『ARTHUR OR THE DECLINE AND ~』(1969) THE KINKS

2007年09月26日 | キンクス
昨日辺りから、急に風が涼しくなってきましたね。ようやく秋らしい秋の到来?今年の秋は短いのかな?秋は大好きだから、出来るだけ長く続いて欲しいものです。

キンクスの秋。秋のキンクス。
紅葉の枯れ葉の舞う中、秋の川辺の散歩なんかが似合うバンドNo.1。
実際はまだ今は全然そこまで秋深くないですけどね。秋への期待感が高まってるので、気持ち的に先走ってしまいます(笑)

この93%ほど茶色で占められているジャケも、どことなく秋っぽい。という事で、秋到来気分を盛り上げるため、棚から取り出して久々に聴きました。
キンクスの1969年作。正しいタイトルは『ARTHUR OR THE DECLINE AND FALL OF THE BRITISH EMPIRE』です。


90年代初頭、私が初めて一人暮らしを始めた街の高架下で、ひっそりやっていた小さいレコ屋で出逢って買ったこのレコード。そこは英国ロック/ポップスが割と充実したお店で、バッドフィンガーの『ストレート アップ』の英オリジナル盤がバカみたく高い値段で売られていて、私はその時実際そのレコードを初めて目にしたのですが、ジャケットの4人の虚ろな表情が妙に眩しく見えたのが、つい昨日の事のように思い出せます。

で、この私の『ARTHUR~』も同じく英オリジナル盤(PYE)なのですが、こっちはお値段がそんなに高くなかったんです。盤質は普通で、ジャケットが少しボロッちいので、安かったのかな?

ジャケを開けるとカンガルーのポッケからレコードが取り出せる仕掛けになっているのですが、タグを引っ張るとアルバムの登場人物である"ローズ"という女性に抱かれたレコードが出てくるという仕掛けになっているらしいのですが、私のはタグもローズもなし。だから安かったんだな(笑)


で、実は私、こん時が初めての英盤購入だったんです!お安いと言っても、結構ドキンとしつつ「贅沢をしているぞ、私っ。でもゾッコンラブのキンクスだから…!」といったような思いでレジに持っていった事も覚えています。

そして一人暮らしのお家に帰ってレコードを手にしてみると、なんだかすんごいペラペラで、少しガックシしました。ガサツな対応OK!の丈夫な米盤やしっかりした日本盤と違って、とにかく薄くて、コーティングもされてて、テカテカしてたのが、うーん…って。
ペラペラのテカテカ。だからイイんじゃないかって、思えたのは、ずっと後になってから。実際、美しいんですよね、写真の色合いとか。繊細で味わい深い出来で。単に私がガサツな人間だから、落書きとかされ放題のアバウトな米盤にしっくり来ていただけという…(苦笑)

でもね、大好きなキンクスが生まれた国、英国で実際に作られて、英国の空気吸ったんだなコレ、って思ったらね、やっぱり特別な感じがして、大事にしていましたよ。あ、今でも。


さて中身はというと……もう皆さんご存知ですよね(笑)
えぇ、最高です。最高に決まってます。
シングルで言うと"victoria"に"drivin"に"shangri-la"ですよ!
地味曲で言うと、これぞレイの嘆き節"yes sir,no sir"、美しき感傷"young and innocent days"、やけくそメタポップ"nothing to say"などで、悪いわきゃない。最高です。


私がこれと出逢ったレコード屋は、もうとっくの昔になくなっています。
でもこのアルバムを取り出すたびに、あの時の自分と、あの街と、あのレコ屋を、もう自動的に思い出すんですよね。

あのバッドフィンガー『ストレート アップ』は今、誰の手元にあるんだろうか。