しをり戸

ささやかな庭の山野草と
散歩・旅で出会った草木。 
季語・拙い俳句、
折々の写真などの記録です。

枇杷 ( びわ ) <季> 仲夏

2011-06-20 |  夏の草木・その他 の 俳句

◉ 枇杷の実 (びわのみ)・枇杷の種 (びわのたね)・枇杷たわわ (びわたわわ)・青枇杷 (あおびわ)

枇杷黄なり空はあやめの花曇り ・・・・・ 素堂 [知足斎日々記] 
マリア観音面輪愁ひて枇杷青し ・・・・・ 水原秋櫻子 [残鐘]

やはらかな紙につつまれ枇杷のあり ・・・・・  篠原梵 [皿]

梅雨時に、
産毛で覆われた果実が黄橙色に熟すと、
庭に燈が点ったように明るくなります。
皮は薄く、果肉は多汁で甘く、
3個から5個の大粒の種子は
黒褐色で光沢があります。
果樹として植えられ、冬に芳香のある花が咲き、
翌年の夏に実が熟します。
* 枇杷の花 (初冬)

  [ バラ科ビワ属の常緑高木、中国・日本原産 ]

父の忌や日照雨に濡るる枇杷青し ・・・・・ みなみ

ビワ (枇杷)
日本南部に自生(野生種)していたものは
果実が小さく食用価値が低いので、
現在果樹として栽培されているものは、
天保のころ長崎に渡来した唐枇杷の実生種「茂木枇杷」に始まり、
はとんど偶然に実生から得られた栽培品種、
と言われます。
明治12年に、茂木枇杷の実生から「田中枇杷」が発見され、
大果で優良な品種が、長崎県・千葉県(房総)・鹿児島県などの
温暖な地方で栽培されるようになりました。
樹高は、5~10m。
幹は灰褐色で、若枝は淡褐色の綿毛を密生します。
葉は、短い葉柄を持ち、大型の長楕円形または倒披針形状長楕円形で長さ15~20㎝、
鈍頭、基部は狭いくさび形、質は厚く硬く、縁に低い波状の鋸歯があって、互生します。
表面は光沢があり、初め有毛、あとに無毛となります。
裏面は淡褐色の綿毛が密生します。
花期は、11~翌年3月。
枝先に、円錐花序を付け、白色または帯黄白色の5弁の小花を多数咲かせ、
よい香りを放ちます。
雄しべは約20本、雌しべは子房下位で2~5心室に分かれます。
萼は5裂し、淡褐色の綿毛につつまれています。

果期は、 5~6月。
果実は、黄橙色の円倒卵形で、表面に短い綿毛があります。
葉はアミグダリンやクエン酸などを多く含み、
乾燥した葉をビワ茶とする他、
生薬の枇杷葉(びわよう)として
咳止め・暑気あたり・胃腸病などに用います。
果実も咳・嘔吐・喉の渇きなどに
効果があると言われています。
果肉は生食されるほか、
缶詰やゼリーなどの菓子・ジャム・果実酒などにも
加工されます。
材は堅く、木刀・杖・装飾用などに利用されます。
名は、果実(または葉)の形が楽器のビワに似ていることから
付いたそうです。漢名枇杷の音読みです。
* 枇杷の花 (冬)
  
  


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