時事解説「ディストピア」

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自費出版について

2014-11-22 22:00:11 | 出版・ジャーナリズム論
日本を代表する民族学者、柳田國男の代表作『遠野物語』は当初自費出版の形で売られた。
350冊の内、200冊は自分で買い知人に送り、残り150冊が売れたのだとか。

出版不況が叫ばれて久しいが、やはり本は昔から売れないようである。


とはいえ、ピーター・ラビット・シリーズのように自費出版から
ベスト・セラーになったケースはあるし、昨今の書店に並ぶ本の
低レベルっぷりをみると「俺のほうが良い本を書けるぞ」という気は出てくるものだ。



そういう自分の本を売りたい、有名になりたいという
心につけこんだ詐欺的な商法が展開されているらしい。


http://www.publimate.net/knowledge/trouble.html

特に漫画しか読めないアホな右翼向けに書いた小林よしのりの『戦争論』や
やしきたかじんについて出鱈目な内容ばかり書いて今ちょっとピンチな百田尚樹の
『殉愛』など、いい加減な内容をベストセラーにすることで有名な幻冬社


どうも、自費出版でも汚い商売をしているようだ。



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Dさんは2009年10月に幻冬舎ルネッサンスと出版契約を交わし、
約250万円の制作費を2回に分けて支払いました。

また、契約直後からブログを始め、
制作の様子や担当者とのやりとりなど、折に触れブログに書いていました。

編集に際し不満に思ったことは、
編集者がイラストレーターに誤った発注をしてイメージと
異なるイラストになり、文章の修正を求められたことです。


2010年2月に、本の校了を認める印鑑を押しに来てほしいと言われて
会社に行った際、「ドラマ化できる作品」「次回は商業出版で」
「誰も描いたことのない作品」などと言って持ちあげられました。


2010年4月、刊行直後に本の売り方などについて質問したのですが、
担当者からは冷たい事務的な返事しかなく、この頃から信頼できなくなっていきました。

11月になるとネット書店に本が配本されなくなったために担当者に聞くと、
新刊ではなくなるため書店にあまり流通しなくなるとの説明がありましたが、
契約時にはそのような説明はありませんでした。


その後、幻冬舎ルネッサンスのHPに掲載されている
「著者たちのその後」というコーナーについて批判的な感想を
ブログに書いたところ、ブログが炎上しました。

これを契機に自費出版社の問題点などについて発言し、
担当者に疑問について答えてほしいと依頼したところ、
「社内で検討して、年明けにお返事します」とのことでした。


翌年早々、「Dさんの作品を社内で検討しましたところ、
大変面白いので販売にも、今後いっそう力を入れていくことになりました。
実は以前から検討してはいたのですが、著者さんを期待させてはいけないので、
今まで黙っていました」との電話があり、疑惑の追及は沈静化。

次の作品へ意欲を燃やすようになり、本として刊行した作品を
ウェブ掲載する方向で続編の執筆にとりかかりました。

4月に、担当者には、もう二度とやりとりをしないと連絡をしました。


ところが、担当者から「幻冬舎ルネッサンスで本を出した
著者さんの悪口をブログに書いている」という全く身に覚えのない
クレームが電話であり、担当者に問い詰めると、原稿を読まずに
持ちあげていたことを認めました。このようなことがあり、
この会社の問題点を知らせるべくブログに詳細を綴りはじめました。


その後、会社を訪問したところ
「Dさんのことは弁護士に一任してあります。お引き取りください」
と言って威圧され、月末には法律事務所からブログの即時削除を
求める内容証明郵便が届きました。そこには、これ以上誹謗中傷を
書くと刑事事件として訴えるとの記述もありました。

Dさんはその内容証明郵便をスキャニングして
ブログに画像として貼り付けて、読者に説明しました。


しかし、脅しや内容証明によって情緒不安定になり、
5月はじめにブログを削除してしまいました。

そして、新たにブログを立ち上げて、
事実を淡々と書き始めたところ、
再度、ブログを削除するようにとの内容証明郵便が届き、
書籍の流通ストップと契約の解除まで言い渡されました。


~続きはここで~
http://nakusukai.exblog.jp/15936142
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おそらく、こちらの方のケースだと思われる。

http://ameblo.jp/sakainichika/entry-11931356483.html
http://ameblo.jp/sakainichika/entry-11450153045.html


他にも、こういうページも発見した。
http://blog.goo.ne.jp/92freeedition44/c/3550ad06f3565cd369e683d710dc7e2e
http://blog.goo.ne.jp/92freeedition44/e/829a651ed72c58f985b1c8c9c02f8d6e



