提供することにも「大きく寄与する」としている。このほか、東京オリンピック・パラリンピックに向けて救急医療体制を拡充することも要望。オリンピック開催時には都内の人口が一時的に急増することを考慮し、競技場向けに救急車を新たに配備する必要性を挙げている。オリンピック終了後は、この救急車を都内の二次救急病院に払い下げ、災害時に発生が見込まれる負傷者の搬送や、医療機関間の転院搬送などに活用することを求めている。>
 
夜が長い冬期はドクターヘリ(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%98%E3%83%AA)にはつらいかもしれない。
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警戒したい鳥インフルエンザ

2016年12月16日 | Weblog
NHK「熊本の養鶏場でも鳥インフルか 簡易検査で陽性反応」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161226/k10010820881000.html?utm_int=news_contents_news-main_006)。<以下引用>
<熊本県南関町の養鶏場で26日、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、熊本県が簡易検査を行った結果、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。県は詳しい検査を行うとともに、半径10キロ以内にある養鶏場に対し、ニワトリや卵などの移動を自粛するよう要請しました。熊本県によりますと、26日午後4時40分ごろ、南関町にある養鶏場から「ニワトリが相次いで死んだ」と連絡がありました。県が調べたところ、およそ50羽が1か所に固まって死んでいて、簡易検査の結果、5羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たということです。県は26日夜に対策会議を開いて対応を協議し、この養鶏場と、半径10キロ以内にある25の養鶏場に対し、ニワトリや卵などの移動を自粛するよう要請しました。県は詳しい検査を行っていて、高病原性のウイルスと判断されれば、この養鶏場で飼育されているおよそ10万羽のニワトリを処分することにしています。熊本県の蒲島知事は対策会議で、「迅速な初動対応、ウイルスの厳重な封じ込め、それに監視体制の強化、そして風評被害防止対策を実行してほしい」と述べました。>

東京新聞「韓国の鳥インフル、過去最悪に 感染拡大」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016121601001287.html)。<以下引用>
<韓国で感染が拡大しているH5N6型の高病原性鳥インフルエンザウイルスを巡り、金在水農林畜産食品相は16日、既に殺処分したか処分予定の鶏やアヒルが1600万羽に達して過去最悪の被害になったと明らかにし、対応レベルを最高の「深刻」に引き上げたと発表した。韓国では鳥インフルエンザウイルスへの感染で2014年に約1400万羽を処分する被害が起きたが、今回はそれを上回った。終息の気配はなく、さらに広がる懸念が出ている。>
 
宮崎県(http://www.pref.miyazaki.lg.jp/shinsei-kachikuboeki/shigoto/chikusangyo/20161219211521.html)、北海道(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/tss/kachikueisei/aviflu.htm)、新潟県(http://www.pref.niigata.lg.jp/kikitaisaku/2016toriinflu.html)のようなことが国内のどこで発生しても不思議はない。環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)、農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)、官邸「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/)の資料はチェックしておく必要がある。国立環境研究所が「国立環境研究所における高病原性鳥インフルエンザウイルスの全国調査」(https://www.nies.go.jp/kanko/news/34/34-4/34-4-05.html)、「日本における鳥インフルエンザウイルスの侵入リスクマップ」(https://www.nies.go.jp/whatsnew/2012/20121115/20121115.html)を発表しており、警戒は怠れない(特に侵入リスクが高い地域)。農林水産省「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/150909_hpai_guide.pdf)p33~にある、患畜又は疑似患畜は、病性の判定後「24時間以内に」と殺完了、「72時間以内に」焼却又は埋却の規定について、各自治体で円滑に対応できるかどうか、至急検証が必要である。以前の厚労省事務連絡(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/pdf/140418-01.pdf)では、「今回確認された鳥インフルエンザ(H5N8)が発生した場合においても、引き続き、「国内の鳥類における鳥インフルエンザ(H5N1)発生時の調査等について」(平成18年12月27 日付け健感発第1227003 号)及び「鳥インフルエンザ(H5N1)に係る積極的疫学調査の実施等について」(平成18年11月22日付け健感発第1122001 号)に基づく対応をお願いします。」とあるが、農場関係者や防疫作業従事者に対する問診、作業除外基準、感染防御、作業管理、予防投薬、経過観察体制等はどうなっているであろうか。以前の「鳥インフルエンザA(H5N1)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/)、「鳥インフルエンザA(H7N9)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html)の経験も活かしたい。A(H5N1)とA(H7N9)は感染症法二類感染症であるが、それ以外の鳥インフルエンザ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-21.html)は四類感染症であり、今回のH5N6によるヒト感染がないか、警戒が必要であろう。通常インフルエンザの流行時期と重なって少々厄介かもしれないが、疑われる鳥との接触歴などがあるインフルエンザケースでは、検体検査体制構築が必要と感じる。
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