夜な夜なシネマ

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『冬の旅』

2023年02月22日 | 映画(は行)
『冬の旅』(原題:Sans Toit Ni Loi)
監督:アニエス・ヴァルダ
出演:サンドリーヌ・ボネール,マーシャ・メリル,ステファン・フレイス,
   ヨランド・モロー,パトリック・レプシンスキー,マルト・ジャルニアス他
 
京都河原町で珍肉を食べる会に参加する日、その前に映画を観ることにしました。
3本か4本観たいと思っていたけれど、前日に189分の『バビロン』を観たせいで、
寝るのがすごく遅くなったから疲れ果て、2本にとどめることに。
久々の京都シネマにて。
 
1985年のフランス作品の2K修復版がリバイバル上映されています。
監督は2019年に90歳で亡くなったアニエス・ヴァルダ。
旦那様は『シェフブールの雨傘』(1964)の監督ジャック・ドゥミですが、
こちらは60歳になる前にエイズで他界。
夫婦そろって巨匠と呼ばれているものの、生きた年数がそもそも違うから、
妻アニエスのほうが圧倒的に作品数が多いですね。
 
当時、ヴェネツィア国際映画祭では金獅子賞を受賞。
フランスでは大ヒットを飛ばしましたが、日本では全然。
ビデオ発売時には『さすらう女』などという冴えない邦題が付いていました。
それがずいぶん経ってから評価されるようになり、この度もリバイバル上映。
 
南フランス、真冬のある日。
小さな農村の畑の隅で、ひとりの少女が亡くなっていた。
犯罪の様子はなく、凍え死んだ模様。
彼女はモナ、18歳。
亡くなる前の数週間に彼女と出会った人びとの証言を聞く、というお話です。
 
正直言って、公開当時日本で流行らなかったことは私には当然と思えます。
暗いうえに、なんといっても自由奔放すぎるモナのことが好きになれない。
働くのは嫌、楽して生きたいと公言。
お金がないのに、誰かに仕事を紹介されてもやる気なし。
 
見た目のだらしなさや汚さも気にせず、映像からも彼女のにおいが漂ってきそう。
いくら可愛くたって、その汚さではと思ってしまいます。
そして、汚くても可愛い彼女に寄ってくる男性はいて、
お金を取っているんだかどうかは知らないけれど、尻軽であることは間違いない。
 
自由だけど孤独。
そういうところが描かれている作品なのでしょうけれど、
これだけ好き勝手していて孤独なのと言われても。
フランスで大ヒットしたというのは、こういう行動に若者が憧れていたということか。
 
富裕なご婦人宅で家政婦をする女性をヨランダ・モローが演じていました。
若かりし頃はこんなお顔だったのですね。
今も同じ顔といえばそうなのですが、醸し出す雰囲気が今のほうが強烈。
モナのように生きたいと願う役でした。今のヨランダ本人は結構自由な人に見えます。

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