友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

映画「連合赤軍 あさま山荘への道程」

2008年02月13日 22時02分13秒 | Weblog
 映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を見てきた。しんどい映画だ。3時間10分という長さだけの問題ではなく、同じ時代を生きたものとして、のしかかってくるものが大きく重い。あさま山荘の銃撃戦の中に、私の小学校の先生の息子が二人いた。「革命3兄弟」ともてはやされたが、長男は「総括」の名の下に殺された。

 あさま山荘に立てこもり、警官隊との銃撃戦に入る場面で、坂口弘が「死んでいった同志の弔いのためにも最後まで戦い抜こう」(セリフが間違っている気がするが)と言った時、最年少の16歳、3兄弟の一番下の少年が「違う!勇気が無かったのだ」と、ひとり一人の名を上げて言う。雪山で、「総括」の名の下に殺された12人の死ほど空しいものはない。彼らは悔しかったであろうし、やりきれなかったであろう。

 「革命」の大義が恐怖となったのは、小心者がリーダーになったからだ。彼をおだて、後ろ盾にしてに、権力者になる馬鹿な女がいた。同じ女性に一番厳しく当たったこの女こそ、彼女が「総括しろ」という「おんなの性」を最も意識した女と私は感じている。彼女が書いた「氷解」を昔パラパラと見たが、懺悔の気持ちはどこにあるのかと思った。閉じられた狭い世界、逃げ出すことのできない空間の中での生活。しかも馬鹿馬鹿しいかもしれないが、彼らは皆、革命兵士にならんがために集まったのだから、軍隊では上の命令は絶対的なものと思っていても不思議ではない。

 連合赤軍も中核や革マルなども、いや共産党も公明党も、皆中央集権体制だ。組織というものはどれもこれもこうしたピラミッド型だ。一人の兵士、一人の同盟員、それは底辺の一人の国民と同じで、生きていても死んでしまっても、権力者にはどうでもよい存在なのだ。彼らに関心があることは、今ある権力の座をいかにして維持するか、ということばかりだ。連合赤軍は同志殺害が悲惨だったから、皆の記憶に残っているが、オウム真理教も同じ性格のものだ。

 これは友人の受け売りになってしまうが、「トヨタだってそうですよ。トヨタイズムしか認めない。異議を申し立てないようにマスコミを締め上げる。新聞はトヨタやキャノンの問題はとりあげません」ということになる。「国際連合で、アメリカが圧倒的な力を誇示し、どこの国も逆らったりはしない。強いものが圧倒的に強い。人間の社会は、決して民主主義なんかじゃありません」。

 ピラミッド社会が続く限り、人間はいつまでも変らないということなのだろうか。「革命3兄弟」の末っ子が言うように、「勇気が足りない」のだろうか。映画の最後に獄中で自殺した小心者のリーダー、森恒夫が「革命へ跳躍する勇気が足りなかった」と述べていた。リーダーの資格が全く無い奴に振り回されたのも、「革命」の幻想にみんなが取り込まれていたからなのだろう。

 各自が自由に生きられる社会こそが、人間の究極の社会ではないかと私は思っている。
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4 コメント

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むなしかった (H・MORI)
2008-02-13 22:58:43
私も観ましたが、あの頃の時代を単純に描きすぎているるようで、むなしさを感じました。組織と権力については貴方の言われるとおりだと思います。
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Unknown (鈴木至彦)
2008-02-14 18:14:55
確かに「むなしい」ですね。何十万という人がデモに参加し、少なくとも、何千人かの人が投獄された経験があるのに、経験のない私が「むなしい」と言うのも変ですが、彼らはアレからどんな生活をしてきたのか、何を考えてきたのか、気になります。全共闘の人たちがいつだったか、昔を振り返って本を出したという記事を読んだけれど、何か同窓会のように思えてしまいました。
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見てみます (ジン・ムラサメ准将)
2008-02-15 20:23:14
お久しぶりです。
あさま山荘事件の赤軍派から見た映画ですね
前作は警察側から見た感じが強かったですから。

レンタルが出たら即効で借りに行きます。
(映画館は高いから見ないw)

今見ようと借りてきたのは
「父親たちの星条旗」と
「硫黄島からの手紙」です。
張り切ってみたいと思います。
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Unknown (鈴木至彦)
2008-02-16 21:26:26
「父親たちの星条旗」は、戦争とはこんなものだったのかと、そして「硫黄島からの手紙」は戦争のむなしさを教えてくれました。ぜひ、セットで観てください。
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