保健福祉の現場から

感じるままに

新型インフルエンザ

2008年05月05日 | Weblog
少々古いが、先月の記事である。「新型インフルワクチン、医師ら6千人に事前接種へ」(http://www.asahi.com/health/news/TKY200804150095.html)。<以下引用>
<新型インフルエンザの発生に備えて厚生労働省は年内にも、医師や検疫官ら6千人にプレパンデミック(大流行前)ワクチンの接種を始める方針を決めた。舛添厚労相が15日、閣議後の会見で明らかにした。効き目や副作用など安全性を確認するのが目的。このワクチン接種を行うのは世界初の試みになる。発生の懸念が高い東南アジアに近い先進国として、他国に先駆けて取り組む。舛添氏は「事前接種によって、有効性や安全性を評価する研究を行いたい」と語った。16日にある専門家会議に諮り、正式に決める。6千人は感染者と接触する可能性の高い感染症指定病院の医師や検疫官、税関職員ら。その結果、安全性が確認できれば、その他の医療従事者や警察官、国会議員など計1千万人への事前接種について検討する。備蓄しているワクチンは計2千万人分あり、インドネシア、ベトナムのウイルス株をもとにしたものが500万人分ずつ、中国の株のものが1千万人分。6千人分はこの中から、インドネシアと中国の株を使う予定。接種後に血液検査を行って抗体を調べるなどし、データを集めて安全性などを評価する。現在、新型インフルの警戒レベルは6段階あるうちの「フェーズ3」。厚労省は、人から人への感染が拡大する「フェーズ4」になった段階でワクチン接種を行う予定だったが、早い段階での接種で有効性などが確認できれば「先手の対策が打てる」と判断した。同ワクチンはすでに製造承認されており、承認前の治験では副作用の点で大きな問題はなかった。>

報道翌日の新型インフルエンザ専門家会議において、「封じ込めなど考えているのは日本だけだ。基本的戦略や具体策が全くない。」との発言があったそうである(医事新報4月26日号)。この発言をされた先生の講演(http://www.phcd.jp/kenshu/H200201/ositani_1.pdf)を聴いた際、少々感動したことを思い出す。しかし、政府の対応を批判されているのは、この先生だけではない(http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/flu2007/pickup/200804/506205.html)。インフルエンザ専門家からみれば、わが国の対策は非常識とのことであるが、このことに関して、マスコミにはほとんど報道されないようである。そういえば、「新型インフルエンザの発生に備えた保健医療体制の整備に関する緊急提案(4/28)《東京都》」(http://www.wic-net.com/search/search817-5.html)のネット情報が出ている。<以下一部引用>
<緊急提案では、抗インフルエンザウィルス薬の備蓄量が、他の先進国に比べ少ないとし、備蓄計画を見直すことや、新型インフルエンザ発生時によるパンデミックワクチンの安定的供給のため生産体制の確保やワクチン接種の位置づけ等を提案している。>

さて、全国保健所長会の専用ページ(http://www.phcd.jp/shiryo/shin_influ.html)のほか、新型インフルエンザに関して、みておきたいサイトがある(http://pandemic.seesaa.net/)(http://newinfluenza.blog62.fc2.com/)(http://homepage3.nifty.com/sank/)(http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/special/flu2007/)。
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高齢者の医療費自己負担

2008年05月05日 | Weblog
後期高齢者医療制度に関する報道が続いている。
「発覚!貧乏人は大損、金持ちは負担減だった」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080504-00000009-gen-ent)。<以下引用>
<「運用に当たってどのような問題が生じているか集中的に点検する」――。補選敗退で福田首相が“姥捨て医療制度″に右往左往だ。6月の次回天引きまでに問題点をあぶり出すそうだが、後の祭り。この制度、貧乏な老人が金持ち老人の医療費を支えるムチャクチャな制度なのだ。許せないのは、舛添厚労相の無責任発言だ。30日の会見で、75歳以上が加入していた国民健康保険などの保険料と、新制度の保険料とを比較した負担の増減について、「各自治体でどうなっているか、全体像をつかみたい」と言ってのけた。15日の閣僚懇談会で「7、8割の人は保険料が下がる」と発言したのは、根拠ナシの大ウソだったわけだ。実際、保険料負担が増している老人は多い。深刻なのは、低・中所得者層の負担増だ。練馬区の池尻成二区議の調査によると、同区内の平均保険料は年10万円を超え、特に所得280万円以下の層で負担が急増。なかには負担が2倍となった年金生活者もいるという。対照的に富裕層の保険料は優遇されている。「新制度の保険料の上限は年間50万円。国保の負担上限56万円から6万円のダウンです。東京都の場合、所得が705万円を上回れば、いくら稼いでも保険料は据え置き。上限が60万円を超える『被用者保険』(社会保険)に加入していた高齢者なら、軽減幅はさらに増す。職域の差はありますが、ザッと20万円近い負担減となります」(厚労省関係者) 石原慎太郎都知事(75)も、恩恵を受けるひとりだ。06年の所得は3985万円。就任以降、著書の印税収入など知事報酬以外の所得が1億円を超える年もあった。本人は「私も該当者のひとり。該当する方々が不満を抱えるのはむべなるかなという気がする」と調子のイイことを言っていたが、この金満家に貧乏老人の気持ちなぞ分かるはずがない。「練馬区では、わずか3.6%の高額所得の老人が75歳以上の所得総計の6割を占めていますが、彼らの保険料負担は全体の30%以下です。新制度は逆進性の強い保険料負担となっており、高齢者に広がる『格差』をますます助長させるだけです」(前出の池尻区議) この期に及んで福田は「骨格や考え方は必ずしも悪いわけではない」と言っていた。高齢者の気持ちが分からない老人首相は、モウロクしているとしか思えない。 >

