グリーンピースからの記事。
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1、低迷する鯨肉需要
南極海での調査捕鯨のクジラ捕獲枠は、合計で約1000頭程度。
国の委託を受ける財団法人 「日本鯨類研究所(以下、鯨研)」が、
クジラを南極海の船上で解体・商品用に箱詰めし、
日本に帰港後にそのまま食肉として販売し、次年の捕鯨の財源にしている。
これが国際的に「商業捕鯨だ」と批判される理由だ。
しかし、鯨肉の需要は低迷し、2012年9月末の段階で在庫は5637トンまで膨れ上がった。
年間3000トン前後が国内の鯨肉消費量とされているため、
在庫が年間消費量の約2倍近くまで増えたことがわかる。
この在庫が、鯨研の資金繰りを悪化させ、2011年9月末、
鯨研は8.7億円の債務超過に陥った。これは1987年の鯨研設立以降初めてのことだった。
2、現実的ではない商業捕鯨再開と補助金50億円依存
もともと「商業捕鯨の再開」を目指して開始されたのが南極の調査捕鯨事業だ。
しかし、30年近くが経ち、鯨肉の国内需要が下がり続ける中、
南極海まで大型船団を送るという莫大な経費を伴う捕鯨が商業的に成り立つことはなくなった。
実際、鯨研は年間50億円程度の予算を組んで調査捕鯨を行ってきたが、
これまで毎年受けてきた7億円~10億円程度の国庫補助金に加えて、
2012年度からは約45億円(鯨類捕獲調査改革推進集中プロジェクト)
という多額の補助金を追加で受けることで事業を維持しているという。
補助金を投じて「調査捕鯨」を維持し続けることで
逆に「商業捕鯨の再開」が不可能であることを証明してしまったというわけだ。
今では、「調査捕鯨を維持すること」が目的となっている。
2012年には、大震災の復興のために使われるべき23億円もの税金が
鯨研の借金返済に使われていたことをIKANやグリーンピースが暴露して
会計審査院へ告発した。会計検査院は2013年に
その使途が不適切であったと結論付けている。
それ以前にも調査捕鯨には、天下り、不正な鯨肉流通など
様々な問題が指摘されてきた。その度に「捕鯨は伝統だ」という
プロパガンダで何とかその批判を避けることに成功してきた経緯がある。
しかし、補助金依存が高まり、復興予算まで食い潰す調査捕鯨を
「純粋な科学」というのは国際的にも、国内的にも無理がでてきた。
そもそも、南極海で日本が捕鯨を始めたのは1930年代で、
当初は戦費をかせぐために鯨油をヨーロッパに販売することを
目的としていたのだから、伝統とは程遠い。
3、国際情勢と日豪関係
これまでの日本政府は、捕鯨は日本の伝統文化であり、
南極の調査捕鯨は国際法に違反していないという主張に固執してきた。
その挑発的な発言のたびに、南極海に近いオーストラリアや
ニュージーランドだけではなく欧米諸国との外交問題となっていた。
そして、2010年にオーストラリアが国際司法裁判所に
日本の捕鯨が違法であると訴えるところまでエスカレートしたというわけだ。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/48718/
------------------------------------------------------(引用終わり)
少々、古いニュースになりましたが、一応コメントを。
グリーンピースが指摘しているように、日本の捕鯨が批判されているのは、
捕鯨禁止区域である南極で調査のためと称して捕鯨を行い、
あまつさえ、その肉を商品として販売しているからです。
歴史的には、クジラ肉が食用として全国的に利用され始めたのは、
戦後まもない食料が不足していた1940年代からであり、
実はクジラ肉の歴史は思ったより浅い。
(どちらかというと、クジラは工芸品や油の原料として捕られていた)
また、クジラを神聖な動物として殺傷を禁じた地域も存在しており、
日本文化=捕鯨文化とみなすのは早計です。
結論を述べれば、確かにクジラは日本で捕獲されてはいたが、
それは非常に限定された地域であったということです。
