この冬観た日本映画の中ではナンバーワンだと思った。
年の所為か、何でも近頃後を引かない。
おばあちゃんに少しづつ近づいているかも知れない。
でも、この映画、後を引くのである。
何げに綾野剛が気に入っているし、人間臭い映画か、と思って録画しておいた。
WOWOWはこのところ、最新作を放映する。
新しい映画を観たいと思っているのであり難い。
深夜に先に見た旦那が絶賛する。
しかも、下の息子に綾野剛が似ているというのだ。
「有り得んでしょ」
わたしが観た綾野剛の映画の中では、これ群を抜いていい。
暗い若者を渋く演じていた。
このチャラオを演じた菅田将暉の存在感がとてもいい。
映画の息抜きとでもいうか。
キャスティングが見事にはまっている感じである。
池脇千鶴もはまり役だ。素晴らしい。
火野正平が俳優であることを忘れていた。
吉永小百合の若い頃のドラマ『夢千代日記』にも出ていたお気に入りの脇役、伊佐山ひろ子も久しぶりに見た。
さすが、って感じの演技だ。原作、脚本がいいと、俳優はいい演技が出来ると思う。
原作がいいのだろうね。41歳の若さで自殺した佐藤泰志という作家だとか。
芥川賞に何度もノミネートされながらも、落選していたとか。
このタイトルが見事だと思った。『そこのみにて光り輝く』
地獄を見た者だけが見える、わずかな光、
そこに深い共感がある。ほんとの幸せ、というのもその辺にあるのかも知れない。
久しぶりに心が震えた。
監督は呉美保とか。最近女性の監督が活躍してきた。いい感じである。
余談ですが、綾野剛の言葉の吐き方とか、アゴの感じとか確かに息子に似ていたかも知れない。
しかし、これって親ばかだろうか。落ちぶれて、闇をみる青年に似ているって。
まあいいや。
画面は暗いけど、今のわたしの年の所為か、人間が生きている場が良く描かれている、と思った。
そう言う意味では、決して暗い映画だとは思わなかった。
人間がよく描かれていたし、1本、人間としての筋が通っているという所では安心して観られたと思う。
まだ、心の奥に感動がある。