保健福祉の現場から

感じるままに

医療費適正化の行方

2014年07月14日 | Weblog
財経新聞「“念のため受診”や“はしご受診”を防げ 厚労省で議論始まる」(http://www.zaikei.co.jp/article/20140713/204010.html)。<以下引用>
<“念のため受診”や“はしご受診”を防止するために、紹介状がない患者が大病院を受診する際の初診料・再診料を設定するための議論が厚生労働省で始まった。軽症患者が不必要に大病院を受診することで、無駄な医療費がかさみ国民の税負担がますます増えたり、医師の負担が増加することで日本の医療システムそのものが崩壊の危機にさらされることを回避することが目的だ。日本では医療のフリーアクセスが重視されており、患者は自分の意志で受診する病院を選ぶことができる。しかし本来ならば、体調不良を感じたなら、まずは自分の日頃の体調を知ってくれている“かかりつけ医“を受診し、その上で、かかりつけ医が必要と判断したならば、紹介状を書いてもらい、大病院を受診するのが効率的だ。紹介状をもらうことで同じ検査をする手間を省いたり、必要がないのに大病院を受診して、何時間も待合室で待ちぼうけということもなくなるだろう。現在でも200床以上の大病院を紹介状なしに受診する場合、病院が独自に追加の初診料や再診料を設定し、患者に請求することは可能だ。しかしこの仕組みを活用して患者から初診料の追加負担を徴収している病院は1204施設に留まり、200床以上の病院数からみれば半数弱に過ぎない。患者からすれば、近隣のクリニックを受診するのも少し足をのばして大病院を受診するのも、費用面からみて大差ないため、安易な“念のため受診”や“はしご受診”が増加する。東京都が2012年に行った調査によれば、紹介状がなく同じ症状で複数の医療機関にかかったことのある、いわゆる“はしご受診”の経験者は27%、経験したことがないがしようと思った人(4%)も含めると、3割が自身の判断ではしご受診している。その理由は、「症状が改善しない、または治らなかった」が最多で56%だが、「念のため、他の医療機関も受診した」30.7%、「診断や治療に納得いかなかった」29.7%と、念のため受診も多いことがわかる。例えば風邪や肩こり、腰痛といった軽微な症状で安易に大病院を受診する人が増えることは、大きな弊害につながる。今年5月には九州大学の飯原弘二氏らの研究チームが脳卒中専門医の4割が長時間労働などによって“燃え尽き症候群“となっており、深刻な医療事故につながる危険があることを警告しているが、勤務医の過労問題は日本の大病院のどの診療科でも同様だ。大病院に軽症患者が集中すれば、本当に重症な患者が必要な治療を受けられない可能性が出てくる。そもそも医師の疲弊が度を超えれば、日本の医療そのものが危うくすらなりうる。軽症者の大病院受診、不要な救急車のコール、安易な休日夜間の受診――これらはすべて、我が国の医療制度を崩壊の危機に誘い込む。救急車は別として、夜間の受診は国の定めによって上乗せ料金が発生していることを、患者は知っているのだろうか。今回の議論で初診料が設定されることになったなら、まずはそのことを十分に患者に周知することが重要だろう。>

医療保険制度改革スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000044082.pdf)では「大病院外来定額自己負担」が項目にあがっており、朝日新聞「紹介状なしの大病院受診、初診料を患者の全額負担案」(http://apital.asahi.com/article/news/2014050900004.html)と報道されている。社会保障審議会医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi126706)の動向が注目である。平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000037464.pdf)p49~「紹介率・逆紹介率の低い(紹介率40%未満かつ逆紹介率30%未満)500床以上の病院における初診料・外来診療料・処方料の適正化」の新設、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039891.pdf)のp51~「主治医機能の評価」(糖尿病、高血圧症、脂質異常症、認知症の4疾病のうち2つ以上を有する患者が対象)など、既に動きが始まっているといえる。専門病院中心から、「かかりつけ医中心&かかりつけ医・専門医の医療連携&地域全体でのチーム医療&個人参加型疾病管理」への構造転換を図るには、医療計画、医療費適正化計画、健康増進計画の一体的推進が不可欠と感じる。診療報酬改定だけでは限界を感じる。「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036854.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036855.pdf)、「国保データベース(KDB)システム」(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)、「地域包括ケア見える化システム」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)は、医療計画、医療費適正化計画、健康増進計画の一体的推進の重要な分析ツールになるであろう。平成26年6月24日閣議決定の「規制改革実施計画」(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/publication/140624/item1-1.pdf)p11では、「【医療計画、介護保険事業支援計画及び医療費適正化計画の連携】;都道府県が、医療・介護を含めた総合的な取組を行うことが可能となるよう、医療計画、介護保険事業支援計画及び医療費適正化計画の見直し時期を一致させるとともに、相互の関係性をより明確にすることを検討し、結論を得る。⇒次期医療保険制度改正において検討・結論」とあるが、データヘルス計画や健康増進計画も絡めたい。国立循環器病研究センター「冠動脈疾患を予測する新しいリスクスコアの開発」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/006484.html)や国立がん研究センター「10年間で脳卒中を発症する確率について -リスク因子による個人の脳卒中発症の予測システム-」(http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3284.html)にあるように、高血圧、糖尿病、脂質異常の予防・コントロールの重要性を再認識すべきである。また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/11/dl/byoin.pdf)p34病院の都道府県別にみた人口10万対1日平均外来患者数、p36病院の都道府県別にみた人口10万対1日平均在院患者数、p39病院の都道府県別にみた平均在院日数、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2.pdf)p12~都道府県別の推計平均在院日数、推計1入院当たり医療費、p15で都道府県別後発医薬品割合等の推移が示され、資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-2.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/h240806_4-2-3.pdf)では、都道府県別の市町村国保と後期高齢者医療の実態に関する詳細なデータが順位付で公表されているように、医療提供実態の都道府県格差は大きく、こうした実態が地元マスコミでも積極的に情報公開される必要があるように感じる。
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第6期介護保険事業計画と地域包括ケアシステム

