時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

イルカ追い込み漁について一言

2015-05-26 00:19:29 | ザ・コーブ
イルカ追い込み漁で捕獲されたイルカを水族館に売却してはならないようになった。

速報されたわりには、大事になっていないなと思っていたら、
2、3日が経過して、保守系メディアを中心に騒ぎが起きている。

間違いなく今後、池上彰がいつもの頓珍漢な解説をして大衆の思考力を奪うだろうが、
一言言えば、イルカ追い込み漁はイルカの捕獲がメインである事業で、
今回の措置はかなり苦しいものだったと思われる。


なにせ、イルカを生け捕りするだけで、1500ドルの大金が得られるのである。


現在、若くて傷を負っていないイルカは生け捕り以外に入手することができない。

しかも、一日に長距離を遊泳し、音に敏感なイルカが、狭い水槽に入れられ、
人間の歓声に囲まれながら芸を行うのだから、ストレスですぐに死んでしまう。

当然、需要は相当にあるわけだ。


イルカ・ビジネスはロー・コスト(沿岸漁業なので石油がかからない)、
ハイ・リターン(1頭1500ドル。傷つきは食肉として販売)のボロい商売なのである。




このイルカ・ビジネスを暴露したのが『ザ・コーヴ』だった。

追い込み漁の盗撮だけピック・アップされるが、実際には、
イルカ・ビジネスの構造と、食肉偽装(※)の解説に時間が取られている。


そもそも、イルカ調教師が行っている保護運動なのだから、
当然、水族館ビジネスに対する反対が活動のメインになっているのは馬鹿でもわかる。



それを理解せず、誇り高き日本人が的外れの批判をやっている間に、
国際社会は大きく動いていたというわけだ。



今回の措置は追い込み漁自体を規制するものではないので、強い批判ができない。
太地町をはじめとした「伝統」や「文化」を強調する連中を封じる上手い手だったと思う。
(水族館だけでなく動物園も巻き込んだのも良かった)


追い込み漁を隠れ蓑に世界の水族館にイルカを売りさばいてきた太地町。


皮肉にも、「伝統」や「文化」を前面に押し出し事業の倫理性を正当化したために、
彼らがもっともやりたかった事業が撤退に追い込まれてしまった。大失態である。


採算が取れなくなる可能性大である以上、
今後、追い込み漁自体も規模を縮小せざるを得ないだろう。






※イルカを鯨として販売している。イルカは小型ハクジラの通称だから、
 間違いではないが、それでも勘違いして買う客はそれなりにいるだろう。


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