保健福祉の現場から

感じるままに

少子化と社会の不健康化

2013年05月01日 | Weblog
平成24年版労働経済白書(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002jnnj.html)によると、平成23年の非正規雇用者比率は35.1%までになり、世帯年収は低い層に分布がシフトしているとされていたが、21世紀出生児縦断調査及び21世紀成年者縦断調査特別報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/162-1.html)概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/tokubetsu13/dl/02.pdf)p3「就業形態が無職、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託では、正規雇用の者に比べ、男女とも結婚を「絶対したい」と思う者が少ない」、p4「学卒直後の就業形態が無職だった場合、正規雇用の者に比べ男女とも20-29 歳では結婚が起きにくい」、「男女とも、収入が高くなるほど結婚しやすい、特に男性の30 歳以上で顕著」、p5「妻の就業形態がパート・アルバイトや派遣社員・契約社員・嘱託では、正規雇用の者に比べ、第1子出生が起きにくい」の結果が注目される。大手経営者からは「年収100万円も仕方ない」(http://www.asahi.com/business/update/0423/TKY201304220465.html)と提唱されるが、それでは少子化が一層進むのは間違いない。「社会保障制度改革国民会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/)では少子化対策(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai2/siryou6.pdf)も検討課題の一つのはずであるが、どれほど議論されているであろうか。平成23年人口動態統計確定数(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei11/index.html)概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei11/dl/02_kekka.pdf)によると、婚姻件数は66万1895組で、前年の70万214組より3万8319組減少、出生数は105万806人で、前年の107万1304人より2万498人減少、である。しかし、懸念されるのは少子化の進行だけではないであろう。WHOのオタワ憲章(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BF%E3%83%AF%E6%86%B2%E7%AB%A0)では、健康の前提条件として、①平和、②住居、③教育、④食糧、⑤収入、⑥安定した環境、⑦持続可能な資源、⑧社会的公正と公平が挙げられ、その後、健康の前提条件は「健康の社会的決定要因」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E3%81%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E8%A6%81%E5%9B%A0)として整理されている。所得は健康の重要な要因の一つである。以前、「非正規雇用で生活保護20兆円-シンクタンク試算」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15814.html)と出ているように、非正規雇用の増加は、将来の生活保護の増加として、跳ね返ってくる。まさに社会全体の不健康化といえるかもしれない。
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H7N9の指定感染症

2013年05月01日 | Weblog
24日の感染症部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030jzo.html)で、H7N9は、H5N1に近い指定感染症、検疫感染症になることが了承された(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030jzo-att/2r98520000030k4z.pdf)が、関連の政省令が出た(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html)(http://kanpou.npb.go.jp/20130426/20130426t00012/20130426t000120000f.html)。通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/dl/2013_0426_01.pdf)では、一年間の期限付きである。新型インフルエンザ等対策特別措置法(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/120511houritu.html)による「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(案)に対する意見募集(http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130418&Mode=0)の締切は5月17日である。まだ、持続的なヒト-ヒト感染はみられないようであるが、今後、行動計画対象にならないとも限らない。過去のパンデミックでは、スペインかぜでは7月から翌年の1月まで、アジアかぜでは7月から翌年の2月まで、香港かぜでは5月から12月にかけての流行(http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s1024-3.html)である。Pandemic (H1N1) 2009(http://www.who.int/csr/disease/swineflu/en/index.html)では、2009年春頃から2010年3月にかけての流行である(http://ja.wikipedia.org/wiki/H1N1pdm2009)ことは認識しておきたい。特別措置法(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002jjhx-att/2r9852000002jjzm.pdf)第8条の市町村行動計画には住民に対する予防接種が示されるが、集団的接種の接種会場(中間とりまとめでは人口1万人に1か所程度;保健所・保健センター、学校等の公的施設、医療機関)、接種スタッフを含めて具体的に計画し、周知しておかなければならないであろう。
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認知症初期集中支援チームの行方

2013年05月01日 | Weblog
シルバー新報「認知症 半年目安に訪問支援 初期支援チームの要件提示」(http://www.silver-news.com/ps/qn/guest/news/showbody.cgi?CCODE=12&NCODE=2223)。<以下引用>
<今年度、全国10カ所で行う「認知症初期集中支援チーム」のモデル事業について、国はこのほど、家庭を訪問するチームの要件や事業スキームを明らかにした。初回訪問の後、専門医療機関受診や介護保険サービスの必要性などを検討する「チーム員会議」を経て、最長6カ月の集中支援を行うという流れだ。家庭訪問は、医療系職員と介護系職員各1人以上で訪問する。>

