夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゲティ家の身代金』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の7本目@西宮)

2018年06月04日 | 映画(か行)
『ゲティ家の身代金』(原題:All the Money in the World)
監督:リドリー・スコット
出演:ミシェル・ウィリアムズ,クリストファー・プラマー,マーク・ウォールバーグ,
   チャーリー・プラマー,ロマン・デュリス,ティモシー・ハットン他

そしてこれが西宮ではいちばん人気だった作品です。
必死のぱっちで13時の回に間に合うように行ったのに、まさかの満席。
そのせいで観る気のなかった『ピーターラビット』〈吹替版〉を観ることになり、
1回あとにこれの席を確保しました。その回も大入り。

『追悼特別展 高倉健』でダイジェスト版を観た『ブラック・レイン』(1989)。
松田優作高倉健も亡くなってしまったけれど、リドリー・スコット監督はご健在。
今年81歳になる監督はコンスタントに作品を撮りつづけ、
そのかたわら、さまざまな作品の製作総指揮に当たったりも。嬉しい限りです。

本作は1973年に起きた誘拐事件を基にしたもの。
ただし、実際の事件をモチーフにしたフィクション部分も多いようで、
特に、事件の直後に富豪が死亡したかのようなシーンは事実とは異なります。

世界一の大富豪として知られる石油王ジャン・ポール・ゲティ(以下ゲティ)。
ケチであることも有名で、ホテル滞在時のランドリー代を惜しんで
自ら洗濯やアイロン掛けをするほど。
自宅を訪問した客が電話を貸してくれといえば、
来客用に設置した公衆電話に案内、電話用の小銭まで用意している。

そんなゲティの孫ジャン・ポール・ゲティ3世(以下ポール)がローマで誘拐される。
犯人グループの主犯チンクアンタは1700万ドルの身代金を要求。
ポールの母親アビゲイルは、ジャン・ポール・ゲティ2世と離婚するさい、
一切の金銭を要求せずに息子の親権だけを求めたから、
とてもそんな高額の身代金は払えない。
祖父のゲティだけが頼りなのに、ゲティは一銭も払うつもりはないと言う。

とはいうものの、何人もいる孫の中で特にポールを可愛がっていたゲティは、
邸および身辺の警護を任せていた元CIAのチェイスを呼び、
犯人たちについて調べろと言い、さらには交渉をアビゲイルにさせるなとも命じる。
こうしてチェイスはアビゲイルと行動を共にすることになるのだが……。

ゲティ役は最初ケヴィン・スペイシーがキャスティングされ、作品として完成していたそうです。
ところがスペイシーのセクハラ騒動により、おじゃんに。
クリストファー・プラマーが演じて再撮影。
結果、プラマーはあちこちの映画賞にノミネートされただけあり、
もろハマリの素晴らしい演技でしたが、スペイシーの演技も観てみたかったなぁ。

このプラマーをはじめとして、キャストがみんな○。
チェイス役のマーク・ウォールバーグ『テッド』(2012)よりやっぱりこんな役でしょう。
チンクアンタ役のロマン・デュリスには唖然。
この人、昔は本当に美男子だったのに、どんどん下品な顔になり、いまやこんな悪役も似合う。
だけど、ポールを気遣うところには優男だったころの名残も。オイシイ役まわり。
『普通の人々』(1980)のティモシー・ハットンがゲティ家の執事役でユーモラスな演技も。
ただ、ミシェル・ウィリアムズ演じる母親にはあまり共感できません。
親身になってくれてる人を受話器で殴ったらあかんやろ。(^^;

マフィアと警察が密接に繋がっているイタリアの様子が怖い。
今でもこんな国、なんぼでもありますよね。

ところでプラマーは今年89歳。
スコット監督共々、まだまだ元気なところを見せてください。

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