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八百屋レストラン洗濯船より、 短編小説『田子作迷作劇場』

2019年04月12日 | 安全安心野菜情報

『小さな恋のメロディー?』

店頭に並ぶ大分特産イチゴ『ベリーツ』。
開発に8年の歳月を費やしただけあって絶妙な甘さと酸味のバランスが人気である。
当店は一日12パックしか並べない上に大分市内で一番安く販売している。
そのため昼過ぎには完売してしまうのだが、その日はなぜか14時を過ぎたと言うのに2パック売れ残っていた。
開け広げた店のドアの前を小さな人影がノタリノタリと通り過ぎようとしている。
近所の小学校の男女の児童である。
ふと女の子がベリーツの棚の前で足を止めた。
物欲しそうにベリーツを見つめている。
「この苺美味しいんで。」
女の子は呟くように話す。
隣の男の子は棚からベリーツを1パック手に取る。

『ん?買うのか??』
内心少し動揺し始める私の気配を感じたのか、女の子が男児を制する。

「買わんのに手に持ったら悪りぃんで!」
そう言われて男児はハッとしたように棚に苺を戻す。

「これ好きなん?」
女の子の顔を覗き込むように尋ねる男児。
その問いに小さく頷く女の子。

「俺が大人になったらこんなん一杯買っちゃるけん!!な?」

『良く言った!!』男子らしい見栄を張る児童に久しぶりに心の中でエールを送りたくなった。

「一杯っちどれくらい?」

「イチマンより一杯!!」
小学低学年の彼にはおそらくイチマンが最大数のようである。

「ふぅ~ん。」
気の無い返事の女子に戸惑う男子。
「嘘や無ぇーよ!」
早く家に戻って女の子と遊びたいのか立ち去りたい様子が露骨な男子。
そんな彼を待っていたのは止めの一言だった。

「私、今欲しい!」
もしかすると彼の人生で初の『絶句』を目撃してしまったかもしれない。

何か言い返そうとしたがガクッと肩を落とし頭を垂れてトボトボと女児を置き去りにしたまま歩いて行ってしまった。
女児も彼の後をトボトボと付いて行った。

こちらはベリーツのように絶妙な甘さと酸味のバランスとはいかなかったようだ。

桜も葉桜に遷ろう4月上旬の昼下がりの八百屋レストラン洗濯船前の光景である。

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