Tシャツとサンダルの候

福寿草を求めて。秘境花園白崩平へ

「ここ?」(家内&私) 

 

 

 ポカーーン

 

 

拍子抜けするほどに唐突に表れた、岩宇土山の山頂標識。

尾根道の途中に、素知らぬ体で立っていた。

眺望を楽しみ、腰かけて休憩しようにも、どこからどう見ても、ここは単なる尾根道なのだ。

どこにもそんな場所は無いし、眺望もさっぱりである。

結局、久連子岳にしても、この岩宇土山にしても、山頂での滞留は無しとなった。 

ここからは、ひたすら下る。

 

下る。

 

下る。

 

ひたすら下る。

 

そして、相変わらず猛烈に滑る。 

じっと立っているだけで、前方に滑っていくぐらいだ。

私などは、何度か大きく滑って後ろにのけぞるも、尻餅をついてしまっては一大事だ。

なぜって、ズボンを泥だらけにしてしまっては、車のシートに腰かけられなくなるではないか。

帰りは、ズボンを脱いでパンツ一丁で運転するしかない。

仮に警察に停められたりでもしたら・・・・

その場の、想像を絶する屈辱感を思い描くがいい。

とても耐えられるものではない。

仰け反るたびに、両手を後ろについて、ブリッジでこらえた事に、拍手を送るべきであろう。

その代わり、両手ともドロドロである。

鼻水を拭う事も出来ぬ。

鼻水ダラダラで歩く羽目となる。

白崩平への看板。

足元がすべりやすい?

解ってるって、そんな事。

とうの昔に、骨身に染みてるぜ。

 

 

時計を見やる。

予想してた通り、大幅に時間超過である。

おまけに、途中でトレースを見失うというミスを犯し、道迷いまでやらかしてしまう。

この時ばかりは脳裏に、

 

『遭難』

 

の二文字が浮かんでいた事を、ここでコッソリ白状しておく。

その後、登山ルートを見つけた時の安堵感たるや!

何はともあれ、この日の主題と言っていい、白崩平の花園に辿り着く事が出来た。

野生動物などの被害から護るため、ぐるりと周りをフェンスで囲われていて、中に入るには、ロープをほどいて自分で入り口を開ける必要がある。

この保護区域自体が登山道の一部になっていて、そのまま通り抜ければよい。

中に入ったら、入口をキチンと閉める事も忘れずに。 

「あ、可愛か!」(家内)

 

早速、福寿草の群生がお出迎えだ。 

黄色い光沢のある花々が、あちらこちらに咲いている。

 

 

 

 

 

物の本によると、この光沢により、中心に熱を集め、昆虫を誘っているんだとか。

一番最初に咲く花の一つでもある福寿草。

当然、咲く時期は、真冬の厳冬期である。

あの光沢のある花弁は、お客様である昆虫をご接待するための、言わば暖房器具らしいのだ。

 

せっかくの福寿草だが、まごまごしていると、日没の心配すら出てきた。

早々に離れるしかないだろう。


保護区域から先は、足元の悪さも徐々に緩和され、歩きやすくなっていった。

この沢を渡渉すれば、林道までもうすぐだ。

ここまで、股関節に限って言えば、足元が不安定な事に加えて、急傾斜の登り下りが続いたにも関わらず、全く問題なしである。

 

と、自信を持ったのも束の間・・・

平坦な林道に出た。

ゴールまであと1kmぐらいかな。

なんて歩きやすいんだ。

わーい。

日没までのゴールに間に合ったぜ。

 

てくてく

 

「あれ?」

 

てくてく

 

「イテテテ。あれれ?」

 

てくてく

 

「いてえー!!股関節いてえー!」

 

平坦な道が原因というより、これまでの蓄積が林道の辺りで出たと言うべきだろうが、

 

 

私の股間節にとって、やはり平坦路が鬼門らしい。


追記

活動距離5,7km 高低差694m(いずれもアプリによる観測データ)

結局、コースタイム4時間15分のところ、5時間29分で下山となった。

休憩を入れてだが、1時間15分の遅れである。

雪の為に到着が遅れ、登山開始が遅くなった上、足元の悪さで登山時間も余分にかかってしまい、あたりが薄暗くなる4時過ぎの下山となってしまった。

今更当たり前の事だが、

コースタイムは、条件によって当てにならない事。

そのためには、時間に余裕を見ておく事。

深く肝に命じて、教訓にしたい。

コメント一覧

minou_yamatai
いやはや大変でした。
でも、大変だった分だけ、可憐に見えたたかも。
ドリー
いやはや、、、険しい道でしたねーーーー
ご無事で何よりでした、
福寿草がご褒美でしたね、綺麗ですねー
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