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『フランス、幸せのメソッド』

2012年07月09日 | 映画(は行)
『フランス、幸せのメソッド』(原題:Ma Part du Gâteau)
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:カリン・ヴィアール,ジル・ルルーシュ,オドレイ・ラミー他

2011年のフランス作品。未公開のレンタル新作です。

監督は『ロシアン・ドールズ』(2005)のセドリック・クラピッシュ。
『百貨店大百科』(1992)や『猫が行方不明』(1996)、『パリの確率』(1999)など、
この監督の作品には洒落た邦題がついていることが多いです。

邦題の「フランス」は主人公の女性の名前ですが、
原題は“Ma Part du Gâteau”で、「私のケーキの取り分」の意。
ケーキを取り分けるシーンから始まります。

シングルマザーのフランスは、長年勤務していた工場の倒産により失職。
ショックのあまり自殺を図るが未遂に終わる。
退院後、子どもたちをはじめとする周囲の人々に支えられて奮起。
幼い娘を妹に預け、パリで通いの家政婦として働くことにする。

雇い主は金融取引のトップトレーダー、スティーブ。
フランス人でありながら、その能力をイギリスで高く買われ、ロンドンに勤務していた彼は、
上司からパリへ行くようにと命ぜられたのだ。

好条件のこの仕事を逃してたまるかとフランスは必死。
そこへ、スティーブの元妻が幼い息子のアントンを連れてやってくる。
元妻が海外へ出かける1カ月間、アントンを預からねばならなくなり、
金と女にしか興味のないスティーブは途方に暮れる。
泊まり込んでアントンの面倒をみてほしいとフランスは頼まれて……。

同監督の他作品と同じく、ちょっとシャレた幸せな作品を想像していました。
途中まではまさに想像どおりだったのですけれど。

別の世界、特に金銭面に関してまったく異なる世界で生きてきたふたり。
フランスにはスティーブの感覚が理解できないし、
スティーブはその差異について考えることすらありません。

家政婦に応募するさい、雇い主に日当の交渉をするために、
フランスや長女、元同僚たちはみんなして調べますが、ピンキリ。
あまりに強気に出て不採用になっても困るので、
相場の上限よりはちと安そうな45ユーロで交渉すべく出向きますが、
スティーブから「100ユーロでどう?」とあっさり言われて目が点に。

利益を得るためなら会社をつぶすのも実にあっさり。
フランスの勤めていた会社も彼によってつぶされたのだと判明しますが、
そうと聞かされても「世間って狭いね」とバカ笑いするスティーブに対して、
フランスはある行動を起こします。

終盤はサスペンスタッチで、これまでの監督の作品とはかなりちがう方向へ。
家族や同僚との絆を訴えたかったのか、金融業界に物申したかったのか、
はたまたそのどちらもだったのか、中途半端な印象が残りました。

スティーブには『この愛のために撃て』(2010)で主演したジル・ルルーシュ。
あっちでは善人顔すぎると言われた彼も、こっちではただのろくでなし。
彼女がぞっこんの元カノ(元妻じゃなく)も、登場してみればいけ好かん女で、
人物にいまひとつ魅力を感じられなかったのがツライです。

これを「幸せのメソッド」と言われても。どうすりゃええの。

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