友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

高齢者の恋愛問題

2012年12月18日 19時37分16秒 | Weblog

 1970年に、高校1年生だった人も今では58歳である。70~80代の人と話していて気が付いた。57~8歳から下の人たち、つまり若い人たちはデモ行進をしたり、アジ演説を聞いたり、座り込みをしたことがない。つい先日から始まった官邸前での脱原発デモが行なわれるまで、デモは沖縄にしかなかったのではないだろうか。70年の学生による武力行動以後、学生運動は消滅した。労働者のストライキもなくなった。そうした安定した社会の中で、働いてきた40代や30代の人たちは理想論よりも現実直視の傾向にある。

 60代より上の人たちは元気がよかった。しかし、このところバッテリー切れのようだ。選挙で自民党が復活したことがよほどショックらしい。そういえば私の友だちもすっかり恋愛論から遠ざかっている。彼は妻子がありながら娘ほどの女性に恋をしていた。「会いたくて会いたくて仕方ない」と言う。それはもうれっきとした恋心だ。「まあ、会うだけならいいじゃーないですか」と言えば、「会えばまた会いたくなる」と困って言う。「まるで、18歳の青年ですね」と冷やかすと、「気持ちはその通りだ」と開き直る。

 「高齢になっても恋心が持てるのは精神が若い証拠ですよ」と褒めるが、ご本人は「彼女にも家庭があり、無理な要求はできない。けれど、出会って、話をして、食事をして、それだけではどうにも物足りない」と言う。「それはそうでしょうけれど、相手のことを考えれば、我慢することも仕方ないでしょう」。「やっぱり、そうかね」。「どうしたいのですか?」。「触りたいね」。「それはダメでしょう」。「ダメかねー」。「小説家で医者の渡辺淳一さんは、長生きの秘訣は恋をすることだと言ってる」。「それ、長生きでしたっけ、ボケないではなかったですか」。「どっちでも同じことだ」。

 どうでもいいような話が続いた後で、「彼女が親しくしていた人が突然、ふたりも相次いで亡くなったそうだ。それで彼女は余りにも悲しくて、こんな気持ちになるのは親しくしてきたからで、これからは深い付き合いはしない方がいいと思ったと言う」。「ええ、それで?」。「だから、あなたとも深く付き合わないことにしたと言うんだよ」。「えっ、それって、もうお別れしましょうってことじゃーないですか?」。「やっぱり、そう思うかね」と大きくため息をついた。恋をする人は10代でも高齢になっても、あまり変わらないようだ。

 働き盛りの人たちは、恋や浪漫など見向きもせずに、ひたすら目先のことに必死なのだろうか。何もかもが現実の損得の中で取捨選択されているのだろうか。高齢でありながら恋する人はどこかおかしいのだろうか。

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