「新高齢者医療 低所得の75歳以上夫婦、負担増も」(http://www.asahi.com/health/news/TKY200805040178.html)。<以下引用>
<75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、4月に国民健康保険から移った低所得の夫婦世帯の相当数で保険料負担が増えた可能性が高いことが分かった。厚生労働省はこれまで、加入者の5割を対象に試算した結果をもとに、「低所得者は負担が軽くなる」と説明してきた。東京都区部や名古屋市などでは、低所得者の保険料が新制度に移って大幅に増えており、厚労省の説明に疑問を示す声もあった。厚労省は近く、保険料負担の変化の全体状況を把握するため、試算方法を見直す。国民健康保険(国保)の保険料の算定方式は三つあり、運営主体の市区町村が、どれを使うかを決める。厚労省はこのうち加入者の半数に適用されていた方式に基づいて試算。各種控除をした後の課税所得がゼロの夫婦世帯の保険料は、国保では年額4万円だったが、新制度では年額2万5千円に減るとしていた。 別の二つの方式で計算すると、国保の保険料は2万4100円、2万500円となり、新制度移行後は、それぞれ900円、4500円の負担増となる。この結果を厚労省も認めている。75歳以上の国保加入者は890万人で、うち半数以上の490万人が課税所得ゼロだ。厚労省試算とは別の二つの方式に加入していた人は相当数いると見られる。国保の保険料は、所得や世帯人数に応じて算出され、課税所得がゼロの世帯は所得分はゼロとなる。方式によって加入世帯ごとに負担する定額分や、持ち家などの所有資産に応じた分が加算される。厚労省が試算に使った方式は、他の2方式と比べて、低所得者世帯の保険料が高くなる傾向があり、この方式の試算結果を示して「低所得者は負担が軽くなる」と広報してきた。厚労省は「一般的な傾向をみるため、一番対象者の多い方式で試算した。近く、他の方式でも試算する」という。
ただ、厚労省の試算に使われた方式でも、所有資産がない人は負担増になる。一方、所得がない単身者の場合、負担減の人が多いと見られる。厚労省試算の方式では3万3100円、別の2方式では1万5900円、1万300円となる。新制度の保険料は1万2500円。各方式の保険料額は全体的な傾向を示すもので、実際にどれだけの低所得者が負担増になったかを把握するには、各市区町村ごとの実態調査が必要だ。厚労省と総務省は6月半ばまでに調査を実施する方針だが、実際に負担増となった高齢者が多数いることが判明すれば、保険料の軽減措置を求められそうだ。>

「後期高齢者の医療費、8月から一部で窓口負担3割に」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080504-00000009-yom-pol)。<以下引用>
<75歳以上の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、制度導入の経過措置がなくなる8月以降、一部の高齢者の医療費の窓口負担がこれまでの1割から3割に上がるケースが出てくる。厚生労働省は、対象となる高齢者に3割負担になることを説明しておらず、さらに同制度に対する反発を招く可能性もある。夫が75歳以上で年収が383万円以上あり、妻が70~74歳で、世帯年収が520万円未満の夫婦では、これまでの1割の窓口負担から、夫だけ3割負担に上がる。後期高齢者医療制度の窓口負担は原則1割だが、課税所得が145万円以上あるなどの現役並み所得者は3割負担となる。仮に夫が76歳で年収390万円、妻は73歳で年収120万円の夫婦がいたとすれば、従来の国民健康保険では世帯年収510万円と計算し、1割負担だった。しかし、後期高齢者医療制度の導入により、75歳以上の夫は同制度に移行し、75歳未満の妻は国保に残ったことで、夫婦は異なる制度に加入した単身世帯とみなされ、夫は383万円以上の年収があるので3割負担となる。7月までは経過措置で世帯年収で判定した1割負担が継続されるが、8月からは、夫と妻でそれぞれ所得の判定が実施され、新たな負担割合が適用される。厚生労働省は、このようなケースに該当する高齢者の数を把握していないという。>

一年間凍結された「70~74歳の医療費の自己負担割合増(1割→2割)」(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2007/pdf/seisaku-021.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info02h_1.pdf)が、果たして来年4月に予定通り解凍されるかどうか注目されるところかもしれない。これまでマスコミにはあまり報道されてこなかった厚生労働省資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-03-02.pdf)p17に出ている「70~74歳の医療費自己負担上限の引き上げ(一般4万4400円→6万2100円、外来は1万2000円→2万4600円)」も地域住民に理解されているようには思えない。後期高齢者医療制度に関して専用HP(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d.html)が公開されているのであるが、高齢者全般に係る正確で包括的な情報提供が必要と感じないでもないところである。
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