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「シッコ」

2007年08月26日 | 映画

2007年(アメリカ)原題「SiCKO」123分

★★★☆☆←独断と偏見による



「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」と来て、「シッコ」。
「sicko」とは、「sick」(病気)のスラングで「あいつビョーキじゃね?」
みたいに軽蔑的に使う単語のようです。
つまり、ムーアは米国の医療制度を指して「ビューキじゃね?」と
言っているのだと思います。

一部の裕福な人だけが受けることが出来る医療制度の様だということは、
聞きかじって知っておりましたが、これほどに弱者切捨が行われているとは、
恐ろしいというよりは、「ぞっとする」と言った方が分かりやすい。
米国には、ACSやアームストロング基金など素晴らしい活動をする団体がある一方で
この弱者切捨制度。日本では、この「陽」の部分ばかりが脚光を浴び、
米国がこんな自体に陥ってるとは思いもしませんでした。
ただ、一方的な視点でのみ表現された作品であるということは考慮して見る
必要があると思います。

まずは、民間の保険会社のあり方がそもそも間違っているように思います。
本来、病気なり、事故なりでケガをした方を助けるために存在するはずが
極端な利益追求のためだけに存在し(会社というものはそうかもしれませんが)
保険加入の可否、加入出来ても保険金支払の可否を査定をする医師に対して
拒否できた件数と金額が会社への貢献度を測る指標となり、
件数に比例して医師にインセンティブ、ポストを与える制度そのものがおかしい。
この制度は、ニクソン時代に考えられた模様。

人道的におかしいと感じた心ある医師が告発しますが、
「社会主義」と片付けられ、相手にもされません。
ヒラリーが「国民皆保険」を唱ても医師会、保険会社、製薬会社等関係団体から
「社会主義」扱いされ、猛烈な批判にさらされます。
最後には、そのヒラリーも関係団体から巨額の政治献金を受け、
口を閉じてしまったようです。
もちろん一番高額の献金を受けているのは、またもブッシュでした。
これを説明するときの映像表現が、実にムーアらしい皮肉っぷりでした。

生損保募集人資格をお持ちの方なら、「保険は、相互扶助の精神」で成り立つとは、
一番最初に習うことですが、米国においては全くその意味を持たない。
相互扶助の精神を守ろうとすると、社会主義と非難されてしまうからです。
米国資本の保険会社は日本にも多く存在しますが、
米国との格差を考えるとよく日本で営業できるなと思えます。

保険会社と病院が繋がってるというのも日本では馴染みないですが、
診察を受ける前に、保険加入の可否、加入しているなら
その保険会社の指定する医療機関かどうかで診察を拒否されてしまいます。
がん難民どころではなく、国民全員難民になりかねない状況です。
ほんとに恐ろしいですね。

冒頭、2本の指を切断した男性が、薬指と人差指で治療金額が違い、
2本直すのは金額的に無理だからと薬指のみ治療するという悲しい現実。
抗がん剤治療や移植が「実験的」だと保険会社に判断され、
治療を受けられなかったり、亡くなってしまった方もいました。
他にも受け入れがたい現実が紹介されてました。

国民皆保険を実践していない先進国は、米国だけだそうですが、
カナダ、フランス、イギリス、かつての敵国キューバですら医療は無料で、
病院には会計課自体が存在しませんでした。
唯一の会計が患者の交通費の支払う部署とは太っ腹。

で、そうなると一体税金いくら取られるの?と気になるところですが、
税金で生活が苦しいわけじゃないという夫婦の説明のみで、
ここはちょっと説明不足だったように思います。
その辺をムーアに徹底取材してもらい「シッコ日本版」やってほしいです。

突撃取材が得意なムーアですが、今回保険会社への取材はなし???
その代わり9.11の犯人が収容されているグアンタナモ刑務所へ行って
「それ以上とは言わない。犯人たちと同じ治療をしてほしい」と直談判。
やけにやつれたなと思ったら、医療問題を扱うということで
自身20kgの減量をして、撮影に臨んだということでした。
顔の皮膚はたるんでましたが、見た目変わらないので気づかなかったです。

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