友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

民主主義の基礎

2017年04月30日 17時47分20秒 | Weblog

 私が住むマンションは建設されて44年ほどになる。当時は公団に比べて広いことや名古屋への通勤に便利というので、30代や40代に人気だった。私が入居した時はすでに自治会が出来ていた。マンションは管理を会社に任せているところが多いが、ここは建設当時から自主管理で行ってきた。自治会が管理事務所の職員を雇用し、日頃の管理を行う他、修繕積立金を徴収し修繕計画の下に業者を選定し監督する。

 全659戸を56組に分け、輪番で組長を選び、組長は1カ月に1回開かれる総代会に出席する。組長の中から役員を選出し、7人の役員が執行部となって建物の維持管理や修繕、住民の交流と親睦のための行事を行う。組長の任期は1年だが、役員は半数の留任を目指すように申し合わせてきた。会長を務めた者が再び会長職に着かないことも暗黙のルール。役員の再選は妨げないものの、3年を目途に交代するのも規約にないルールだった。

 今年の総会は淡々と進んだ。ほとんど意見も出ずに終わりそうな雰囲気だった。現会長は5年目となる。いくら優秀な人であっても、これまでの申し合わせを無視することはよくないので、発言しようと思っていた。私が直接言えば会長を批判することになるので、なぜ5年続けるのか理由を聞くべきか、それとも再生委員に選ばれた人に、どのような再生計画なのかを問う形で聞くべきかと考えていた。

 ところが最後になって、「何でも構いません」と司会者が言うと、途端に発言者が続出した。自主管理を賛美する者や防災への備えについて発言する者などが多かった。「管理事務所長の顔が見えない」との発言を受けて、事務所長に挨拶する機会を作らせた元会長はさすがだった。以前に比べれば穏やかな発言だが、住民が自由にものが言えることが一番大事、私は発言を控えた。

 最初に自治会をつくった人たちは60年安保を体験した世代で、このマンションを理想的なコミュニティにしようとする意識が強かった。輪番制や役員の任期の交代など、出来る限り多くの人が体験することを望んだ。それは自分が住むところを自分が守る意識を育てるためだ。誰かがやってくれるのではなく、自分も担う意識を大事にした。長く役員を続ければ、次になる人がいなくなる。優秀な人に任せるより、みんなで守る道こそ民主主義の基礎と考えたのだ。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 春の嵐 | トップ | 仕事の前に道具の点検 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事