時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

オバマ大統領と天皇陛下の宮中晩餐について

2014-04-24 22:44:53 | 日本政治
NHKのサイトより。

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国賓として来日したアメリカのオバマ大統領を歓迎する
宮中晩さん会が、まもなく皇居宮殿で始まります。

オバマ大統領は、先ほど今夜7時すぎに
皇居宮殿の「南車寄」に到着し、出迎えた天皇皇后両陛下と
あいさつを交わして宮殿に入りました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140424/k10014007611000.html
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朝日新聞の記事より。


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天皇、皇后両陛下は24日夜、国賓として来日した
オバマ米大統領を歓迎する宮中晩餐(ばんさん)会を皇居・宮殿の豊明殿で開いた。

安倍晋三首相ら三権の長や
元大リーガーの野茂英雄さんら168人が出席し、平成に入り最大規模となった。


天皇陛下は乾杯に先立ち、東日本大震災時に
2万超の米国軍が参加した「トモダチ作戦」などの支援に謝意を表明し、
「物のない厳しい環境にあった被災者にとり、大きな支えとなりました」と語った。


また、太平洋戦争を踏まえ
「両国民は、先の戦争による痛ましい断絶を乗り越え、
緊密な協力関係を築きました」と述べ、「来し方を振り返り、
互いの理解を一層深め、相携えて進んでいくことを願ってやみません」と話した。

http://www.asahi.com/articles/ASG4S4GHPG4SUTIL014.html?iref=com_alist_6_02
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このように、微笑ましい雰囲気で報道されているのですが、
確か私の記憶が正しければ、
2009年の中国の習近平副主席と天皇陛下が対談した時には
猛反対されていましたよね?




ウィキペディアにまとめがありますので、それを引用しましょう。


『産経新聞』→「“政治主導”という名のもとによる“天皇陛下の政治利用”である」

『毎日新聞』→「天皇の政治利用とも受け取られかねない」

『西日本新聞』→「“天皇の政治利用”という疑念さえ生んでおり、
          宮内庁の訴えを聞くべきであり、
          厳守されてきたルールは過去の“政治利用”による
          苦い教訓をもとにしたものであるので踏み外すべきではない」

『読売新聞』→「天皇陛下が時の政権に利用されたと
        疑念が持たれるようなことは厳に慎むべきであり、
        その基本を現政権はわかっていないのではないか」

『中日新聞』→「政治利用との疑念が持たれるようなことは厳に慎むべきだった」

『朝日新聞』→「天皇と内閣の微妙な関係に深く思いを致した上での判断にはみえない。
        国事に関する天皇の行為は内閣が決めるからといって、
        政権の都合で自由にしていいわけがない」


『沖縄タイムス』→「外国要人との会見は、国事行為ではない。
          内閣の責任の下でなされ政治的な性質を持たない
          公的行為とされる。」
         「友好親善のための公的行為が政治化してしまった」

(以上、http://ja.wikipedia.org/wiki/天皇特例会見を参考に作成)


・・・・・・今、安倍政権がやっていることは、彼らに言わせれば、
アメリカとの友好関係を深めるために陛下に接客させる行為であり、
思いっきり天皇の政治利用に当たるのでは?



私は、てっきり、「陛下にご機嫌取りをさせるなど言語道断!!!」と
政治家やメディアも怒り心頭に発するもんだと思っていました。


「今回は国賓として招いたから特別なのだ」とか
「前回は一カ月ルールを民主党が破ったからだ」とか言い訳はあると思います。

しかし、上で挙げた各メディアは、突き詰めれば
「天皇の政治利用」に反対していたはず
です。



ならば、天皇とオバマを一緒に食事させて、
日本とアメリカは仲が良いんだよと内外にアピールするパフォーマンスにも、
いくら公的行為に当たるとはいっても、もっと怒ってもいいはずです。


この態度の違いは一体なんなのでしょう?


一つには、日本人が持つ人種差別にあると思います。

東洋の猿ごときに天皇陛下を会わせるのは我慢ならんということです。
大日本帝国の時代から、アジアには蔑視、欧米には尊敬の
二種類の態度をとってきた我が国ですが、その態度は
今もたいして変わっていないのでしょう。


もう一つ、当時と今では、
メディアの政権に対する姿勢が真逆にあることが挙げられます。


民主党政権時には、メディアと政権は対決していましたが、
今は、NHKをはじめとして各メディアのトップが
安倍首相と会食を開くなどの工作をもってして、懇意の仲を築いています。


アベノミクス、消費税増税、安全保障問題。
どれも皆、礼賛、礼賛、礼賛です。


日本は、象徴天皇制という形をもって、
個人崇拝システムを維持したまま、民主主義国を名乗ってきました。

また、北朝鮮や中国を名指しして、言論の自由がない独裁国家と罵倒してきました。


しかしながら、どうでしょう?

軍拡や戦争犯罪の否定、増税といった様々な悪政を敷いているはずの極右政治家が
どのメディアも一斉に美化して報道しています。批判のひとかけらもありません。


今回のオバマ大統領と安倍首相の微笑ましい報道によって、
間違いなく、同政権の支持率は回復することでしょう。


こういう人気取りのパフォーマンスの効果を最大限に高めるような
報道を流し、政権に加担する。それも安倍首相との個人的な繋がりを
どのテレビ局も持っている。これが独裁でなくて何なのですか?


本当に不幸なのは、言論の自由があるはずの民主主義国家が
軒並み、権力者に迎合して、彼に都合のよい情報を流し、
民衆から考える力を奪うことです。

それは、独裁国家における言論の不自由より、なお性質が悪い。
彼らは無理やりですが、我らは自発的に協力するのですから。

自由があるのに、その自由をもって支配者に媚を売るのですから。


私は真の独裁国家とは、他ならぬ民主主義国家であり、
そこでは、自由があるがゆえに、不自由であると思います。



※今も現在進行形で罪もないアフガン・パキスタンの民衆を
 大量殺害しているのは、オバマをはじめとするアメリカの権力者たちです。
 そういうアフガンの敵とも言える人を少しも批判しない。
 そういう人を国賓として招くことを誰も不思議に思わない。
 中国なみの猛反論が全く国民的現象として生じない。
 これこそが本当に恐ろしい、現在の独裁国家で起きていることです。