友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

なぜ景気を上向かせるのだろう

2010年12月16日 19時21分20秒 | Weblog
 経済について無学な私には、「法人税の引き下げで景気を上向かせる」ということが分からない。菅内閣は法人税の税率を5%引き下げるという。「他の主要国に比べて高い税率を下げることで、企業の海外移転を食い止め、GDPを14兆円以上押し上げる。121万人以上の雇用が維持され、3年後には国の税収全体で1兆円以上増収になる」(中日新聞より)。これを読むと、企業が海外に移転しなければ、増収になるということだけれど、本当に?と思ってしまう。

 企業が海外に移転するのは税率が高いだけの問題ではないはずだ。日本では賃金が高いので、安い賃金で働いてくれるところへ企業は移転している。中国の政治が不安定になってきたこともあるだろうけれど、それ以上に賃金が高くなってきたことから、もっと安いベトナムへ移転する企業が増えてきたと聞いた。当たり前のことだ。資本主義社会では賃金が安ければ儲けは大きい。儲けが大きければ、国際経済戦争に勝てる。企業は資本力をフルに発揮して、より利潤の上がる方法を考える。

 人は同じものならまず安い方を買う。日本の商社は中国で野菜を買い付け、安い値段をつけて売っている。野菜の生産者は、高く売れるものを作って売りたがるが、これも儲けが大きいのだから当たり前だ。みんなが同じ高級野菜ばかり作れば値段は下がってしまう。つぶれた農家の農地は荒れてしまうだろう。工業製品でも同じで、ヒット商品を作り出せば儲けは大きいが、売れるものをみんなが作れば安くなってしまう。コメとかムギとか肉とか、生活に必要な品はムラなく供給されなくてはならない。私たちが生活していくことができるのも、大きな利潤が生まれなくても、品を作っている人がいるからではないだろうか。

 それは儲けだけを求めていない人がいるということだ。これから、少なくとも日本では人口が減っていく。これまで100人いた消費者が90人になれば、商品は1割売れなくなる。それなのに、なぜ経済の拡大をするのだろう。中国だって今は13億人だが、一人っ子政策だからいっきに人口減社会になるだろう。世界中でお金が余っているそうだけれど(全く私には実感がないが)、工業製品が余り出す時代だって必ずあるはずだ。いや、地球的規模からすれば世界の人口はまだ増え続けるそうだから、物余りなどということはないのかもしれない。しかし、それでは食料や水や空気は大丈夫なのか。

 コメ作りに適した地域ではコメを、工業製品作りに適した地域では工業を、そういう住み分けをする時代が来るだろう。儲けの無い品物の供給だけの時代になるのかもしれない。国やあるいは国際機関が計画するかも知れないが、私はむしろ自然とそうなるように思っている。ここまで来たのだから、自然とそうならなければ、他には考えられない。
コメント (1)
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