出版に関して言えば、原稿の持ち込み自体、漫画や小説を除いては
あまり受け付けられていないし、自費出版の場合、費用が高い(200万ぐらい)。

下手をすれば車が1台買えるレベルだ。しかも、それで売れる見込みはない。
仮に増刷できたとしても、その著者が論壇で活躍できる保証もない。


まるでギャンブルだ。
株券を買ったほうがまだマシかもしれない(一応、配当金は得られるので)。



こういう状況の中、自分の本を書いて売るということは、
相当、編集者や読者に媚びない限り、難しいと思う。


冷静に自分が本を売る側に立ったとして、
無名の人間の本を2000冊売るというのは相当厳しいものである。


有名教授やジャーナリストの場合、弟子や同僚、講演にきた客などに著者本人が
売りつけることで元手をある程度とることはできる。しかし、素人にそれは厳しい。


百田や池上のような合法詐欺師の畜生どもが跋扈できるのも、
彼らに知名度とコネがあり、売れる本を書いてくれるからだろう。


会社としては利益を挙げないと倒産するわけで、
内容そのものに問題がある嘘が交じりまくっている本であろうと、
確実に買い手が存在するなら優先的に売りたいと考えるのは当然のことだと思われる。


しかし、それが逆に出版社の首を絞めているような気もする。

というのも、実際のところ、書店に並ぶ本を見ると、
知名度とコネしかなく、きちんとした情報を提供してくれる著者が
絶対的に不足しており、そいつの信者ぐらいしか買い手が
いないんじゃないか、本当に出版社は売る気があるのかと
疑問に思わざるを得ない本が山ほどあるからである。


つまり、有名であるということ(信者がいること)と中身があることは
別問題なのに、前者を優先した結果、中身がない本なのに、
有名教授やその知り合いならタダで著者になれてしまうという
典型的な悪しきコネクション・システムが当たり前になってしまったのである。


いくら一定の売れる見込みがあろうと、中身のない本ばかり
売りつけられては、一般の読者は買わないし、かえって信用を失ってしまう。

私が朝日を読むのをやめたのも、ネットの赤旗や朝鮮新報、
北京週報、ロシアの声等々のニュースサイトのほうが読んでて面白いからだ。
正直言って、朝日の記事は金を出してまで読むレベルではない。


また、中身がないということは、ネットで読めるような内容と文章ということであり、
当然の結果、本を買うよりスマフォやPCで無料で情報を取得されることになる。


一見売れているように見える右翼本が実はその大半が利益を上げるのに苦戦しているのも、
デタラメを書いて周囲を煽るような文章なら、まとめブログを読むほうが安上がりだし、
コメント欄に自分の文章を投稿することもできて、面白いというものがある。


このネット時代、ツイッターやライン、ブログ、フェイスブックなど、
読者は読むだけでなく書くという欲求があるのに、出版社はそれに答えず、
書きたい人が多く並ぶ中、門戸を閉めて、金を差し出すことだけを要求する。


それが売れない本当の理由である。



簡単に言えば、

不味くても信者がいるラーメンを優先して売る

「これぐらいなら家で作ったほうがマシ」と信者以外の人間が自分で作り始める。

アマチュア店が乱立。プロを差し置いて客を取りまくり、大繁盛する。

プライドが邪魔してアマチュア料理人を雇えない。
(アマは雇ってくださいと日々応募してくるにも関わらず)

そのくせに、有名料理人の弟子や知り合いばかり採用する。
ラーメンの味よりも、料理人の知名度を優先してしまう。

結果、不味いラーメンしか作れなくなる。

アマのほうが上手いラーメンを作るようになる。さらに客を取られる。

ラーメンが売れない。常連客だけでなんとか持ちこたえている。
店によっては潰れる。大半が潰れかかっている。

こういう状況である。本に限らず、音楽もそうで、
今やDTM技術の発展(高い機材やプロデューサーなしに本格的な曲が作れる)と、
動画投稿サイトの誕生(レーベルを通さず、自作品が発表・宣伝ができる)によって、
音楽は買って聴くのではなく、サイトで聴くものへと変わっている。

売れているCDなど、信者が異常に多い有名アイドル・グループか
アニメーションの主題歌(ヲタクが買ってくれる)ぐらいしかない。悲しい話だが。


ごちゃごちゃ書いたが、自費出版のトラブルや出版の不況の根底にあるのは、


「本の執筆にはコネクションが大きく絡み、一般人が自分の希望で
 本を出版することができない(書きたいと思っても書かせてくれない)
 一方で、コネさえあれば、どんなクソみたいな内容でも書かせてもらえる」


「本来、本は万人に向けて売るものなのに、実際は著者の支持者が
 喜ぶような内容しか書かせてくれない。売ろうとしない」という問題だと思う。


特に前者の著者選びが完全にコネで決まっていて、誰が本を書くかは
編集者の気分次第だということ、それが結果的に質の低下を招きがちなことは、
新聞やテレビ、本や雑誌に対して近年強まりつつある不信感を抱かせている。


前述したように、市民は今、かつてと違って書くための技術と他者に読ませる手段、
つまりスマフォやPCなどのコミュニケーション・ツールを得ている。

そうある以上、今後の出版業界は書きたいという市民の要求に応え、
自費出版という実は出版した自分の本全部を買うよりも多額の費用を
出費させる悪徳商法以外のアプローチ、つまり積極的なアマチュアライターの
発掘に賭けるしか生存の道はないのではないかと思う。

現実問題、アマチュア作家の本は売れないのだけれど。

どのみち、自費出版や共同出版をするぐらいなら、
ブログで発信したり、原稿持ち込みをしたほうがマシなんだろう。きっと。


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