この点でいえば、捕鯨を食文化の視点から擁護するのは
かなり無理があると言わざるを得ません。
また、鯨研は研究機関でありながら、クジラ肉を販売する企業でもあり、
その経営陣には農水省のお役人が天下りをしている。図に表わすとこうです。
この官僚と研究者と自治体がグルになって
利益を貪る構造というのは、実は原発と同一のものです。
原発は安全神話を振りまいた挙句、あの事故を起こしましたが、
捕鯨も「クジラは、たくさんいるから乱獲ではない」と主張しています。
私は、熱烈な反捕鯨論者というわけでもありませんが、
日本の捕鯨が上手くいかないのは、真剣に乱獲を防ぐ努力を放棄し、
日本の利益のみを追求してきたからだと思います。
クジラに限らず、イルカ、ウナギ、クロマグロと、
漁業における日本の乱獲主義は歯止めがかからない状態です。
必要最低限の量を捕り、かつ永続的に捕獲できるだけの
生態系の保護を同時に行わなければなりませんが、
それを真面目に行ってこなかったツケが今になって表れている。
このままでは、放っておいても
捕鯨はいずれできなくなると思います。
歴史的にいえば、シロナガスクジラがそれで、
日本も含めた各国が手当たり次第に殺すものだから、
今では絶滅危惧種となって捕鯨が禁止されています。
シロナガスクジラが取れなくなったから、
ミンククジラを取るというのが今の日本のスタンスです。
鯨研をはじめとして捕鯨論者は現在、捕獲している
ミンククジラは数がたくさんいると称していますが、
実は科学的な根拠はありません。
このままで行けば、ミンククジラが少なくなれば、
また別のクジラを取ればいいとなってしまうのではないでしょうか?
(現にウナギはそういう路線になっている)
今回の判決をきっかけに、もう少し冷静に生態系を壊さない漁業を
考えていくように変わってほしいのですが…まぁ多分無理でしょう。
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1、低迷する鯨肉需要
南極海での調査捕鯨のクジラ捕獲枠は、合計で約1000頭程度。
国の委託を受ける財団法人 「日本鯨類研究所(以下、鯨研)」が、
クジラを南極海の船上で解体・商品用に箱詰めし、
日本に帰港後にそのまま食肉として販売し、次年の捕鯨の財源にしている。
これが国際的に「商業捕鯨だ」と批判される理由だ。
しかし、鯨肉の需要は低迷し、2012年9月末の段階で在庫は5637トンまで膨れ上がった。
年間3000トン前後が国内の鯨肉消費量とされているため、
在庫が年間消費量の約2倍近くまで増えたことがわかる。
この在庫が、鯨研の資金繰りを悪化させ、2011年9月末、
鯨研は8.7億円の債務超過に陥った。これは1987年の鯨研設立以降初めてのことだった。
2、現実的ではない商業捕鯨再開と補助金50億円依存
もともと「商業捕鯨の再開」を目指して開始されたのが南極の調査捕鯨事業だ。
しかし、30年近くが経ち、鯨肉の国内需要が下がり続ける中、
南極海まで大型船団を送るという莫大な経費を伴う捕鯨が商業的に成り立つことはなくなった。
実際、鯨研は年間50億円程度の予算を組んで調査捕鯨を行ってきたが、
これまで毎年受けてきた7億円~10億円程度の国庫補助金に加えて、
2012年度からは約45億円(鯨類捕獲調査改革推進集中プロジェクト)
という多額の補助金を追加で受けることで事業を維持しているという。
補助金を投じて「調査捕鯨」を維持し続けることで
逆に「商業捕鯨の再開」が不可能であることを証明してしまったというわけだ。
今では、「調査捕鯨を維持すること」が目的となっている。
2012年には、大震災の復興のために使われるべき23億円もの税金が
鯨研の借金返済に使われていたことをIKANやグリーンピースが暴露して
会計審査院へ告発した。会計検査院は2013年に
その使途が不適切であったと結論付けている。
それ以前にも調査捕鯨には、天下り、不正な鯨肉流通など
様々な問題が指摘されてきた。その度に「捕鯨は伝統だ」という
プロパガンダで何とかその批判を避けることに成功してきた経緯がある。