今年度予算の認知症初期集中支援チームの設置(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-11-19d.pdf)について、概念図(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002fv2e-att/2r9852000002fv8g.pdf)は理解しておきたい。大半のチームは地域包括支援センターに設置されるであろう。一昨年度までに各市町村で実施された「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/niizucyousa.pdf)や例年の生活機能チェック(http://www.tyojyu.or.jp/hp/menu000001000/hpg000000954.htm)をみれば、介護保険を利用していない一般高齢者でも認知症リスクを有する方が非常に多い。どの段階でどのようにチームが実際にかかわっていくのか、注目である。しっかり機能すれば、認知症での精神科病院への入院は減少するであろう。さて、新たな医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)では精神疾患の医療体制が位置づけられたが、その中で認知症に関して、①認知症の進行予防、②専門医療機関へのアクセス、③地域生活維持、④BPSDや身体疾患等が悪化した場合に分け、それぞれの目標、医療機関に求められる事項等が作成(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-3.pdf)された。今後、医療計画に認知症初期集中支援チームが位置付けられるかもしれない。しかし、最長6カ月の集中支援の後はどうなるのであろうか。
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地域包括ケア計画を推進するための二次医療圏地域医療計画

2013年05月01日 | Weblog
26日の社会保障審議会介護保険部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030swa.html)には目を通しておきたい。社会保障制度改革国民会議における議論の整理(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000030swa-att/2r98520000030t1d.pdf)p3では「医療、介護、看取りまで継ぎ目のない地域医療・包括ケアを目標として各地域の医療・介護需要ピーク時までの地域医療・包括ケアビジョンを作成すべき。その際、地域医療ビジョンは、平成30年度とは言わず前倒しで作成。そのビジョンの実現に向けて、都道府県は地域医療計画を、市町村は地域包括ケア計画を、一定年間隔で策定すべき。それに沿った医療機能の分化・連携を促すための基金を創設(財源として消費税増収を活用)し、診療報酬や介護報酬による利益誘導ではなく、まずは補助金的手法で誘導すべき。医療機能の分化・連携が進んだ後、補助金的手法にあてていた消費税増収分を、順次医療機能ごとの診療報酬重点配分に移行していくべき。」、「地域包括ケア計画は、市町村が主体となって、地域の高齢化ピーク時までの計画を策定し、介護だけでなく、在宅医療、住まい、生活支援、予防を位置づけるべき。」、「医療計画の策定者である都道府県を国保の保険者とする、さらには医療計画の策定者である都道府県に保険医療機関の指定・取消権限を与えるほか、その実効性を高めるための諸施策を講じることとし、これらの方向性を医療法改正で明示すべき。」とある。現状では、地域包括ケア計画という行政計画はない。介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画、障害福祉計画、地域福祉計画を包括したものがイメージ的に近いが、医療が加わるとすれば、医療計画との連動が必要となる。平成30年度には、医療計画、介護保険事業計画、診療報酬改定、介護報酬改定が揃う。今後、市町村に介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画、障害福祉計画、地域福祉計画を包括した「地域包括ケア計画」の策定を進めるのであれば、二次医療圏での地域医療計画との連動が不可欠と感じる。地域包括ケア計画を推進するための二次医療圏地域医療計画である。その事務局は保健所が担うことになる。保健所には、①医事・薬事業務を行っている、②医師、薬剤師がいる、③医療計画を所管しているなど、市町村にはない特性がある。何よりも、医師である保健所長が、地元の医師会長、病院長、歯科医師会長、薬剤師会長等とコミュニケーションをとりやすい立場にあることは最大の強みといえるであろう。また、保健所保健師による病院地域連携室や地域包括支援センター等との看護職同士のコミュニケーション力も大きい。「医療計画の策定者である都道府県に保険医療機関の指定・取消権限」の事務は、保健所が行っている医療機関の立入検査との連携が想定される。しかし、厚労省「地域ケア会議」に関するQ&A(http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/SVOL/SVOL_315.pdf)(http://www.pref.mie.lg.jp/CHOJUS/HP/kaisei/SVOL/SVOL_315-2.pdf)では一切「保健所」が出ていない。平成23年度在宅医療連携拠点事業総括(http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/pdf/20120912_soukatsu.pdf)や厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/dl/130304_03.pdf)による「在宅医療推進事業」でも、「保健所」は出てこない。地域包括ケアが我が国にとって喫緊の課題になっている中で、あらゆる施策を総動員するというのであれば、この際、保健所の強みを活かすべきではないか、と思うのである。
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