先日、所内担当保健師とともに、管内某病院のリハビリ関係の会合に出席した際、出席者から「市内完結型医療を目指してほしい」との要望があった。確かにこの市では、介護施設と連携して在宅医療にかなり熱心に取り組まれている。しかし、急性期医療は、市外の病院受診者が多い。この市のように、同一市内で急性期(救急)~維持期(生活期)の医療機関や介護施設が揃わない場合が少なくない。また、医療機関や介護施設の経営母体が異なる場合が大半であり、広域的で中立公正な調整が必要になってくる。さて、厚生局ホームページ(http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shitei.html)(http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/gyomu/gyomu/hoken_kikan/documents/ryakusho_ichiran.pdf)の診療報酬施設基準届出をみると、今度の管内では地域連携診療計画管理料・地域連携診療計画退院時指導料を算定する医療機関がない。診療報酬通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/6-2-1.pdf)p17で「地域連携診療計画管理料、地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)及び(Ⅱ)に関する施設基準」の一つとして、「地域連携診療計画に係る情報交換のための会合が年3回程度定期的開催」が要件になっているが、管内2ヵ所の広域リハビリテーション支援センターは別々の会議運営である。保健所から、各病院長、医師会長、病院連携室、ケアマネ協議会等に働きかけた結果、ようやく、圏域の合同会合や研修の動きが出てきたところである。介護報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002113p-att/2r98520000021163.pdf)p36の地域連携診療計画情報提供加算もあり、介護関係者からも期待されているようである。そういえば、先般の地域保健対策検討会報告書(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000028ufa-att/2r98520000028uja.pdf)p25では、「医療連携体制の構築には、多くの医療機関等が関与するため、保健所には公平・公正な立場での調整が期待されるとともに、圏域において現状の把握・公表や介護・福祉などの他の領域との調整についても積極的に役割を果たす必要がある。」とし、具体的には、「脳卒中患者に対する急性期、回復期などの病院間のネットワーク構築に向けた研究会や地域連携パス運用を目指す研究会、在宅や介護を含むネットワーク連絡会の中心的役割を中核市保健所が担い、地域における脳卒中地域リハビリテーション体制を構築した事例」「医師会主導で進められていた在宅終末期医療に対する診診連携に関する連携パスの運用に関し、県型保健所が公平・公正な地域の調整役としてその普及や様々な施設や団体のシステムへの参画を促進する等の支援を行っている事例」とある。保健所(http://www.phcd.jp/HClist/HClist-top.html)によって取組方も様々かもしれないが、管内の実態を評価し、能動的・主体的・肯定的に、可能なところから、チームで取り組むことが重要と感じる。地域保健対策の推進に関する基本的な指針改正案要綱(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ddhl-att/2r9852000002ddw1.pdf)p2で、「保健所は、広域的な観点から管内の現状を踏まえた急性期、回復期、維持期における医療、介護等のサービスの連携体制の強化に努めることが必要であること。医療連携体制の構築には、多くの医療機関等が関連するため、保健所が積極的に関与し、地域医師会との連携や協力の下、公平・公正な立場から調整機能を発揮することが望まれること。保健所は、管内の健康課題等の把握、評価、分析及び公表を行い、市町村との圏域全体の情報共有化を進め、市町村との重層的な連携の下、取組を推進するとともに、介護及び福祉等の施策との調整についても積極的な役割を果たす必要があること。」とあり、在宅医療、医療介護連携における保健所の積極的な役割が期待されていることは認識したい。ところで、平成24年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p149~で、感染防止対策チームを持つ医療機関と300 床未満の医療機関との連携、及び感染防止対策チームを持つ医療機関同士が相互に感染防止対策に関する評価を行った場合や連携して院内感染対策に当たった場合の評価が行われ、感染防止対策加算の算定要件の一つに、「年4回以上、感染防止対策加算を算定する医療機関と合同の感染防止対策に関する取組を話し合うカンファレンスを開催していること。」がある。いろいろな分野で「広域的協働」が求められているといえるかもしれない。
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