時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

元産経新聞ソウル支局長提訴について

2014-11-29 20:41:09 | マスコミ批判
石じゃなくてよかったね」ぐらいしかないのだけれど、
日本では新聞やテレビも含めて大げさに報道しているので少々驚いた。


特に言論弾圧と本気で語っている人々にはちょっと疑問。

確かに今回の提訴はパク・クネ政権の悪いくせ、
気に入らない人間は無理やりどうにかしてしまえという部分が
よく表れたものだったと思う。

だが、こう言ってはなんだが、産経新聞は前々から
アジア(特に中国や韓国)に徒に敵意を抱かせる記事を再三書き続けてきた極右メディアだ。

申し訳ないが、他国へ対する戦争犯罪への隠ぺい工作を
長年し続けたメディアにたいして、私はさほど擁護する気が起きないのである。

今回の事件は要するに詐欺師が詐欺容疑で捕まったようなものであり、
慰安婦ではなくパク・クネが攻撃されて初めて動くあたり、
かの政権の邪悪な部分がよーくわかるものの、かといって、
産経が相対的にも絶対的にも正義になるわけではない。


また、今回の事件を大きく取り上げる連中には、
次の記事を読んでから堂々と批判してもらいたい。


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「慰安婦」問題の報道に関わった朝日新聞の元記者2人が身の危険にさらされている。

毎日新聞20日付によると、元記者にとどまらず、
その家族や職場の大学生たちまでもが標的となっている。


長女の写真と名前がネット上にさらされ
「売国奴の娘」「自殺するまで追い込む」などと中傷。



職場には「大学を爆破する」などという
電話やメール、脅迫文が送りつけられたという。卑劣極まりない行為だ。



総聯の機関にも、ことあるごとに脅迫文や刃物などが送りつけられ、
朝鮮学校の生徒たちがチマ・チョゴリを切り裂かれるなどの被害が多発した

このようなことに鑑みると、今の日本社会の殺伐とした空気は他人事とは思えない



「朝鮮人を殺せ」と白昼堂々と街中でがなり立てるヘイトスピーチ。

在特会などの極右集団は、決して許されるものでないこのような行為を
「言論の自由」を盾にして繰り返してきた。

今回、得体の知れない者たちは
その名分までをも捨て、意に沿わない言論を暴力で封殺しようとしている。



今年7月、ジュネーブでの国連人権規約委員会対日審査では、
日本で公然となされているヘイトスピーチの様子が映像で流され、
委員たちは愕然としたという。


最終見解では、このような行為を取り締まる法規制を促した。

しかしながら安倍政権には根本問題解決に本気で取り組む姿勢は感じられない。
社会の右傾化とともに手口も益々エスカレートしている。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/10/il-394/

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つまり、私が言いたいのは、

政府の弾圧はNoだけど、社会の抑圧はGoなのか?ということ。


なぜに、国外の正直、どうでもいい極右の裁判は取り上げて、
今、この国の中で起きている弾圧に対して大きな声をあげないのかということだ。

現在、問題の朝日の元記者は、当初は大学側も共闘することを
表明していたのだが、入学者数に影響が出るからという
金の理由で今、職場から追い出される状況に陥っているのだとか。


日本人の時事問題に関する見識の低さは
大学のこういう部分にもあると思う。



良識が金の前に簡単に敗れ去ってしまう。

本来は、アベノミクスにしたって、歴史問題にしたって、
まともな見解を述べる人間を雇い、彼らの生活を保障するものなのに、
実際は逆のことをやっていて、しかも一応左翼に属する連中も、
私が再三批判しているように、右翼にとっては屁でもない反対論、
彼らにとって致命的な弱点を突く批判に達していない。

挙句の果てが、保守派の政治家や学者と協力するものだから、もう何が何やらで、
悔しいことにアマチュアのほうがマトモな意見を述べていることも少なくない。


日本ではサイードやチョムスキー、イングドール、スティグリッツ
(全員、アメリカの学者であり、自国の外交政策や経済政策に異を唱えている)
のような学者は今後、生まれないのではないか?

現在、サイードらのような良識派の学者は弾圧されるまでもなく、
発表する場を奪われ、流浪の民として、つまり期限が過ぎれば
解雇される非正規教員として日本で生きざるを得ないのだから。


弾圧には二種類あると思う。

一般的にイメージされるのは、政府による弾圧。これはよく報道される。
だが、社会の差別に与して弱者を守らないという形の
自らの手を介さない弾圧は、あまりにも軽視されてはいないだろうか?


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