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『ぼくのお日さま』

2024年09月26日 | 映画(は行)
『ぼくのお日さま』
監督:奥山大史
出演:越山敬達,中西希亜良,山田真歩,潤浩,若葉竜也,池松壮亮他
 
仕事帰りにテアトル梅田で2本ハシゴの2本目。
 
奥山大史監督の前作『僕はイエス様が嫌い』(2019)はとても苦手でした。
なんだか宗教色が濃かったのを覚えています。
本作もそんなだったらツライなぁと思っていましたが、予告編を観るかぎりそうではなさそうで。
ロケ地は北海道内各地とのこと。
 
スケートリンクがある北国の田舎町。
小学6年生のタクヤ(越山敬達)は軽度の吃音症ではあるもの、それが原因でいじめを受けたりはしていない。
しかし身体能力が高いとは言えず、夏の野球も冬のアイスホッケーもド下手で笑われる。
 
ある日、タクヤはフィギュアスケートの練習をするさくら(中西希亜良)にひと目惚れ。
彼女のように飛んだり回ったりしてみたいと、ひとりで練習を始める。
その様子に気づいたのが、さくらのコーチを務める荒川(池松壮亮)。
ホッケー靴のままでは無理だと、昔自分が使っていたスケート靴をタクヤに差し出す。
 
以降、みんながスケートリンクから帰ってから、荒川がタクヤの指導をするように。
荒川はふと思い立ち、さくらとタクヤにペアでアイスダンスに挑戦しないかと提案するのだが……。
 
これはかなり好きでした。
ゆるゆると穏やかに話が進むのかと思っていたら、想定外の厳しさ。
 
もともと一流のフィギュアスケーターだった荒川は都会で暮らしていましたが、
さくらの母親(山田真歩)から娘のスケート指導を請われ、この町にやってきます。
 
荒川はゲイで、家業のガソリンスタンドを継いだ五十嵐(若葉竜也)と同棲中。
ふたり仲睦まじく居たところをさくらが見かけてから暗雲が立ちこめる。
さくらには男同士の恋愛感情など理解できないから、
荒川がタクヤをフィギュアスケートに引き入れたのはタクヤをそういう目で見ているからなのではと考えます。
 
不潔、汚らしい、気持ち悪い。そんな感情を隠せず、荒川に毒を吐く。
見られていたことなど知らない荒川は、急に辞められて戸惑います。
ペアダンスの受験会場にさくらが現れてくれることを願いましたが叶わず。
 
荒川もタクヤも打ちひしがれているはずなのに、本作では誰も泣きわめいたりしない。
ただ現状を受け入れて、淡々と日々を過ごす。それが切ない。
 
いつかわかってくれる日が来ますように。
北海道の風景がとても美しいです。

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