故郷ありて今が

海沿いの道を登りきると急に視界が開ける。ゆるい海岸線に沿った街が故郷である。故郷の山、川、海はいつも胸に映えている。

遥かなる遠足

2017-12-30 13:06:05 | 日記・エッセイ・コラム

 誰にも何時ともなく思い浮かぶ風景がある。確か小学校高学年の頃である。「先生 野うさぎ捕らえて飼育したいです。」「なぜ」、「うさぎとお話ししたいんです。」先生は後ずさりして笑っていたが秋の遠足で実現した。曲がりくねった道を山奥へ歩き続けた。ほとんどが遠い集落から学校へ通っていたから歩くのは苦ではない。やがて、校庭の運動場ほどのススキの原っぱに着いた。背丈を超えるススキの野原である。この藪のどこかに野ウサギがいるらしい。おにぎりと卵焼きの昼飯だった。美味しかった。透き通る青空の下みんな輝いていた。二クラスの生徒数だった。バレーのネットの両端を起点にほぼ楕円状に全員がススキの藪に入った。隣とは2m位を保った。そして用意していた枯れ枝木で藪を叩きながらネットの方向にみんな進んだ。うわー、声出すな、うさぎ驚くからな、皆興味シンシンだった。こんな遠足は今日は実現できないだろう。心打つ体験なくして豊かな心情は育まれないだろう。どんなにAIが進化しても・・・・