しかし、補助金依存が高まり、復興予算まで食い潰す調査捕鯨を
「純粋な科学」というのは国際的にも、国内的にも無理がでてきた。
そもそも、南極海で日本が捕鯨を始めたのは1930年代で、
当初は戦費をかせぐために鯨油をヨーロッパに販売することを
目的としていたのだから、伝統とは程遠い。
3、国際情勢と日豪関係
これまでの日本政府は、捕鯨は日本の伝統文化であり、
南極の調査捕鯨は国際法に違反していないという主張に固執してきた。
その挑発的な発言のたびに、南極海に近いオーストラリアや
ニュージーランドだけではなく欧米諸国との外交問題となっていた。
そして、2010年にオーストラリアが国際司法裁判所に
日本の捕鯨が違法であると訴えるところまでエスカレートしたというわけだ。
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/dblog/blog/48718/
------------------------------------------------------(引用終わり)
少々、古いニュースになりましたが、一応コメントを。
グリーンピースが指摘しているように、日本の捕鯨が批判されているのは、
捕鯨禁止区域である南極で調査のためと称して捕鯨を行い、
あまつさえ、その肉を商品として販売しているからです。
歴史的には、クジラ肉が食用として全国的に利用され始めたのは、
戦後まもない食料が不足していた1940年代からであり、
実はクジラ肉の歴史は思ったより浅い。
(どちらかというと、クジラは工芸品や油の原料として捕られていた)
また、クジラを神聖な動物として殺傷を禁じた地域も存在しており、
日本文化=捕鯨文化とみなすのは早計です。
結論を述べれば、確かにクジラは日本で捕獲されてはいたが、
それは非常に限定された地域であったということです。
この点でいえば、捕鯨を食文化の視点から擁護するのは
かなり無理があると言わざるを得ません。
また、鯨研は研究機関でありながら、クジラ肉を販売する企業でもあり、
その経営陣には農水省のお役人が天下りをしている。図に表わすとこうです。
捕鯨の利権構造
↓
農水省→天下り先の確保
研究者→研究費の確保
自治体→補助金の確保
↓
農水省→天下り先の確保
研究者→研究費の確保
自治体→補助金の確保
この官僚と研究者と自治体がグルになって
利益を貪る構造というのは、実は原発と同一のものです。
原発の利権構造
↓
経産省→天下り先の確保
研究者→研究費の確保
自治体→補助金の確保
↓
経産省→天下り先の確保
研究者→研究費の確保
自治体→補助金の確保
原発は安全神話を振りまいた挙句、あの事故を起こしましたが、
捕鯨も「クジラは、たくさんいるから乱獲ではない」と主張しています。
私は、熱烈な反捕鯨論者というわけでもありませんが、
日本の捕鯨が上手くいかないのは、真剣に乱獲を防ぐ努力を放棄し、
日本の利益のみを追求してきたからだと思います。
クジラに限らず、イルカ、ウナギ、クロマグロと、
漁業における日本の乱獲主義は歯止めがかからない状態です。
必要最低限の量を捕り、かつ永続的に捕獲できるだけの
生態系の保護を同時に行わなければなりませんが、
それを真面目に行ってこなかったツケが今になって表れている。
このままでは、放っておいても
捕鯨はいずれできなくなると思います。
歴史的にいえば、シロナガスクジラがそれで、
日本も含めた各国が手当たり次第に殺すものだから、
今では絶滅危惧種となって捕鯨が禁止されています。
シロナガスクジラが取れなくなったから、
ミンククジラを取るというのが今の日本のスタンスです。
鯨研をはじめとして捕鯨論者は現在、捕獲している
ミンククジラは数がたくさんいると称していますが、
実は科学的な根拠はありません。
このままで行けば、ミンククジラが少なくなれば、
また別のクジラを取ればいいとなってしまうのではないでしょうか?
(現にウナギはそういう路線になっている)
今回の判決をきっかけに、もう少し冷静に生態系を壊さない漁業を
考えていくように変わってほしいのですが…まぁ多分無理でしょう。