保健福祉の現場から

感じるままに

TPPと医療問題 要注意?

2012年03月02日 | Weblog
NHK「米高官 TPPで圧力かけない」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120302/k10013434781000.html)。<以下引用>
<アメリカで、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を担当する通商代表部のカトラー代表補が、都内でNHKのインタビューに応じ、日本のTPPへの参加は日本がみずから決断すべき問題で、アメリカから圧力をかけるつもりはないと強調しました。TPPを巡っては、日本の交渉参加に向けた日米間の協議が、先月、2回にわたって行われた一方で、すでにTPPに参加している9か国の交渉が1日からオーストラリアで始まっています。日本を訪れているアメリカ通商代表部のカトラー代表補は、NHKとのインタビューで、アメリカが日本に対しTPP参加に向けて圧力をかけているという見方が日本国内で出ていることについて、「『外圧』をかける時代は終わっている。日本はパートナーである」と述べ、交渉への参加はあくまでも日本みずからが決定するべき問題で、アメリカ側から圧力をかけるつもりはないと強調しました。そのうえで、日本が交渉に参加する場合は、「アメリカが抱いている懸念に対し、具体的な解決策と政治的な意志があるのか確認する必要がある」と述べ、すべての品目を自由化交渉の対象とするための具体的な道筋を示すよう、日本に対し期待を表明しました。>

元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)。<以下引用>
TPP:要注意。1日時事「米のカトラー代表補は公的医療保険制度交渉の対象外と強調」、問題は米国の高額医療サービスが”不当に扱われた”として保険の対象を求め、結果として保険制度が崩壊する可能性。公的医療保険制度自体を残しても、医療をTPP対象から外さなければ意味なし。米国受理しない>

昨年10月に外務省が出した2011年米国通商代表(USTR)外国貿易障壁報告書;日本の貿易障壁言及部分(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/pdfs/tpp03_02.pdf)では、「厳格な規制によって,外国事業者を含む営利企業が包括的サービスを行う営利病院を提供する可能性等,医療サービス市場への外国アクセスが制限されている。」と明記されていたが、方針転換なのであろうか。日本政府「TPP交渉参加に向けた関係国との協議の結果(米国)」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20120208_tppkyougikeka.pdf)p4では、「公的医療保険制度を廃止し,私的な医療保険制度に移行する必要があるとの情報や,また,いわゆる単純労働者の移動を受け入れる必要があるとの情報も流れているが,米国が他のTPP交渉参加国にそのようなことを要求していることはない。」とされるが、2月7日に、外務省が米国政府が実施した日本のTPP交渉参加に関する意見募集結果を民主党プロジェクトチームに報告し、米国の製薬団体Pharma(米国研究製薬工業協会)は「日本がTPP交渉国となる場合は薬価算定ルールの改革、医薬品規制改革などが協議の対象とされるべき」とした上で日本の参加に賛成を表明した、と報道されている(医事新報2月11日号)。「薬価算定ルールの改革」は、日本の医療の公定価格である診療報酬に影響しないとはいえないであろう。先般の日本医師会医療政策会議報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)によると、第1段階日本の医療機器・医薬品価格規制の撤廃・緩和要求」、第2段階「医療特区(総合特区)での株式会社の病院経営の解禁と混合診療の原則解禁」、第3段階「全国レベルでの株式会社の病院経営解禁と混合診療の原則解禁」の3段階要求が予想されている。保険医団体連合会が「TPPと国民皆保険医療」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/120215tpp-iryou.pdf)を出しているので見ておきたい。そういえば、NEWSポストセプン「TPP推進論者の議論は“国民を欺く詐術ばかり”と藤原正彦氏」(http://www.news-postseven.com/archives/20120116_78426.html)の記事があった。与党国会議員団のustream「TPP記者会見」(http://www.ustream.tv/recorded/19797840)では「アメリカの通商代表部はTPPについて、『韓国とのFTAと同じか、それよりハイレベルのものを求める』とはっきり言っていた。」とされる。日本医師会報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)p23では、「医療の営利産業化は日米大企業の合作」とされており、「別に圧力をかけなくても...」ということなのであろうか。

