夜な夜なシネマ

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『犬ヶ島』〈吹替版〉(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の8本目@西宮)

2018年06月05日 | 映画(あ行)
『犬ヶ島』(原題:Isle of Dogs)
監督:ウェス・アンダーソン
声の出演:川島得愛,石住昭彦,野村訓市,楠大典,野田哲平,
     横島亘,川中子雅人,遠藤綾,森川智之,高山明他

この日の本命は本作でした。
これを観たかったがゆえに、残席わずかだったなんばに行くのをあきらめて西宮へ。
なんばでは3日前から大人気だったのに、西宮のなんと空いていることよ。
拍子抜けするほどの客の入りで、改めて地域性を感じました。
劇場自体の客が少なかったわけではなく、西宮では『ゲティ家の身代金』が満席でしたからね。

鬼才か奇才かわからないけど、この監督を呼ぶときには必ず「キサイ」と付きます。
ウェス・アンダーソン監督、いや~、ほんとに変な人だ。
カルト化している『天才マックスの世界』(1998)はDVDを購入したにも関わらず、
手元に置いておきたいほどは面白いと思えなくて、中古屋へ売ってしまいました。
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)でやっぱり面白いかもと思い、
公開されるたびに観ていたら、『ファンタスティック Mr. FOX』(2009)がツボ。
『ムーンライズ・キングダム』(2012)と『グランド・ブダペスト・ホテル』(2013)も好きですが、
如何せん、この監督の作品は普通には薦めづらい。
薦めたくなるような人は、薦められる前から監督のファンだと思うのです。
そういう人がいっぱいいるのが難波ということ!?

ストップモーションアニメです。まず、吹替版を観ました。
上記の「声の出演」に挙げた人以外にも、吹替版・字幕版共に、名だたる人がいっぱい出ています。
渡辺謙夏木マリ村上虹郎、細野晴臣、山田孝之、秋元梢、
松田翔太松田龍平、高橋盾、池田エライザなどなど。
これだけの面々が出ているところを見ても、
マニアックなファンがいる監督なのだということがわかるでしょ。

2038年の日本、メガ崎市。
蔓延した犬による伝染病が人間に感染するのを防ぐため、
小林市長はすべての犬を「犬ヶ島」へ追放すると宣言。
隔離された犬たちは、自分たちだけで生きることを余儀なくされる。
犬ヶ島はゴミの島、さらに酷い病に罹ったり飢えたりして、死んでゆく犬多数。

そんなある日、ひとりの少年の乗った小型飛行機が島に墜落する。
レックスをはじめとする犬5匹が近寄ってみると、
飛行機の部品が頭に突き刺さってはいるものの、少年は無事な様子。

その少年は小林アタリ。
小林市長の親戚で、3年前に事故で両親を亡くした後、市長の養子となったらしい。
アタリは市長が彼に与えた護衛犬スポッツを探すために島へ単身やってきた。
いつもそばにいてくれたスポッツを病気だからといって見捨てることなどできないと。

これまで島に乗り込んできた人間はアタリが初めて。
レックスたちはアタリの力になりたいと、一緒にスポッツを探しはじめるのだが……。

わざわざ日本を舞台にしなくてもいいじゃん。
けれど、黒澤明監督に影響を受けたとずっと前から公言しているアンダーソン監督のこと、
舞台設定からして黒澤監督へのオマージュが感じられます。

少年がしゃべる日本語は“クレヨンしんちゃん”のようで、
ハリウッド映画のヘンテコな日本人を思い出さなくもないのですが、
上から目線的なものは皆無です。
監督から日本への愛情が伝わってきて、ニヤけてしまう。

タイトルロール、エンドロール共に英語と日本語が並び、
吹替版でも英語の台詞がすべて吹き替えられているわけではないところなど、
いろいろと細かい設定がなされていて、考えれば考えるほど面白い。

ほいでですね、この日はこれを観て帰るつもりだったのですけれど、
続けて観ちゃったんですよねぇ、字幕版も。その話は明日に。

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