2014年07月14日 | Weblog
地域包括ケアシステム(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)に関して、介護予防の推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi191066)の4月25日会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000044838.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000044833.pdf)のp29に新しい地域支援事業の全体像が出ているが、p8~9「在宅医療・介護の連携推進」、p10~11「認知症施策の推進」、p12「地域ケア会議」、p15~p18「生活支援サービスの充実」、p22・p26~37「新しい介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」が平成27年度から介護保険地域支援事業で実施される予定である。今年度策定の各保険者「第6期介護保険事業計画」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000038295.html)において、地域支援事業がどのような記載になるか、注目である。しかし、既に様々な事業に取り組んでいる自治体や今年度から取り組む自治体も少なくない。例えば、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/01/dl/tp0120-09-09d.pdf)p124にあるように、「認知症初期集中支援推進事業、認知症地域支援推進員等設置事業、認知症ケア向上推進事業」について、今年度は地域支援事業(任意事業)での国庫補助となり、それぞれ100ヵ所、470ヵ所、470ヵ所での実施が見込まれるとともに、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000044833.pdf)p19にあるように、「生活支援サービス・介護予防の基盤整備(コーディネーターの配置)」も同様に300市町村での実施が想定されている。特に、認知症初期集中支援チーム(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/dl/gainenzu.pdf)については、6月23日の認知症初期集中支援推進事業実施市町村・都道府県担当者会議において、「今年6月20日時点での実施状況は、地域支援事業44市区町村、地域支援事業以外64市区町村で全体108市区町村で実施」(保健衛生ニュース7月7日号)とされている。「国が~」「県が~」というだけではなく、市町村において、前向きに取り組みたいものである。しかし、国家的プロジェクトともいうべき地域包括ケアシステムの推進について、市町村主体というだけで、果たして大丈夫なのであろうか。国立長寿医療研究センター「在宅医療・介護連携のための市町村ハンドブック」(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/handbook/handbook2013.pdf)が出ているのであるが、①日本看護協会「地域包括支援センター及び市区町村主管部門における保健師活動実態調査報告書」(http://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/senkuteki/2014/25-chiikisien.pdf)、②東京大学「在宅医療・介護連携の体制構築に関するアンケート調査 報告書」(http://chcm.umin.jp/education/ipw/enquete/140521iryokaigo_report.pdf)、③厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxhm-att/2r9852000001oxlr.pdf)p17~19の「地域包括ケアに関する保険者の評価項目」をみる限りでは、現状のままではかなり覚束ない。けあZin「鈍すぎ?地域包括ケアシステム構築へ向かう市町村の動き」(http://www.caretomo.com/carezine/article/17/84/)の懸念を感じる方が少なくないであろう。第一、平成26年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032996.html)の概要資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000039378.pdf)p9~10で示されるように、急性期・回復期を含む在宅医療・介護連携であって「在宅医療・介護連携=慢性期」ではない。また、認知症疾患医療センター(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20120220_01_05-04.pdf)、がん診療連携拠点病院・緩和ケアセンター(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_byoin.html)、リハビリテーション広域支援センター等は市町村単位で整備されている施設ではない。一口に「市町村」といってもピンキリであり、市町村合併を叫ぶだけではいけない。やはり、地域においては、市町村と保健所の連携・協働による地域包括ケアシステムを進めなければならない。医事・薬事業務を実施し、医師・歯科医師・薬剤師等の専門職が配置されている保健所の存在を考慮すべきである。市町村内で完結しない広域的な調整の役割もある。保健師助産師看護師法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kangofu.htm)第三十六条の「保健所長による管内保健師に対する指示」には医療介護連携・地域包括ケアシステムの推進も盛り込みたいところかもしれない。医師である保健所長が保健師活動をバックアップするのは当然で、例えば、医師会長、病院長等への働きかけを保健所長が率先して行えば、地域における保健師活動が円滑に進むことであろう。全国保健所長会から「在宅医療・地域包括ケアシステムの推進に関する見解」(http://www.phcd.jp/02/soukai/pdf/iinkai_chihokenjyu_H25_tmp01.pdf)(http://www.phcd.jp/02/soukai/pdf/iinkai_chihokenjyu_H25_tmp02.pdf)が出ているのでみておきたい。関係者は「介護予防の推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi191066)、「在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi190816)、「都道府県・指定都市認知症施策担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi145203)、「地域ケア会議推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi156712)、「地域ケア会議運営に係る実務者研修」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi186990)、「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000am0d.html#shingi129155)の資料に一通り目を通しておく必要がある。また、医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=141464&name=2r98520000036flz.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036854.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036855.pdf)、保険局「国保データベース(KDB)システム」(http://www.kokuho.or.jp/hoken/public/lib/kdb_manual_ver.1.1.pdf)、老健局「地域包括ケア見える化システム」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/sankou5_1.pdf)は、医療計画、介護保険事業計画、医療費適正化計画、健康増進計画の一体的推進の重要な分析ツールになるであろう。市町村と保健所の連携・協働による「Integration」が求められている。
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