時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

四たび、悲しみのウクライナ

2014-04-07 22:08:33 | リビア・ウクライナ・南米・中東
朝鮮新報の記事より

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クリミア半島のロシア連邦編入を巡って、欧米メディアは
ロシアを「悪」に仕立て上げ、米国はEUなどを取り込んで
対ロ制裁を発動、G8からの永久追放を示唆するなど、
反ロシアキャンペーンに躍起になっている。


●何が起きているのか

昨年末、ウクライナのヤヌコビッチ大統領が、
予定されていたEUとの自由貿易協定を柱とした連合協定の調印を見送ったことから
「抗議デモ」が発生、後に外部から武器が持ち込まれ銃撃戦にまで発展した

反乱側は、ヤヌコビッチ大統領を追放、メディアを乗っ取り、
市議会を襲撃、議会を占拠
してついに政権を奪取した。

欧米メディアはこれを「市民のデモ」によって腐敗した政権が
倒された「市民革命」であるかのように報じたが、
実際には米国がウクライナの極右勢力を操って起こしたクーデターだった

米国がウクライナで親ロ政権を転覆させ親欧米傀儡政権を
発足させたのは2004年の「オレンジ革命」に続いて2度目。

これに関与しているのはCIA、ジョージ・ソロス(財団)、
NGOの看板を掲げた様々な謀略機関、軍産複合体とつながっている
超タカ派のジョン・マケイン上院議員(元大統領候補)などの人物である。

自国の利益にそぐわない政権を転覆させるのは米国の常套手段。
取って代わる親米政権を担うのはどんな人物、勢力でも構わない。


●新政権の本質

米国にとって、ウクライナはロシアを封じ込めるための
戦略的要衝地の一つ。だが、新政権の要となる
「スヴォボダ(自由)」は実は欧米にとっても両刃の剣だ。
というのは、この集団が反ロシアだけでなく、反ユダヤ主義、ネオナチだからだ


注目すべきは、ウクライナの現実だ。この国は東西で民族、
政党構成がはっきり区別される。西はウクライナ人が多数で、
東はロシア系が多数派。西はユダヤ人大量虐殺という負の歴史的遺産を負っている。
また、原発事故で有名な「チェルノブイリ」がある。
一方、東は穀倉地帯、資源に恵まれている。

「西」に属する超保守勢力がEU、NATOに取り込まれれば、
いずれウクライナがギリシャのような存在になるのは目に見えている。
「東」はそうなることを拒否し、ロシアが関与しなくても
分離独立の動きが表面化するものと思われる。

「西」の首都・キエフの新政権が、大統領選挙を経て、
ウクライナ人だけのための極端な国粋主義政策を取れば内戦になる可能性が高い。
「親ロか親欧米か」は虚構なのだ。そのことを西側は隠している。


●クリミア独立、ロシア併合

欧米側は、クリミア自治共和国で行われた分離独立を問う住民投票自体を無効とし、
ロシア編入を「侵略」「泥棒」と猛攻撃している。だが、これは有効であり合法である。

というのも、この半島に住むロシア系(58.32%)ウクライナ人(24.32%)
タタール人12.1%、その他(6%)の有権者の83.1%が投票し、
96.77%が賛成(反対は2.51%)したからだ。欧米メディアは、
タタール人もウクライナ住民もロシア連邦編入に反対していると強調しているが嘘である。

欧米諸国は、東チモール、南スーダン、コソボの分離独立を支持し後押ししたが、
これはそれぞれ、イスラム国家、反米的国家、親ロ国家の分断、弱体化が目的だった。
典型的な二重基準だ。ロシアをいわゆる「自由主義」陣営に取り組み解体すべく
G7をG8に拡大したものの、その目論見は外れた。
そもそも、G7もG8も時代遅れの遺物であることが奇しくも再証明される事態となった。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/04/47sk-3/
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当サイトではウクライナ情勢について、何度か取り上げてきましたが、
そのまとめとも言える記事が朝鮮新報にアップされました。

ここ数カ月の状況を簡潔にまとめた良い記事だと思います。
これをなぜ朝日や週刊金曜日、赤旗ができないのか……


追加してコメントするならば、実はウクライナのここ最近の民主化運動は、
アメリカの国防省やCIA、これらと関係が深い人権団体に支援されている
ということです。

例えば、フリーダムハウスという人権団体。
この団体の会長は2004年のオレンジ革命当時、
元CIA長官のジェームズ・ウールジー、その理事や支援者には
クリントンやオバマ、ブレジンスキーと大物政治家、官僚がいます。

このフリーダム・ハウスをはじめとしたアメリカ政府が用意した
人権団体が現地の反政府運動を支援・訓練し……つまるところ、
アメリカ政府に誘導される形式で「民主化」運動が進んだわけです。


現在のアメリカは、CIAのようなテロに武器や戦闘技術を与える北風の方式
ではなく、人権団体を通じて現地の民族主義者に非暴力的な暴動を起こす
手段を教え、また促す太陽方式へと路線を変えて工作を行っています。


日本でも維新の会に属する議員がチベットやウイグルの民族主義者と
結託して中国をバッシングするキャンペーンを行っていますが、
それがもっと本格的に行われているものと思ってください。

私は、人権という思想は現代のキリスト教だと捉えていますが、
それは大航海時代、南米のインディオの暮らしを「野蛮」と称し、
キリスト教に帰依させ、「文明」化させていった西洋人の独善的な行為と同じことが
今、民主主義や人権擁護の名の下に行われているから
です。
(イラク、アフガニスタン、リビア、そしてウクライナへの侵略行為を見よ)

この手の民主主義者や人権思想家がいかに弱国にとって有害かは
言うまでもありません。そして、そういう輩の筆頭に挙がるのが
アラブの春を先導したジーン・シャープ(米国の政治学者)ですが、
彼は、なんとノーベル平和賞の候補者にも上っているのです。


なぜか彼が批判する国は、ことごとく同時期にアメリカ国務省が
政権交代を望んでいる国と一致している
のですが、
こういう方がノーベル平和賞を取れるかもしれないという時点で、
どこの国にとっての平和なのかは一目瞭然なのかもしれません。


ちなみに、過去のノーベル平和賞受賞者。

セオドア・ルーズベルト→棍棒外交で有名な大統領。
            南米にとっては恐ろしい征服者だった。

ウッドロー・ウィルソン→国際連盟の提唱者。
            同じく、南米にとっては(以下略

バラク・オバマ→NATOによるリビア空爆の張本人。アフガン派兵を遂行中。


面積の点でも、人口の点でも、世界の大部分は第3諸国が占めています。
彼らをないがしろにする平和。それは、はたして本当の平和と言えるのでしょうか?


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