【拡散希望】TPPを考える対話集会開催のご案内(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/62ab8356533b95ab8c7c9e080feabcac)。
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在宅医療介護の推進

2012年03月02日 | Weblog
キャリアブレイン「厚労省医政局長、在宅医療推進に改めて意欲- 全国担当者会議で」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36714.html)。<以下一部引用>
<大谷泰夫局長は、在宅医療の推進について「予算、診療報酬、地域医療計画など、行政の手法を総動員して取り組みを進める」と述べるなど、改めて強い意欲を示した。>

29日の「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008zaj.html#shingi3)で在宅医療の推進が強調されている。23日の全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000239zd.html)でも「在宅医療介護推進プロジェクト」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000239zd-att/2r98520000023anf.pdf)が出ているように、医療介護連携が不可欠であるのはいうまでもない。厚生労働部局長会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/tp0118-1.html)において、老健局長の「介護は市町村行政が主体となっているため、医療の中でも在宅医療に関しては市町村レベルの行政にならざるを得ない」の発言が報道されている(保健衛生ニュース1月30日号)が、厚労省の「在宅医療の体制構築に係る指針」の骨子(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yj85-att/2r9852000001yjdf.pdf)p7では、「保健所は、「地域保健法第4条第1項の規定に基づく地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年12月1日厚生省告示第374号)の規定に基づき、また、「医療計画の作成及び推進における保健所の役割について」(平成19年7月20日健総発第0720001号健康局総務課長通知)を参考に、医療連携の円滑な実施に向けて、地域医師会等関係団体と連携して医療機関相互の調整を行うなど、積極的な役割を果たすこと。」とされている。「市町村レベルの行政」であっても保健所の役割は決して小さくはない。在宅医療の体制案(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yj85-att/2r9852000001yjdu.pdf)をみればわかるように、在宅医療には、介護関係機関だけではなく、医療機関(病院、診療所)や薬局なども絡んでくる。「在宅医療の体制構築に係る指針」骨子(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001yj85-att/2r9852000001yjdf.pdf)では、「地域の実情に応じ、病院、診療所、訪問看護ステーション、地域医師会等関係団体、保健所、市町村等の主体が在宅医療の連携拠点となり、多職種協働による包括的かつ継続的な在宅医療の提供体制の構築を図り、下記のような機能を担う。①地域の医療・介護関係者による協議の場を定期的に開催し、在宅医療における連携上の課題の抽出及びその対応策の検討等を実施すること、②地域の医療・介護資源の機能等を把握し、地域包括支援センター等と連携しながら、退院時から看取りまでの医療・介護にまたがる様々な支援を包括的かつ継続的に提供するよう、関係機関との調整を行うこと、③質の高い在宅医療をより効率的に提供するため、24時間体制を構築するためのネットワーク化やチーム医療を提供するための情報共有の促進を図ること、④在宅医療に関する研修及び普及啓発を積極的に実施すること」とされている。在宅医療は、平成25年度からの医療計画での柱の一つであるが、介護や医療の所管部局だけではなく、がん対策・脳卒中対策・地域リハビリ対策・糖尿病対策等の所管部局、薬事関係所管部局(在宅麻薬、服薬指導、医療材料等)、障害福祉所管部局など、行政では組織横断的な対応がポイントのように感じる。そう考えると、地域においては、保健所の部局横断的な役割が期待されるのは当然かもしれない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001xhqa-att/2r9852000001xhrr.pdf)p30に出ている在宅医療の指標は把握されているであろうか。なお、診療報酬改定資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p47~の在宅医療の促進、p51~の在宅緩和ケア等の促進、p55~の在宅の療養に係る技術・機器等の評価、p58~の在宅医療に用いる機器の評価体系の見直し、p60~の看取りに至るまでの医療の充実、p77~の在宅薬剤管理指導業務の一層の推進、p80~の医療ニーズの高い患者への対応、p84~の介護保険の訪問看護との整合、p102~の医療と介護の円滑な連携、p112の医療用麻薬処方日数(14 日)制限の緩和など在宅医療関連は知っておきたい。
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