『Are You Passionate?』(2002) Neil Young

2008年08月20日 | ニール
今のバイト先に行きだしたのが、ちょうど1年前の今日。
ふぅ~、1年かぁ。早いような短いような。
実は恥ずかしながら「続ける」ことがまず第一の目標だったので、まずはひとまず第一目標達成、かな。ショボイ目標でホンットお恥ずかしい話なんですけど。ちょいと当時悩んでおりましたからねぇ。
だけど今まで続けられていたのは、ひとえに会社の周りの人たちのおかげだと思います(特に同期のあいちゃん、ありがとー!)。みなさんにホントーーに感謝。人との出会いは大切だなぁとしみじみ思います。

最近、ふとした瞬間に、例えば空を見上げた瞬間とかに、意味なくフッと ”幸せ" を感じることがたまにあるんですよね・・・。

そんなわけで、第一目標を達成したので、これからは今の状況プラス、なんか新しいことにもチャレンジしていきたいなーーーっと考えているんです。ウラララーッ。


で、今日はお盆休み代わりの代休をもらっていたので、家事を片付けて、お家で1人でのんびり。
こういうのは久しぶりだから、したいことをする。
音楽と三国志漬け(笑)
そして久々のブログ書き。

この記事の前の記事の映像を見て、すっかりほわ~んと感動(泣)してしまい、朝からニール・ヤングでした。
ニールの(本当に!)数ある作品の中でも、あまり語られているのを見かけないこのアルバム、『Are You Passionate?』人気ないのかな?私はなぜかかなり好き。リアルタイムできっちり日本盤で愛聴。ブッカー・T・ジョーンズとドナルド・ダック・ダンを客演&共同プロデューサーとして招き、意識的にソウル/R&B(スタックス寄り)にしている曲が多いのが特徴です。

M-1 "You're My Girl" 、のっけからびっくりのイントロ。ソウル音楽の影響やそれからもらった喜びを素直に、とても素直に表わした曲。かわいいヒトです。

M-2 "Mr. Disappointment" のイントロのギターの鳴りがたまらなく気持ち良くて。歌のメロディを弾いているだけなんだけど、こことは違うどこかの世界に確実に連れて行ってくれる音なんですよね。どこか遠い国の、どこかの、例えば草や土のにおいまでしてくるような、ホント一瞬でこの音だけで、飛べる、っていうか。低い歌声で始まってサビで ♪I'd like to shake your hand~ Mr. Disappointment~♪ てあのニールの鼻声裏声で入ってくるとことかももーたまらない。コレはとびきりの名曲だって、本日、今朝、私の中で確信。

とか思っていたら、このアルバムのギターはほとんどこれと同じ鳴り方をしているんですよね。
M-3もM-4も同じ感じのイントロ。間奏。この時のニールのモードはコレだったんだね。
音にもかなりこだわるニールさんだから、アルバム全編ギターもドラムも音がすんごい気持ちいい!!


しかしアルバム真ん中の M-5 "Let's Roll" で今までのこのさわやかな風通りのいい流れは遮断され、一気に重く息苦しい 世界に変わってしまう。この曲は9.11アメリカ同時多発テロ事件でハイジャックされてしまった飛行機に、お客として乗っていた人たちに何が起こっていたのか、テロ犯人に対して何をしようとしていたのかを新聞で読んだニールが、そのことの実況と、それはいったいどういう風だったんだろうと想像し、歌詞にし、歌にしたんですよね。これを歌にしたということが、ショッキングだったし、それは今でも聴くたびにそう感じる。曲が生々しいため、その瞬間のことを考えさせられる。あの事件について考えを巡らせる。不穏なイントロは確かにその時の機内の空気を含んでいるように聴こえるくらい、何か邪悪なものが宿っていて、その後の電話の鳴る音には毎回毎回聴くたびにドキリとしてしまい、こんなあまりにシリアスなことをポップスの世界でやってしまうなんて、賞賛の意味でも勘弁してくれよって意味でも、なんてことをやる男なんだと思ってしまう。
この曲はこのアルバムの中で孤立している。だけどこの曲が入っていないこのアルバムも考えられない。
そして私たちはこの曲を聴くたびに思い出す。

M-6 ""Are you Passionate?" 、勇気ある曲の後にはタイトル曲が静かに生きることの意味について語りかけてくる。完全に前の曲からの考えられた流れ。

M-7 "Going Home" 、この曲だけウィズ・クレイジー・ホース。いつものドライヴィング感バリバリのヘヴィなあの音。カッコイイ曲。この曲、2001年のフジロックでまだ聴かぬ新曲として演奏してたんですよね。
そして、この比較的ダークな M-5、6、7 を挟んでアルバムはまた前半のようなソウル風味の穏やかな表情に徐々に戻っていきます。


M-9 "Be With You" はまんまモータウン。それはびっくりするくらい素直に。素直なことはいいことだ!
(余談ですがニールの初レコーディングはそういえば確かマイナー・バーズ名義でのモータウンでしたよね!じゃ、里帰りってこと!?)

M-10 "Two Old Friend" 。これが私のこのアルバムの白眉(三国志♪)です。
優しいメロディにのせて繰り返し歌われるのは神様に問いかける言葉

どうしたらあなたのようになれるのか
邪悪に対して見ざる聞かざる感じざるを貫けるのか
私の心のなかで/痛んでいる心のなかで
私の心のなかで/脈打つ心のなかで
私の心のなかで/相も変わらず陰険な心のなかで
                         
という歌詞で、 "Let's Roll" という曲が成り立った心境の解説にもなり得ているし、そして今の時代に生きている私たちの心の代弁にもなり得ていて、深く共感を覚えます。
どういう風に生きていけばいいんだろう、世の中で起こっている様々な出来事と。
痛んでいる心を持ちつつ、腹黒い心(Black Heart:ライナー訳詞では ”陰険な心” と訳されていました)を持ちつつ。

答えを出すことなく、やみくもな正義を振りかざすこともなく、正当化することなく。
自らや私たちにずっと問いかけ続けているというニールのアーティストとしての姿勢、これが信じられるとこなんだよなぁ~と思ってしまいます。名曲。

うーん、いいアルバムだ~。