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『これが私の人生設計』

2016年03月11日 | 映画(か行)
『これが私の人生設計』(原題:Scusate se Esisto!)
監督:リッカルド・ミラーニ
出演:パオラ・コルテッレージ,ラウル・ボヴァ,ルネッタ・サヴィーノ,
   マルコ・ボッチ,コラード・フォルトゥーナ,チェーザレ・ボッチ他
 
日曜日、なんばで8:50開映という映画を観に行くつもりが起きられず。
1時間遅く大阪ステーションシティシネマで開映の本作に変更。
 
昨年、東京と大阪で4月末から5月初めにかけておこなわれた“イタリア映画祭 2015”
そのときは『生きていてすみません!』という邦題で上映されたようです。
なんとも自虐的な邦題で、私はあまり好きになれません。
それならば今回あらたに付けられたこの邦題のほうがいいかも。
 
もっとも、英語タイトルは“Do You See Me?”で、
「もしも~し、私ここにいるんですけど。見えてます?」みたいな感じ。
女であるというだけで無視されてしまう主人公を的確に表したタイトル。
だから、イタリア映画祭のときに付けられた邦題も、
「生きていて悪かったね」てな感じではなく
「すみません、私ここにいるんですけど?」という意味を感じさせてほしかったところ。
 
のっけからテンション高すぎのナレーション。
ちょっと耳障りな声に先が懸念されましたが杞憂に。文句なしの楽しさでした。
 
ローマに生まれ育ったセレーナ・ブルーノは、
幼いころから女の子が興味を示す人形遊びになど目もくれず、
電車や建物のブロックに夢中。絵にも特異な才能を示す。
 
国内の大学を優秀な成績で卒業した後は、世界各国で修士号を取得。
海外では誰しもから認められる建築家として大活躍していたが、
突如思い立ってイタリアへ帰国する。
 
ところが彼女を待ち受けていたのは、女性にとって厳しい就労状況。
イタリアの建築業界はまだまだ男性社会で、女性だというだけで相手にしてもらえない。
やがて貯金も底をつき、やむを得ずレストランでウェイトレスとして働きはじめる。
 
いったい何カ国語話せるのかというぐらい語学堪能で、
その語学力を生かしたサービスで客を楽しませるセレーナに、
レストランのオーナーであるフランチェスコは興味津々。
超セクシーでイケメン、バツイチのフランチェスコに優しくされて、セレーナは有頂天に。
 
ある日、父の形見のバイクを盗まれたセレーナは呆然。
泥棒を追いかけているうちに道に迷い、目の前に現れた光景に心を奪われる。
 
それはローマの郊外コルヴィアーレ地区にたたずむ公営住宅。
廃墟に見えなくもないその建物は、設備がまったく整っておらず、荒れ放題。
日々の暮らしに困っている老婆や、勉強や遊びのスペースがない子どもたちを見て、
ここを素晴らしい住宅に変えることができるとセレーナは思う。
 
リフォーム案のコンペを募集中であるとの貼り紙に、セレーナは奮起。
これぞという案を練り上げるが、プレゼンの場で女は相手にされず……。
 
実在の女性建築家グエンダリーナ・ サリメイが応募したリフォームプランをヒントにしたそうな。
海外で大活躍するセリーナがイタリアへ帰ると言ったときの、ほかの建築家たちの反応。
イタリアは進んだ国なのかと勝手に思い込んでいましたが、
他国が冷ややかな視線を送るぐらい、男性優位の国だとは。
 
登場人物がひとり残らず魅力的。
このテンションの高さについていけるのかと心配したセレーナは、
最初から最後までドタバタしていますが、とてもキュート。
イケメンでセクシーだけどゲイのフランチェスコもバカっぷりが可笑しく、
彼と彼女の同居生活に笑わされます。
 
いろんなシーンで笑ったり、しんみりしたり。
セレーナもフランチェスコもどうにもできなかったチビっこなのに、
ばあちゃんはいとも簡単にチビっこの心を読む。
だてに長生きしていないんだよ。
 
もっと大げさなエンディングでもよかったところ、
控えめに終わるのもハリウッドとはちとちがう。
でもそのおかげで素敵な余韻に包まれます。特に女性にオススメ。

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